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第二章:賢者の証明
許婚の言いがかり
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ヴェルターの話を半分以上聞き漏らし、何とか片付けを終えたのはお昼を回ったころでした。
たった二時間ほどでへとへとに疲れたわたしは、ただ日常のことすらできずに打ちのめされる思いです。
それにしても。ヴェルターとは魔法の話よりも世間話の方が多かった気がしますが……?
「君は食事が学生寮で出るようだが、外食は行くのかい?」
「外出は許されてますので行きますよ」
「ではおすすめのお店でも教えてもらえるかな?」
「……召喚獣って食事必要でしたっけ?」
「要・不要だけで話すなら必要ではないけれど、私も『人』だからね。
せっかく呼ばれた異界の地。できれば何か美味しいものを食べたいと思うのも仕方ないだろう?」
「でしたら一緒に食べましょう!」
前のめりで誘いました。
わたしの申し出を受けてくれたので、このまま何処かへ行ってしまう……なんてことはないと思います。
けれど先生をしてくれるのは短い間ですから、できるかぎり傍に居てほしいんです。
「学生寮でも食事は出るのだろう?」
「とても安く出されるだけで、最初から自分用があるわけでは無いんです。
逆に早く行かないと売り切れることもあるんですよ。実はもう遅い時間ですしね」
「普通のお店と変わらないのだね。ではご一緒願おうか」
案内したのは、以前家族で利用したことのあるわたしが知る中で一番美味しいお店です。
夜になるとすっごく高くなりますが、お昼の時間だとランチメニュー?というものもあって随分安く入れたはずです。
「いやはや……えらく気合いの入ったお店だね?」
「お気に召しましたか!」
「もちろん、ありがたい限りだよ」
喜んでもらえたことにわたしの心ははしゃいでしまいます。
召喚獣とはいえ、先生に何の見返りも出せないのは心苦しいですしね!
渡されたメニューを見て、うんうんと確認するヴェルターを見てふと疑問が浮かびます。
「文字が読めるのですか?」
「うん? 私は最初から君と意思疎通をしていたじゃないか」
「《思念会話》も使われてましたけれど……文字が読めるのとは少し違いませんか?」
「異国の文字が読めないと苦労するだろう?
余程込み入った内容でなければ、会話や文字ならそこまで難しくはないよ」
まさか不便ってだけで読めるって言ってます……?
魔法の知識だけでなく、言語まで持っているだなんて……ましてはヴェルターにとってここは異界ですよ?
外交が難しい理由の一つに言葉の壁があったはずですのに、と余りのことに呆然としてしまいます。
「賢者ってすごいんですね……」
「いやなに、大人の一般教養だよ」
絶対に違う、と確信しながらも口にしませんでした。
ただメニューを読めても中身が分からないとのことで、注文はわたしがしました。
便利なのか不便なのかわかりにくいですね。
・
・
・
わたしが支払う姿を物珍しそうに背後に立つヴェルターが眺めています。
貨幣が気になるのでしょうか?
あれ、どうやって食べる気だったのでしょうか。
そういえばヴェルターはこの世界に来たばかりで持ち合わせなんてありませんよね?
ともあれ、満足そうにするヴェルターを案内できたのはよかったですね。
うきうきとこの先のことを考えてしまいます。
「ヴェルター、次は何をしましょうか?」
早く魔法を教えてください。
そんな思いを込めて、弾むように問いかけてしまう。
「せっかくですし、君が通っているガーディエル魔法学園を見せてもらえますか?」
「えぇっ、学園ですか!? もっと……」
「ティアナ様、そいつは誰です?」
言い募る前に声が掛けられました。
「アミルカーレ様?」
振り向くとそこには背の高い男性が……そう、わたしの幼馴染の姿がありました。
何故彼がここに? と疑問が浮かびますが、王都ですし逢うこともありますよね。
気にせず
「怖い顔をしてどうしましたの?」
「君こそ、何故そんな店から出て来られた?」
「食事の案内を頼まれましたので、王都で知っている中で一番おいしいところを、と思っただけですよ」
「本当にそれだけですか?」
思わず首を傾げてしまいます。
何のことを言っているんでしょうか。
すると後ろからヴェルターが
「ティアナ、私も彼も君しか知らない。お互いに紹介してくれないと話が進まないと思うよ」
「そうですね。彼はわたしと同じガーディエル魔法学園に通う幼馴染で、伯爵家フルラネットの長男の――」
「アミルカーレ=フルラネット、彼女の許婚だ」
「ア、アミルカーレ様!?」
許婚などと一々公言しなくてもよろしいじゃないですか!
