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しおりを挟む琥珀と慶也の出会いは小学生の頃に遡る。登校班が一緒でその中で同学年が少なかったため、琥珀と慶也はよく話すようになった。時には互いの家に遊びに行き、やがては家族ぐるみでバーベキューなんかもするような関係になっていた。
所謂、親友のようなポジション。その頃は琥珀は恋愛感情としてではなく、友達として慶也が大好きだった。
2人はいつも一緒にいるため、琥珀の女の子らしい見た目も踏まえて、同級生のやんちゃな男子グループが"2人は付き合っている。琥珀は実は女なんだ。慶也のことが好きなんだ"なんてことを言い始めた。琥珀は咄嗟に否定して、慶也も気にする様子なんてなかったが、その瞬間からなにか心の違和感を覚えた。
中学生になった慶也は背が伸びて、顔を大人びたものになり、小学生からモテていたが中学生になりさらにモテるようになった。
彼女ができたり、告白される様子を見るたびに胸がギュッと痛み、これが羨ましいとかそんな感情ではないことを気づいた。慶也に対する恋愛感情からくる嫉妬だと気づくのは遅くなかった。
それに気づいた琥珀はなんとか慶也を自分のものにしたいと今日まで何度も告白をしてきたが、今だに振られ続けている。だが、勉強などは諦めても、琥珀の辞書に"慶也を諦める"という文字はないのだ。
だから高校だって慶也が第一志望にこの県内でトップレベルに偏差値の高い高校を選んだため、琥珀もそこを第一志望にした。
琥珀の学力はお世辞でも優秀とは言えず、クラスでは下から数えたほうが早いくらいの成績だった。そのため、担任や両親は反対したが琥珀は慶也と同じ高校に通うという覚悟を決めて、その日から塾の入校を申し込み、学校があろうが、休みであろうが毎日塾に通い続けた。
どうせ受からないなんて思っていた慶也も琥珀の努力を見て協力的になり、時間が合えばどちらかの部屋で勉強をするのが習慣になり、それが琥珀の唯一の息抜きになっていた。
その努力の甲斐あってか、無事に同じ高校に受かりずっと緊張感を抱えていた両親はホッと肩を撫で下ろし、今まで以上に慶也を可愛がるようになった。
そんな努力をしてまで慶也の傍にいたのに2人の距離は変わらぬままだった。
琥珀も薄々気づいている慶也の恋愛対象は女だから自分と付き合うことなんてないって。
だが、それでも完全に突き放されるまでは慶也のそばにいたいと思っていたのだ。
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