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第1章 迷子の子狐とたまごサンド
7.パン屋の主人
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私が心配していると、前に並んでいる主婦らしき女性達の会話が聞こえてきた。
『このお店のご主人ってまだ若いんですってね! しかも結構イケメンだって噂で……楽しみだわー!』
『そうそう! 私、彼に会いたくて昨日も来たのにまた来ちゃったわよ。朝早くからパンを焼いて、レジもこなして……今はまだ一人で切り盛りしてるんですって。凄いわよね!』
どうやらこのパン屋の主人の話らしい。若くして一人でお店を開くなんて確かにすごい。若いという事だが、何歳くらいなのだろうか。
そんな事を考えていると順番がきて、私はようやく店内へと足を踏み入れた。
(わぁ、いい匂い……)
扉の内側に入ると、より一層パンが焼ける香ばしい匂いに包まれた。早く齧り付いて、パリッとした食感を楽しみたい衝動に駆られる。
店内も明るい色の木材を使ったナチュラルな雰囲気で、中央の広いテーブルと壁際の棚にパンが並んでいた。
艶々と焼けた表面が美しい。きんいろベーカリーの名に相応しく、どれも黄金色に輝いているようだった。
しかし、その数はまばらで、もう殆どが売り切れてしまっている。
(そうだ、うちの神様は……!)
混み合った店内を見回すと、隅の方に立っている白いもじゃもじゃ頭を見つけた。一瞬、おしゃれ風な新種の観葉植物かと思ってしまったが、彼の癖っ毛であった。
(あれ?)
『このお店のご主人ってまだ若いんですってね! しかも結構イケメンだって噂で……楽しみだわー!』
『そうそう! 私、彼に会いたくて昨日も来たのにまた来ちゃったわよ。朝早くからパンを焼いて、レジもこなして……今はまだ一人で切り盛りしてるんですって。凄いわよね!』
どうやらこのパン屋の主人の話らしい。若くして一人でお店を開くなんて確かにすごい。若いという事だが、何歳くらいなのだろうか。
そんな事を考えていると順番がきて、私はようやく店内へと足を踏み入れた。
(わぁ、いい匂い……)
扉の内側に入ると、より一層パンが焼ける香ばしい匂いに包まれた。早く齧り付いて、パリッとした食感を楽しみたい衝動に駆られる。
店内も明るい色の木材を使ったナチュラルな雰囲気で、中央の広いテーブルと壁際の棚にパンが並んでいた。
艶々と焼けた表面が美しい。きんいろベーカリーの名に相応しく、どれも黄金色に輝いているようだった。
しかし、その数はまばらで、もう殆どが売り切れてしまっている。
(そうだ、うちの神様は……!)
混み合った店内を見回すと、隅の方に立っている白いもじゃもじゃ頭を見つけた。一瞬、おしゃれ風な新種の観葉植物かと思ってしまったが、彼の癖っ毛であった。
(あれ?)
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