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第4話 神レグルスとの邂逅
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「いいわね、その中でしばらく大人しくしていなさい。死んだ母さんがここなら絶対に見つからないって言ってたから」
女の人は必至の形相で僕を隠し穴に押し込むと、背板で塞ぐ瞬間不安が色濃くにじむ笑みを僕へ浮かべてみせた。
平和な家庭に突如押し入った僕を守ろうとした彼女の不可解な行動は、僕の頭になぜという言葉を埋め尽くすのには十分だった。
ただ、暗闇の中から見た弱弱しくも強い意志を持った彼女の微笑みは、遠い昔に僕を抱きしめて見せた母の笑顔を、思い出させてくれそうなそんな気がした。
……………。
…………。
………。
……。
…。
無理だった…。
美ヤギを抱きしめて高笑いしてる母の笑顔が強キャラすぎて全然思い出せなかった…。
衝撃のトレードから10年ぐらいたったけどお金持ちになることは出来たかなマイマザー…。
|||||
夢見心地の中、ゴポゴポと遠くの方から泡が弾けるような音が近づいてきた。それは次第に大きさを増し顔まで撫でてくるようになると、嫌々ながらも僕にまぶたを開かせた。
視界に広がったのは水底から吹き出る大量の泡と水。
未だはっきりしない意識だったが、身体が命の危険を感じ無意識に水底に手を押し当て、鉛のように重い身体を無理矢理起こす。
深い水中ならほとんど意味をなさない行動だろう。しかし僕がいた場所は肘ぐらいしか深さがない浅瀬だったようで、そのまま上半身を水面の上に出すことに成功した。
辺りは明るいから昼間であることぐらいしかわからない酷い濃霧に包まれ、僕から吐き出される荒れた呼吸音しか聞こえない程そこは静かな場所だった。
間違いなく言える事はここは僕が人生で訪れたことがない場所だ。
「どこだここ…」
「やぁ、お目覚めだね」
背後からの突然の呼びかけに、反射に近いレベルで銃口をその方向に向けた。
銃身の先にいたのは長い白銀の髪をアップした20代後半ぐらいの男だった。
その男は黒と赤と白で構成されたストラを肩にかけ、4つの太陽が背板に刻まれた巨大な黒い木製の椅子に座り、僕に向け笑みを浮かべていた。
初めて見る人種だ。
目に見える武装も仲間も見当たらない。
ストラを着けているから見た目通り司祭か何かにも見える。
「あなたは?」
「あぁ僕かい?僕のことはレグルスとでも呼んでくれていいよラーズ君。みんなもそう呼ぶからね」
レグルスと名乗った男のなんてことのない自己紹介に、僕はため息が出そうになる。
名前を把握されている。たまたま居合わせたわけじゃないようだ。
丸腰に見えるこの人が、子供とはいえ銃口を付きけている僕を前に落ち着いているのも気がかりだ。敵意がないのか、もしくは僕が既に彼の用意した型にハマっているのか。恐らく後者だろう。
状況はあまりよくはない、頭もまだハッキリとしない。
直ぐにでも会話を打ち切りこの場から離れたかったが、辺りにこの人以外水しかない状況では選択肢が他になかった。
僕は銃口を下すことをせず、そのまま会話を続けることにした。
「ここは…どこですか?バルムスという村にいたはずなんですが?」
「ここ?ここは【集約の泉 アルバ】って所だよ。言ってもわからないと思うけど」
「集約の泉 アルバ? ……それで、僕の名前を知ってるってことは、僕に何か用があるんですよね?」
僕の端的な問いに彼は少し笑みを浮かべて見せた。
「話が早くて助かるよ。でもまず用件を伝える前に、君の現状を説明するよ。君は死んでここアルバに戻ってきた。それで君に頼みたいことがあるから、泉の管理人に頼んで今君を呼び起こしたとこだ。何かご質問は?」
何を言っているんだこの人は??
僕が死んだ?こうして今生きているのに??
呼び起こしたという表現もよくわからない。
あぁ…この人はあれか…重度の薬中ってやつか…。それなら宗教にすがってそんな恰好をしてるのも仕方ないことだ。お大事にレグルスさん。
自分より可哀そうな人には優しく出来る育ちの良い僕は、レグルスさんを憐れんで見ていた。そうしたら彼の後ろから5m以上はある巨大な黒い塊がのっそり音もたてずに顔をのぞかせてきた。その黒い塊は6本角を持ったヤギの頭蓋骨の仮面を被り、両手には鎖付の手錠を身に着け巨大で質素なクワを手にしている。
僕はその異質な存在の登場に面をくらい二の句を告げないでいたが、レグルスさんは特に気にすることもなく口を開いた。
「今の話で君がそう思う理由はわからないけど、想像力が豊かなことはわかったよ。ちなみにかれこれ数千年は薬なんて飲んだことないよ、意外と頑丈なんだ僕は」
心を読んだ…のか?
飲んだくれのジーンが言葉と相手の精神、状況を狭めてやれば似たようなことは可能だと言ったことを思い出す。実際やられるとひどく動揺するな…状況は少し悪くなった。
「………、それで僕に何をやらせたいんです?」
「大したことじゃないよ。ちょっと前から【選定の儀】っていうのが開催されているんだけど、それに僕の【代理人】として君に参加してほしんだ。」
選定の儀?代理人??
駄目だな、何をするか以前に意図がわからない。
初めて会った子供の僕に自分の代理人をなぜ任そうとするんだ?