と口から出そうになる前にヴェルターが前に出ました。
「これはご丁寧に。私はティアナに教えを請われたヴェルターと申します」
「ヴェルター? 聞いたことのない名だな。それにティアナ様が貴様に?」
「ティアナの慧眼に適っただけです」
「ヴェルターを見て誰が無能だと判断するのでしょうか。わたしではありませんよ」
「いいえ。ティアナでなくては私を見出すことなど絶対にありませんから」
「そうでしょうか?」
「えぇ、当然ですよ」
召喚したことを言ってるのでしょうか?
理由はともかく、最上位の人型を呼んだのはわたしですし、その通りですが……。
思わず首を傾げて自身満々に告げるヴェルターに目を向けると、にこやかな笑みで返されました。
視線を前に戻すとアミルカーレ様がヴェルターをすごい目で見ている……ような気がします。
え、何故初対面でこんなにも険悪な感じに?
「率直に言って貴様の実力に疑問がある」
「急に何を言い出すのですかアミルカーレ様!」
「ティアナ様は黙っていてください」
「わたしが選んだ先生ですよ!」
「貴女を騙しているのではありませんか?」
「そんなことありません!」
「それに私はティアナに雇われている立場ですから、アミルカーレ様には関係ありませんよ」
「……こやつの実力を見たことは?」
「それは……」
「おや? ティアナは私の手腕に疑問があると?」
「ありません!」
というより必要なのは『わたしが魔法を使えるようになること』ですから、ヴェルターの力なんてどうでも良いんです!
でも国でも上から数えた方が早いヴァルプルギス家の力を使ってもできなかったことです。
ヴェルターとの話し合いで召喚魔法のことは黙っていることになっていますし、説明は難しいですよね。
わたしがうんうんと考えていると、
「やはり貴様、ヴァルプルギス家に取り入ろうとする詐欺師の一人だな?」
何に思い至ったのかはわかりませんが、アミルカーレ様が急激に険悪なムードに突入してしまいました。
たった二時間ほどでへとへとに疲れたわたしは、ただ日常のことすらできずに打ちのめされる思いです。
それにしても。ヴェルターとは魔法の話よりも世間話の方が多かった気がしますが……?
「君は食事が学生寮で出るようだが、外食は行くのかい?」
「外出は許されてますので行きますよ」
「ではおすすめのお店でも教えてもらえるかな?」
「……召喚獣って食事必要でしたっけ?」
「要・不要だけで話すなら必要ではないけれど、私も『人』だからね。
せっかく呼ばれた異界の地。できれば何か美味しいものを食べたいと思うのも仕方ないだろう?」
「でしたら一緒に食べましょう!」
前のめりで誘いました。
わたしの申し出を受けてくれたので、このまま何処かへ行ってしまう……なんてことはないと思います。
けれど先生をしてくれるのは短い間ですから、できるかぎり傍に居てほしいんです。
「学生寮でも食事は出るのだろう?」
「とても安く出されるだけで、最初から自分用があるわけでは無いんです。
逆に早く行かないと売り切れることもあるんですよ。実はもう遅い時間ですしね」
「普通のお店と変わらないのだね。ではご一緒願おうか」
案内したのは、以前家族で利用したことのあるわたしが知る中で一番美味しいお店です。
夜になるとすっごく高くなりますが、お昼の時間だとランチメニュー?というものもあって随分安く入れたはずです。
「いやはや……えらく気合いの入ったお店だね?」
「お気に召しましたか!」
「もちろん、ありがたい限りだよ」
喜んでもらえたことにわたしの心ははしゃいでしまいます。
召喚獣とはいえ、先生に何の見返りも出せないのは心苦しいですしね!
渡されたメニューを見て、うんうんと確認するヴェルターを見てふと疑問が浮かびます。
「文字が読めるのですか?」
「うん? 私は最初から君と意思疎通をしていたじゃないか」
「《思念会話》も使われてましたけれど……文字が読めるのとは少し違いませんか?」
「異国の文字が読めないと苦労するだろう?
