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────4章【咲夜と葵】
□4「むぎゅっ」
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****♡Side・葵
「んんッ…やんッ♡」
綺麗な咲夜。
良い匂いがして、花のように人を惹きつける。
儚くて、消えてしまいそうなほど美しい。
そんな彼が葵自身を整った指先で扱きながら奥に舌を這わす。官能的であり、支配欲も満たすのだ。
「もッ…ねえッ」
早く繋がりたくて、葵が甘えた声を出せば、彼は肩をすくめてクスッと笑った。”こらえ性がないんだから”と、でも言うように。むうッと、口を尖らせていると、ジェルとともに彼の指が奥に侵入し、一瞬意識が飛ぶ。
「はあんッ」
「葵はエッチな子だねッ」
指で奥にジェルを馴染ませるように優しく指を回しながら、耳元で彼が囁く。
「サクぅ…ぎゅってして?」
「うん」
彼はもう一方の腕を葵の背中に差し入れると、ぎゅっと抱き締めてくれた。暖かい彼の胸の中、ずっとここに居たい、葵はそんなことを思いながら彼の首に腕を絡める。思えば初めて逢った時から彼に惹かれていて、どうしても手に入れたくて、誰にもとられたくなくて、この身を差し出したのだ。
ねえ?俺の身体好き?
俺のことどれくらい好きでいてくれる?
久隆くんと同じくらい愛してくれる?
こんなこと聞いたら重いかな?
「葵、どうしたの?」
「サクぅ、大好きだよ」
「俺も、葵のこと大好き」
ニコッと破顔する彼に、葵はちゅっと口づけ、
「いっぱい愛して欲しいの」
と強請ると、
「愛してるよ。不安?」
と、彼。
「久隆くんと同じくらい愛されたいの」
と、上目使いで甘えるように言えば”可愛いッ”と強く抱き締められて、
「もちろん、愛してるよ」
と優しい声で告白される。部屋には”To The limit”が流れていた。
それは”恋人を失い、その人に囚われたまま先に進めなくなってしまう”という歌詞の曲。優しいその歌声が心を包むと同時に哀愁を誘い、秋を感じさせる。葵は思う、もし咲夜を失ってしまったなら自分もきっと、過去に囚われ先に進めなくなってしまうだろうと。それは久隆も同じ、だということを知っている。だから争わない、咲夜を愛する人がたくさん居ようとも、彼はこの世にたった一人しか居ないのだから。二人で咲夜を守ろうと誓ったあの日から、その想いは変わらない。
だからせめて、同じくらい愛されたいよ。
それくらいは許されるよね?
「とても、愛しいよ」
「サク…」
「!」
気付けば、葵の頬を涙が伝っていた。
「どうして泣くの?痛かった?」
慌てた彼が奥からゆっくりと指を引き抜くのがわかって、葵は更にぎゅっと抱きつく。もっと強く抱き締めて欲しくて。
「葵?」
「サクが好き、愛してるよ」
そっと後頭部を撫でる優しい彼の手の平。咲夜は葵の肩口に顔を埋め、何度も何度も愛を囁く。
「葵、泣かないでよ。どうしていいのかわからないよ」
「ずっと、一緒にいたいよ」
と震える声で告げれば、
「一緒にいてよ」
と悲しそうに言われる。
****
「時々不安になるんだ」
咲夜は葵の独白を聞きながら、頭を優しく撫でてくれていた。
「この関係に、いつか終わりが来てしまうんじゃないかって」
背中にあてられた腕から伝わる体温。咲夜を誰かに奪われるのが怖くて無理矢理関係を持ったから、力づくで繋いだ糸はいつか切れてしまうんじゃないか、そう思うと怖くなる。いつも明るく振舞ってはいるものの、怖くてたまらないのは葵も同じなのだ。
「葵。俺はね」
少し力のこもった腕は”決して逃さないよ”そういっているかのように感じる。
「葵にも久隆にもずっと一緒に居て欲しいの。月並みかもしれないけれど、死がこの世界から俺たちを別つ、その瞬間まで」
「サク」
