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しおりを挟む胸の鼓動は激しさを増していき
夏の暑さ以上の暑さを身体の中に感じた
こんなの初めてだ…
告白も初めてだ…
"好き"
その気持ちは私の中でも、環君に対して芽生えかけていたものがあって、どうせ私じゃなんて気持ちに目を背けていた
けど、いつのまに彼のことを考えて頭がいっぱいになる、物事に集中できなくなる
この症状が恋だというのなら、恋なのかもしれない
「俺は、ユイさんと一緒にいたいよ」
環君の熱い視線に目を逸らしたくなるけど、なぜか逸らせない
「こんな私でいいの?
隣に歩いてたら恥ずかしいかもよ…??」
「そんなの気にしない
ユイさんだから好き」
「環くんみたいな人の隣にいれる自信ないかもしれない」
「大丈夫
だったらユイさんが慣れるまで俺がずっと隣にいる
そしたら、自信とかも気にしなくなるでしょ」
「ば、馬鹿にされてもさ…知らないよ??」
「馬鹿にしとけばいいよ
ユイさんが嫌がるなら、もちろん俺は守るよ」
私が不安になっていくのに対して強く、優しく受け止めてくれる環君の言葉
心がギュッと締め付けられて、涙が出そうになり言葉も震えてくる
「ユイさん、好きだよ」
片膝をつきながら、私を見つめる環君は
夕日に照らされたその綺麗な顔と後ろの海で本物の王子様のようだった
「その…」
「うん」
「私もまだ気持ちはっきりとわからないんだけど……
環くんといるとドキドキして落ち着かなくてでも安心するところもあって……」
「うん」
環くんは手を握りながら、私の話に静かに頷いてくれる
「だから、その
私環くんのことが…好き…なのかなって」
「え…?本当?」
「う、うん」
「……」
環くんはその言葉を聞いて下を俯いて黙り込む
もしかして嫌だった…?
「すっごい嬉しい」
環くんは満面の笑みを浮かべて立ち上がると、大きな身体で私を包み込んだ
「ひゃっ」
「ごめん、びっくりしたよね
でも今はこうさせて」
「…は、はい」
「また敬語になった」
環くんは笑い声は私の耳元に響いて、どこか心を暖かくしてくれる
優しく私を抱きしめて、私の肩に顔を埋めた
「好きになってくれてありがとう」
「いや、それはこっちのセリフで!
まさかその私なんか好きになってくれると思わなくて
いまだに夢なのかななんて…」
環君は一瞬黙り込んだ
「どうしたの?」
「ううん、なんでものない
夢じゃないよ
大事にするから……」
環くんは微笑むともう一度、力強く私を抱きしめた
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