余程込み入った内容でなければ、会話や文字ならそこまで難しくはないよ」
まさか不便ってだけで読めるって言ってます……?
魔法の知識だけでなく、言語まで持っているだなんて……ましてはヴェルターにとってここは異界ですよ?
外交が難しい理由の一つに言葉の壁があったはずですのに、と余りのことに呆然としてしまいます。
「賢者ってすごいんですね……」
「いやなに、大人の一般教養だよ」
絶対に違う、と確信しながらも口にしませんでした。
ただメニューを読めても中身が分からないとのことで、注文はわたしがしました。
便利なのか不便なのかわかりにくいですね。
・
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わたしが支払う姿を物珍しそうに背後に立つヴェルターが眺めています。
貨幣が気になるのでしょうか?
あれ、どうやって食べる気だったのでしょうか。
そういえばヴェルターはこの世界に来たばかりで持ち合わせなんてありませんよね?
ともあれ、満足そうにするヴェルターを案内できたのはよかったですね。
うきうきとこの先のことを考えてしまいます。
「ヴェルター、次は何をしましょうか?」
早く魔法を教えてください。
そんな思いを込めて、弾むように問いかけてしまう。
「せっかくですし、君が通っているガーディエル魔法学園を見せてもらえますか?」
「えぇっ、学園ですか!? もっと……」
「ティアナ様、そいつは誰です?」
言い募る前に声が掛けられました。
「アミルカーレ様?」
振り向くとそこには背の高い男性が……そう、わたしの幼馴染の姿がありました。
何故彼がここに? と疑問が浮かびますが、王都ですし逢うこともありますよね。
気にせず
「怖い顔をしてどうしましたの?」
「君こそ、何故そんな店から出て来られた?」
「食事の案内を頼まれましたので、王都で知っている中で一番おいしいところを、と思っただけですよ」
「本当にそれだけですか?」
思わず首を傾げてしまいます。
何のことを言っているんでしょうか。
すると後ろからヴェルターが
「ティアナ、私も彼も君しか知らない。お互いに紹介してくれないと話が進まないと思うよ」
「そうですね。彼はわたしと同じガーディエル魔法学園に通う幼馴染で、伯爵家フルラネットの長男の――」
「アミルカーレ=フルラネット、彼女の許婚だ」
「ア、アミルカーレ様!?」
許婚などと一々公言しなくてもよろしいじゃないですか!
と口から出そうになる前にヴェルターが前に出ました。
「これはご丁寧に。私はティアナに教えを請われたヴェルターと申します」
「ヴェルター? 聞いたことのない名だな。それにティアナ様が貴様に?」
「ティアナの慧眼に適っただけです」
「ヴェルターを見て誰が無能だと判断するのでしょうか。わたしではありませんよ」
「いいえ。ティアナでなくては私を見出すことなど絶対にありませんから」
「そうでしょうか?」
「えぇ、当然ですよ」
召喚したことを言ってるのでしょうか?
理由はともかく、最上位の人型を呼んだのはわたしですし、その通りですが……。
思わず首を傾げて自身満々に告げるヴェルターに目を向けると、にこやかな笑みで返されました。
視線を前に戻すとアミルカーレ様がヴェルターをすごい目で見ている……ような気がします。
え、何故初対面でこんなにも険悪な感じに?
「率直に言って貴様の実力に疑問がある」
「急に何を言い出すのですかアミルカーレ様!」
「ティアナ様は黙っていてください」
「わたしが選んだ先生ですよ!」
「貴女を騙しているのではありませんか?」
「そんなことありません!」
「それに私はティアナに雇われている立場ですから、アミルカーレ様には関係ありませんよ」
「……こやつの実力を見たことは?」
「それは……」
「おや? ティアナは私の手腕に疑問があると?」
「ありません!」
というより必要なのは『わたしが魔法を使えるようになること』ですから、ヴェルターの力なんてどうでも良いんです!
でも国でも上から数えた方が早いヴァルプルギス家の力を使ってもできなかったことです。
ヴェルターとの話し合いで召喚魔法のことは黙っていることになっていますし、説明は難しいですよね。
わたしがうんうんと考えていると、
「やはり貴様、ヴァルプルギス家に取り入ろうとする詐欺師の一人だな?」
何に思い至ったのかはわかりませんが、アミルカーレ様が急激に険悪なムードに突入してしまいました。
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