「欲張りかもしれない。でも、どっちも離したくない。傍にいて欲しい」
”もう、泣かないで”彼はそういって葵を見つめた。
「ほら、目が腫れちゃうよ」
と彼に、ちゅっと目元に口づけられて葵は瞳を閉じる。
ただ咲夜と一緒に居たいだけだったら、自分は不安にはならないのだろう。自分は咲夜を愛しく想い、久隆が大好きなのだ。このバランスが壊れないことを何よりも願っている。大里の言動一つで揺らぎつつある今が怖い。
「大丈夫だよ」
自分たちは、バランスが崩れそうな瞬間を一度体験している。久隆のいない恐怖を。そして、自分は咲夜を突き放した時のあの寂しさを。葵は自分の立場を解かっていなかった、三人の乗るこの船の船長が自分であること。三人のバランスを保てるのが自分しか居ないことを。
「愛してるよ」
「サク」
慈愛の瞳、サラリと落ちるストレートの髪、整った造形のから生み出される笑顔、彼はどうしてそんなに綺麗なのだろう、まるで硝子細工のようだ。
「可愛い、俺の葵」
「ふふッ」
なんだかくすぐったくて肩を竦め恥ずかしそうに笑うと、頬を撫でられる。
「続きしていい?」
「う、うん」
「なあに?いつもは積極的なのに」
「なんだか、恥ずかしく…あッ」
「んんッ」
それ以上は言葉を紡ぐことが出来なかった。くぷぷッと蕾に入り込む咲夜自身を受け入れきることができず、一瞬力が入ってしまう。
「ゆっくり息吐いて」
「はあッ…」
「いい子」
「あああッ…んんッ♡」
葵は咲夜の熱に交わってゆく。久隆がその頃一階にて悲鳴を上げてることも知らずに。
「いいの?」
「うんッ」
何度も口付けを交わしながら、愛しい彼にぎゅっとしがみつけば幸せで満たされる。
「んんッ…やんッ♡」
綺麗な咲夜。
良い匂いがして、花のように人を惹きつける。
儚くて、消えてしまいそうなほど美しい。
そんな彼が葵自身を整った指先で扱きながら奥に舌を這わす。官能的であり、支配欲も満たすのだ。
「もッ…ねえッ」
早く繋がりたくて、葵が甘えた声を出せば、彼は肩をすくめてクスッと笑った。”こらえ性がないんだから”と、でも言うように。むうッと、口を尖らせていると、ジェルとともに彼の指が奥に侵入し、一瞬意識が飛ぶ。
「はあんッ」
「葵はエッチな子だねッ」
指で奥にジェルを馴染ませるように優しく指を回しながら、耳元で彼が囁く。
「サクぅ…ぎゅってして?」
「うん」
彼はもう一方の腕を葵の背中に差し入れると、ぎゅっと抱き締めてくれた。暖かい彼の胸の中、ずっとここに居たい、葵はそんなことを思いながら彼の首に腕を絡める。思えば初めて逢った時から彼に惹かれていて、どうしても手に入れたくて、誰にもとられたくなくて、この身を差し出したのだ。
ねえ?俺の身体好き?
俺のことどれくらい好きでいてくれる?
久隆くんと同じくらい愛してくれる?
こんなこと聞いたら重いかな?
「葵、どうしたの?」
「サクぅ、大好きだよ」
「俺も、葵のこと大好き」
ニコッと破顔する彼に、葵はちゅっと口づけ、
「いっぱい愛して欲しいの」
と強請ると、
「愛してるよ。不安?」
と、彼。
「久隆くんと同じくらい愛されたいの」
と、上目使いで甘えるように言えば”可愛いッ”と強く抱き締められて、
「もちろん、愛してるよ」
と優しい声で告白される。部屋には”To The limit”が流れていた。
それは”恋人を失い、その人に囚われたまま先に進めなくなってしまう”という歌詞の曲。優しいその歌声が心を包むと同時に哀愁を誘い、秋を感じさせる。葵は思う、もし咲夜を失ってしまったなら自分もきっと、過去に囚われ先に進めなくなってしまうだろうと。それは久隆も同じ、だということを知っている。だから争わない、咲夜を愛する人がたくさん居ようとも、彼はこの世にたった一人しか居ないのだから。二人で咲夜を守ろうと誓ったあの日から、その想いは変わらない。
だからせめて、同じくらい愛されたいよ。
それくらいは許されるよね?