「もしその提案を断れば?」
「元通り世界の一部に戻すだけさ、残念だけどね」
それは土に帰すと同じ意味だろうな。こっちに選択肢があるようにみせて、実質一つなんて見た目によらずとてもいい性格してるなこの人は…。
女の人は必至の形相で僕を隠し穴に押し込むと、背板で塞ぐ瞬間不安が色濃くにじむ笑みを僕へ浮かべてみせた。
平和な家庭に突如押し入った僕を守ろうとした彼女の不可解な行動は、僕の頭になぜという言葉を埋め尽くすのには十分だった。
ただ、暗闇の中から見た弱弱しくも強い意志を持った彼女の微笑みは、遠い昔に僕を抱きしめて見せた母の笑顔を、思い出させてくれそうなそんな気がした。
……………。
…………。
………。
……。
…。
無理だった…。
美ヤギを抱きしめて高笑いしてる母の笑顔が強キャラすぎて全然思い出せなかった…。
衝撃のトレードから10年ぐらいたったけどお金持ちになることは出来たかなマイマザー…。
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夢見心地の中、ゴポゴポと遠くの方から泡が弾けるような音が近づいてきた。それは次第に大きさを増し顔まで撫でてくるようになると、嫌々ながらも僕にまぶたを開かせた。
視界に広がったのは水底から吹き出る大量の泡と水。
未だはっきりしない意識だったが、身体が命の危険を感じ無意識に水底に手を押し当て、鉛のように重い身体を無理矢理起こす。
深い水中ならほとんど意味をなさない行動だろう。しかし僕がいた場所は肘ぐらいしか深さがない浅瀬だったようで、そのまま上半身を水面の上に出すことに成功した。
辺りは明るいから昼間であることぐらいしかわからない酷い濃霧に包まれ、僕から吐き出される荒れた呼吸音しか聞こえない程そこは静かな場所だった。
間違いなく言える事はここは僕が人生で訪れたことがない場所だ。
「どこだここ…」
「やぁ、お目覚めだね」
背後からの突然の呼びかけに、反射に近いレベルで銃口をその方向に向けた。
銃身の先にいたのは長い白銀の髪をアップした20代後半ぐらいの男だった。
その男は黒と赤と白で構成されたストラを肩にかけ、4つの太陽が背板に刻まれた巨大な黒い木製の椅子に座り、僕に向け笑みを浮かべていた。
初めて見る人種だ。
目に見える武装も仲間も見当たらない。
ストラを着けているから見た目通り司祭か何かにも見える。
「あなたは?」
「あぁ僕かい?僕のことはレグルスとでも呼んでくれていいよラーズ君。みんなもそう呼ぶからね」
レグルスと名乗った男のなんてことのない自己紹介に、僕はため息が出そうになる。
名前を把握されている。たまたま居合わせたわけじゃないようだ。
丸腰に見えるこの人が、子供とはいえ銃口を付きけている僕を前に落ち着いているのも気がかりだ。敵意がないのか、もしくは僕が既に彼の用意した型にハマっているのか。恐らく後者だろう。
状況はあまりよくはない、頭もまだハッキリとしない。
直ぐにでも会話を打ち切りこの場から離れたかったが、辺りにこの人以外水しかない状況では選択肢が他になかった。
僕は銃口を下すことをせず、そのまま会話を続けることにした。
「ここは…どこですか?バルムスという村にいたはずなんですが?」
「ここ?ここは【集約の泉 アルバ】って所だよ。言ってもわからないと思うけど」
「集約の泉 アルバ? ……それで、僕の名前を知ってるってことは、僕に何か用があるんですよね?」
僕の端的な問いに彼は少し笑みを浮かべて見せた。
「話が早くて助かるよ。でもまず用件を伝える前に、君の現状を説明するよ。君は死んでここアルバに戻ってきた。それで君に頼みたいことがあるから、泉の管理人に頼んで今君を呼び起こしたとこだ。何かご質問は?」
何を言っているんだこの人は??
僕が死んだ?こうして今生きているのに??
呼び起こしたという表現もよくわからない。
あぁ…この人はあれか…重度の薬中ってやつか…。それなら宗教にすがってそんな恰好をしてるのも仕方ないことだ。お大事にレグルスさん。
自分より可哀そうな人には優しく出来る育ちの良い僕は、レグルスさんを憐れんで見ていた。そうしたら彼の後ろから5m以上はある巨大な黒い塊がのっそり音もたてずに顔をのぞかせてきた。その黒い塊は6本角を持ったヤギの頭蓋骨の仮面を被り、両手には鎖付の手錠を身に着け巨大で質素なクワを手にしている。
僕はその異質な存在の登場に面をくらい二の句を告げないでいたが、レグルスさんは特に気にすることもなく口を開いた。
「今の話で君がそう思う理由はわからないけど、想像力が豊かなことはわかったよ。ちなみにかれこれ数千年は薬なんて飲んだことないよ、意外と頑丈なんだ僕は」
心を読んだ…のか?
飲んだくれのジーンが言葉と相手の精神、状況を狭めてやれば似たようなことは可能だと言ったことを思い出す。実際やられるとひどく動揺するな…状況は少し悪くなった。
「………、それで僕に何をやらせたいんです?」
「大したことじゃないよ。ちょっと前から【選定の儀】っていうのが開催されているんだけど、それに僕の【代理人】として君に参加してほしんだ。」
選定の儀?代理人??
駄目だな、何をするか以前に意図がわからない。
初めて会った子供の僕に自分の代理人をなぜ任そうとするんだ?
「もしその提案を断れば?」
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