異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎

文字の大きさ
48 / 76
第二章 幼少期~領地編

45.シュテファン先生のところで

しおりを挟む
 
 カネッティ領の領都フォルツのスラムにある教会で、エルフ族の粛清から逃げてきた母子に遭遇した。
 母親はすでに亡くなっていたが、赤子はシスターが魔法で傷を治し、母親の傍らで眠っていた。狼獣人族とエルフ族のハーフのため、今後も命を狙われるのは確実なので、<隠蔽>魔法で”偽装”して、シュテファン先生のところに連れてきたんだ。

 あの時、赤子に<隠蔽>魔法をかけるために、フルオープンで<鑑定>をかけた。
 ステータスの名前の欄が空欄だったから、本当に名前をつける間もなく追手に襲撃されたのだろう。
 私の<鑑定>魔法では、両親の名前もわかるので、成長して本人が知りたがったら教えることにしよう。

 名前は、先生達と相談して決めよう。どんな名前が良いだろうか?
 不幸な生い立ちだし、これからも追手を気にして生きていかなければならないが、少しでも生きていて良かったと思えるようになってほしいと思う。
 
 赤子の性別は男の子だった。
 そして、獣人族なんだけれど、魔法の才能があるようで…困った。
 三属性持ちで、赤子なのに魔力量も多いんだ。これは<隠蔽>させてもらった。
 成長に合わせてシュテファン先生に教えてもらうだろうが、魔法適性に関しては、魔力検査もあるので、いつまで秘密にするのかは先生達の判断次第になるだろう。

 赤子は、狼獣人族の幼体なので、本当に生まれたての犬の赤ちゃんみたいなんだ。
 シルバーの毛が少し湿った感じに体に貼りついている。
 すごく細くて柔らかい毛だから、シャンプーしてブラッシングすれば、フワッフワになると思うんだ。
 もうちょっと育ったら、絶対に、絶対にモフらせてもらいたい。

 今度ルカを連れて会いに来ようかな?
 お兄ちゃんぶりそうだが、良く面倒をみそうな気がする。

 因みに、あの場にいた多くの精霊達らしき光は、母親のエルフが亡くなってからしばらくすると、悲しみの音も小さくなって、光の数も少しずつ減らしていき、私が<隠蔽>魔法をかけた頃には、数個の光がフヨフヨ浮かんでいるだけになっていた。好いていたエルフの死を受け入れたのか、一つ、また一つと光が消えていったんだ。

 その数個の光は、なぜかここまでついてきた。エルフ族の使役かと怪しんだりもしたが、どうも赤子を心配してついてきたような感じで、今も赤子の周りをフヨフヨと浮かんで回っている。
 
 赤子に好意でついてくれるのはいいんだが、それをエルフに感づかれてはマズいんだ。
 常に索敵をして、すぐに気配を隠せるようにすればいいだろうか? 精霊達に練習させないとかな…?
 この子達にも、よーく言い聞かせなければいけないなぁ…。


 こちらに着いた時、シュテファン先生がちょうど研究室にいらっしゃって良かった。
 赤子の事情を話すと、先生の屋敷で引き取って育てていただけることになった。
 最初は、自分の下働きとして育てて、その後に護衛騎士になるか、侍従になるかを選ばせるとのことだ。
 
 シュテファン先生の傍ならば、万一<隠蔽>魔法が弱まっても心配いらないだろう。応急処置は先生がしてくださるだろうし、私のところにすぐに連絡が来るはずだ。

 追手の心配は残るが、狼獣人とエルフの遺伝子が気になることは確かだ。どういう風に成長するのだろうか? 成長が楽しみでもある。


 ところで、今回、シュテファン先生のバックグラウンドがわかったんだ。まあ、今まで全く気にしなかった私が変なのかもしれないけれどね。これが驚きの情報だった。王領の湖畔に別荘を持っている時点で、かなり高位の貴族だとは思っていたんだけれど、予想の上だった。

 シュテファン先生は、前ブランシュ公爵の弟君なんだそうだ。ビックリだよ。王様の母君が前ブランシュ公爵の末の妹だから、王様の伯父様ってことだ。
 
 でも、シュテファン先生の屋敷の使用人は平民も低位貴族もいるらしい。自分のものも他人のものも、バックグラウンドを全く気にしないんだろう。使用人には様々な出自の人達がいるようだ。
 採用基準は、彼が気に入るかどうかの一点のみ。全く…自由過ぎでしょ!




 
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...