「とても、愛しいよ」
「サク…」
「!」
気付けば、葵の頬を涙が伝っていた。
「どうして泣くの?痛かった?」
慌てた彼が奥からゆっくりと指を引き抜くのがわかって、葵は更にぎゅっと抱きつく。もっと強く抱き締めて欲しくて。
「葵?」
「サクが好き、愛してるよ」
そっと後頭部を撫でる優しい彼の手の平。咲夜は葵の肩口に顔を埋め、何度も何度も愛を囁く。
「葵、泣かないでよ。どうしていいのかわからないよ」
「ずっと、一緒にいたいよ」
と震える声で告げれば、
「一緒にいてよ」
と悲しそうに言われる。
****
「時々不安になるんだ」
咲夜は葵の独白を聞きながら、頭を優しく撫でてくれていた。
「この関係に、いつか終わりが来てしまうんじゃないかって」
背中にあてられた腕から伝わる体温。咲夜を誰かに奪われるのが怖くて無理矢理関係を持ったから、力づくで繋いだ糸はいつか切れてしまうんじゃないか、そう思うと怖くなる。いつも明るく振舞ってはいるものの、怖くてたまらないのは葵も同じなのだ。
「葵。俺はね」
少し力のこもった腕は”決して逃さないよ”そういっているかのように感じる。
「葵にも久隆にもずっと一緒に居て欲しいの。月並みかもしれないけれど、死がこの世界から俺たちを別つ、その瞬間まで」
「サク」
「欲張りかもしれない。でも、どっちも離したくない。傍にいて欲しい」
”もう、泣かないで”彼はそういって葵を見つめた。
「ほら、目が腫れちゃうよ」
と彼に、ちゅっと目元に口づけられて葵は瞳を閉じる。
ただ咲夜と一緒に居たいだけだったら、自分は不安にはならないのだろう。自分は咲夜を愛しく想い、久隆が大好きなのだ。このバランスが壊れないことを何よりも願っている。大里の言動一つで揺らぎつつある今が怖い。
「大丈夫だよ」
自分たちは、バランスが崩れそうな瞬間を一度体験している。久隆のいない恐怖を。そして、自分は咲夜を突き放した時のあの寂しさを。葵は自分の立場を解かっていなかった、三人の乗るこの船の船長が自分であること。三人のバランスを保てるのが自分しか居ないことを。
「愛してるよ」
「サク」
慈愛の瞳、サラリと落ちるストレートの髪、整った造形のから生み出される笑顔、彼はどうしてそんなに綺麗なのだろう、まるで硝子細工のようだ。
「可愛い、俺の葵」
「ふふッ」
なんだかくすぐったくて肩を竦め恥ずかしそうに笑うと、頬を撫でられる。
「続きしていい?」
「う、うん」
「なあに?いつもは積極的なのに」
「なんだか、恥ずかしく…あッ」
「んんッ」
それ以上は言葉を紡ぐことが出来なかった。くぷぷッと蕾に入り込む咲夜自身を受け入れきることができず、一瞬力が入ってしまう。
「ゆっくり息吐いて」
「はあッ…」
「いい子」
「あああッ…んんッ♡」
葵は咲夜の熱に交わってゆく。久隆がその頃一階にて悲鳴を上げてることも知らずに。
「いいの?」
「うんッ」
何度も口付けを交わしながら、愛しい彼にぎゅっとしがみつけば幸せで満たされる。
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