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第三話 チートスキル

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「ま、待ってくれ!まだ俺のスキルのことを詳しく聞いてない!」

「あ、そうだね!忘れてたよ!」

 たとえチートでも、自分のスキルが何なのかを知っていないと扱えない。
 もしかしたらそこまでチートじゃないかもしれないし、聞いておく価値はある。

「君のスキルは《英俊豪傑》だよ。《英俊豪傑》の意味は知ってるよね?」

「た、確か……人並みはずれた才能や能力を多く持つすぐれた人物……みたいな感じだったけ……」

「そう!その通りだよ!つまり、君は《英俊豪傑》の中にスキルを複数所持している!その数、全部で五個だね!まず《一騎当千》と《我竜転身》、そして《自然治癒》に《空間転移》、最後に《二刀聖剣》だよ!」

「…………」

 ガチチートじゃねえか!!!!
 なんだよそれ!?
 スキルが五個ある時点ですでにチートなのに何そのラインナップ!?
 聞いただけでも最強っていうのが分かるんだが!?

「存在するスキルで最強クラスのスキルを集めて、さらに僕が考えたスキルもあるからね。負けることはないと思うよ。まぁ、《自然治癒》だけは別だけどね。他のスキルを使えば怪我することなんてないとは思うけど、念の為。ある程度の怪我なら大丈夫だけど、流石に腕が切れたとかなら無理だよ。あ、ちなみにスキルはこのスキルを使おうって強く思ったら使えるし、解除しようと思えば解除できるから」

「いやおかしいだろ!!チートすぎるんだろこのスキル構成!!こんなんじゃ誰にも読んでもらえないと思うんですけど!?このラノベの作者出てこいや!!」

「お、落ち着いて!これはラノベじゃなくて現実だから!生きていければいいでしょ!?」

「いーや良くないね!!こんなラノベ面白くない!!異世界転生チートものなんて、もう読み飽きたんだよ!!今すぐこのチートスキルを外せ!!」

「そ、そんなこと言ったって、今更無理だよ。もう時間もないし……」

「は!?ちょっと待て!!チートじゃなければ何でもいい!!スキルがなくてもいい!!何でもいいからこのスキル構成だけはやめてくれ!!」

「ごめん。もう無理。申し訳ないけど、このまま魔王倒して。じゃ、行ってらっしゃーい」

「ま、待て!!話は終わってな」

 俺がその言葉を言い終わる前に、自称神は俺の視界から姿を消した。
 いや、俺が移動したというべきか。
 目の前が真っ暗になり、落ちていく感覚に襲われて、俺は転生することを理解した。
 薄れゆく意識の中、思っていたことはたった一つ。
 俺、チートスキルなんてマジで欲しくないんですけど!?
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