これは少年ラーズの異世界物語

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第7話 選定の儀とは

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「これは驚いた…正真正銘ただの人間の子供だ…。その上かなり脆弱な部類の…。なぜこんな子供を神が代理人に選んだんだ??紳印は確かに刻まれている、間違いなく本物。親神とのやり取りはフィルターがかかってて私程度腕じゃ覗けないね…。」

 ふぅとベルモント(ドラゴン)さんが一息つき、僕の額につけた指をゆっくり離す。
 指に展開されていた青白く発光する魔法陣も音もなく消えた。

 地球以外では人の記憶を読めるのが珍しくもないのかな?
 一つ分かったのは他人の悪意のない独り言でも精神的ダメージは蓄積するってことだけだ。一瞬でも自分が人よりちょっと優れていると思ってた過去の自分が恥ずかしい。

「代理人に余計な肩入れするなと言われているが、流石に自分が置かれた状況もわからぬようではな…。これから先進んでいけば理不尽な目にもあうだろうし、理由も知らない子供にそれはあんまりだ。」

 ベルモントさんは椅子の上から2m以上はある両腕で僕を持ち上げ、自分胡坐の上に座らせた。てかてかとしたローブの肌触りが実に気持ちいい。

 そしてこれから僕は理不尽な目に合う可能性があるらしい。悪いニュースしかまだ見聞きしてないけど、大丈夫でしょうかレグルス様?

「前を見な」

 ベルモントさんは手を前方へと向けた。
 手の平にはおびただしい数の小さな文字が球体状にひしめき合いうごめいているのがわかる。

≪示せ≫

 鳴き声のようにつぶやかれたその言葉、空間そのものに命令しているようにも聞こえる。音に近いそれに呼応するように、無秩序だった文字達は帯状に前方へと伸びていくと、7つの巨大な垂れ幕のような文章へと姿を変えた。

 ベルモントさん、残念ながら僕は町の看板すらまともに読めないタイプの人間ですよ。そんな人間にそもそもドラゴン語で書かれた文章を見せたって読めるわけ…、あれ、読める。なんでだろう見たこともない文字なのに間違いなく目の前の文章が理解できる。


|||||


選定の儀

統治の権能を持つ主神を選ぶための儀式である。
主神が任期を満了するかその役割を担えない状態と判断された時、大紳による協議のもと開催は宣言される。宣言が発出された時をもって主神の権能は儀終了まで凍結される。

選定の儀の期間中統治の権能は法紳が神格名簿に記載されている全大紳と協議のもと代理として必要最低限の権能の行使を許されるものとする。緊急の際、法神は大副紳との協議のみで必要最低限の権能の行使を許されるものとする。

選定の儀の期間中いかなる理由があろうとも神格名簿からの抹消、追加を禁止するものとする。

選定は公平でかつ公正でなければならない。
選定方法は選定の儀管理者に一任され、いかなる者もそれに干渉してはならない。
選定結果は選定の儀管理者の承認によって確定するもとする。
選定結果をもってその代理人を選出した神に、統治の権能を占有することを認め、主神へと選任するものとする。
選定の結果はいかなる理由があろうとも覆してはならず、全ての神はそれを尊重しなければならない。

代理人は神格名簿に記載されている者から選出してはならない。
代理人は管理者が定めた種より選出しなければならない。

全ての神は代理人を選出し、選定の儀に参加させなければならない。
代理人を管理者が定めた定刻までに選出しない場合、その神格は剥奪されるものとする。但し選定の儀を管理・運営するものに限りそれを除外する。

神は自身の選出した代理人にのみ、加護という形で力の一部を貸し与える事が可能である。しかし与える加護は管理者の許諾を得たものでなければならない。

神は選定の儀の期間中 日に一度、100秒のみ代理人に助言を行うことが出来る。
但し助言内容は管理者の判断によって自由に制限出来るものとする。

神は選定の儀の期間中 10日に一度 1000秒のみ代理人に助言を行うことが出来る。
但し助言内容は管理者の判断によって自由に制限出来るものとする。





|||||


 契約書を読めるけどわからないとぼやいていたリーダー。
 本当は文字が読めないんだろうと疑っていたが、今ならリーダーの気持ち痛いほどわかる。ごめんねリーダー、文字が読めると見栄をはってたわけじゃなかったんだね。

 一番近い文章をさらっと読んで既にお腹一杯の僕は、視線をベルモントさんの長い顎下へ向け、助けを求めた。

「要するに選定の儀って何なんですか?」

 読むのを諦めた僕に呆れるベルモントさん。
 彼女からふふっと声が漏れたかと思うと、その青い大きな瞳で僕を見つめ、二カリと白い歯を見せてきた。

「まぁ言うなれば、20026柱の神々の頂点、主神の後釜をかけた神々の代理戦争の事をいうのさ。」

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