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しおりを挟む「ユイさん、こっちに行こう」
蓮介君に言われるまま着いていくけど、何だか伊藤くん達と逆方向に行ってるような気がする。
ふと、周りを見渡すと伊藤くん達の姿は見えない。
「あの、蓮介君」
「ん?なあに?」
呑気に返事をする彼は本当に伊藤君達を見ていたのだろうか。
「あの、伊藤君達が見えなくなっちゃって」
「あ、本当だ」
全く驚いた様子もない。
一旦連絡をしようと携帯を開くと既に伊藤君から電話が来ていた。
折り返し電話をかけようと通話ボタンを押そうとすると、蓮介くんが話しかけてきた。
「ねえ、ユイさんは環のこと好きなの?」
「え?」
「だってユイさんの環を見る目完全に俺と違うじゃん」
「うん
わかりやすいくらい」
誤魔化すように返事をする。
確かに、初めて会った時と比べると伊藤くんに対する気持ちは明らかに変わってきていた。
けど、まさか表情にまで出てしまっているとは思わなかった。
伊藤くんにもバレているのではないかと不安になる。
「否定しないんだ?」
蓮介君はヘラヘラと笑いながら聞いてくる。
「じゃあさ、環のどこを好きになったの?」
「え?…」
「やっぱ顔でしょ?
てか、顔しか見てないでしょ?」
蓮介くんの表情は笑っているけど、その目は全く笑っていなかった。
「私が伊藤君を好きかどうかを別にして、彼のいいなって思うところはたくさんあるよ?」
「例えば?」
「私なんかに優しくしてくれること…」
「え、それだけ?」
「ううん、それだけじゃないけど…後は気遣いできるところとか…
そういうのは人のことをよく見てないとできないことだから
そういう面も含めて好きなのかもしれない…」
ん…?あれ??私今好きって言った?!
あまりにも自然に言葉が出てきたため、自分でも驚いてしまう。
初めて会ってからまだ3回目だというのに私は単純すぎないだろうか??
「あっそ
どうせ顔だけなのかと思ってた」
蓮介君は何だか腑に落ちないと言ったような顔をして私を見た。その目はどこか怖いけどやっぱり溢れ出すような色気がある。
「だってさ、今も俺があんたにこういう風に近寄ったら一瞬で落ちるかもしれないじゃん」
「え?」
蓮介君は一気に距離を縮めて、私の腰に腕を回し、私との距離を縮めた。
「ど、どうしたの?」
「あんまこういうことしたくないけどさあ」
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