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────3話*俺のものだから
22・え⁈ そっち⁈
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****♡Side・電車
電車は慌てた。
『俺”も”してやろうか?』
彼は何かをしてくれようとしている。
明確ではない何かを。
事と次第によっては、何が何でも阻止しなければならない。
「俺、されたいんじゃなくてしたいんだよね」
電車は曖昧な笑みを浮かべ、イチかバチかの賭けに出る。
「ほーう」
塩田は、”面白いこと言うじゃないか”という表情をした。どうやらしくじったらしい。
「人の一張羅破っておいて、自分はされたくないってわけか」
──うわ。もしかして、パンツ破ったこと根に持ってる?
「まさか、本気でそんなことがまかり通ると思ってないよな?」
と、彼。
電車が履いている下着はお気に入りのバナナ柄。多少のことでは破けなそうなほど丈夫な、ボクサータイプのものである。
──こんなパンツ破いたって、色気もクソもないですよ!
塩田さぁん。
電車は心の中で頭を抱えたが、彼はやる気らしい。
「い、いや……俺のは丈夫でそう簡単には破けないし。破かなくてもいいんっじゃないかなー。ほら、また買わなきゃいけないとなると不経済だしさ」
「どの口が言ってるんだ?」
「こ、この可愛い口?」
電車はベッドの上を後ずさる。彼の手にはハサミが。
「紀夫、往生際が悪いぞ! 覚悟」
「ぎやああああああ!」
****♡Side・塩田
「ふん」
「塩田、ひどーい」
電車は、変な部分に穴を空けられたパンツに半泣きである。
「これじゃ、パンツの意味ないんだけど」
「用が足しやすいだろ?」
と、塩田。
「いや、猥褻物陳列罪で捕まっちゃうよ」
「なんだ、ズボンも履かない気か?」
「え? あ、いや。ズボンは履くけども」
「その言い方は、履かないつもりだったんだろ」
「はーきいーまあーすう!」
「変態め」
もうこれ、脱ぐしかないよ、とブツクサ言いながら彼は下着をぺろんと脱ぎ捨てる。そんな彼に、
「人のパンツを破くと痛い目に合うって肝に銘じるんだな」
と、塩田は言い捨てた。
「なんで、笑ってるの。塩田」
「いや、別に」
塩田は内心、喜んでいる。悪戯が成功した子供のように。
相手が電車だから出来ることのなのだ。今までだったら常に他人と距離を置き、必要以上に関わろうとはしなかった。彼は唯一心を許せる相手、自分らしさを受け入れてくれる相手だと思ってる。
「ねえ、塩田」
彼が塩田に抱きつき、甘えた声を出す。
「なんだ?」
「俺におパンティ買ってくれる?」
「いいぞ。スケスケバナナおパンティがいいのか?」
「何その、変態まっしぐらなセンス」
電車は眉を寄せ、泣きそうな顔をした。
「変態なんだから、問題ないだろ」
「ひどーい」
「ん? 変態じゃないって?」
「塩田の意地悪」
と言ってむぎゅっと抱きつく彼に、ちゅっと口づけると、
「ふふ。でも、大好きだよ」
と嬉しそうに微笑むのだった。
電車は慌てた。
『俺”も”してやろうか?』
彼は何かをしてくれようとしている。
明確ではない何かを。
事と次第によっては、何が何でも阻止しなければならない。
「俺、されたいんじゃなくてしたいんだよね」
電車は曖昧な笑みを浮かべ、イチかバチかの賭けに出る。
「ほーう」
塩田は、”面白いこと言うじゃないか”という表情をした。どうやらしくじったらしい。
「人の一張羅破っておいて、自分はされたくないってわけか」
──うわ。もしかして、パンツ破ったこと根に持ってる?
「まさか、本気でそんなことがまかり通ると思ってないよな?」
と、彼。
電車が履いている下着はお気に入りのバナナ柄。多少のことでは破けなそうなほど丈夫な、ボクサータイプのものである。
──こんなパンツ破いたって、色気もクソもないですよ!
塩田さぁん。
電車は心の中で頭を抱えたが、彼はやる気らしい。
「い、いや……俺のは丈夫でそう簡単には破けないし。破かなくてもいいんっじゃないかなー。ほら、また買わなきゃいけないとなると不経済だしさ」
「どの口が言ってるんだ?」
「こ、この可愛い口?」
電車はベッドの上を後ずさる。彼の手にはハサミが。
「紀夫、往生際が悪いぞ! 覚悟」
「ぎやああああああ!」
****♡Side・塩田
「ふん」
「塩田、ひどーい」
電車は、変な部分に穴を空けられたパンツに半泣きである。
「これじゃ、パンツの意味ないんだけど」
「用が足しやすいだろ?」
と、塩田。
「いや、猥褻物陳列罪で捕まっちゃうよ」
「なんだ、ズボンも履かない気か?」
「え? あ、いや。ズボンは履くけども」
「その言い方は、履かないつもりだったんだろ」
「はーきいーまあーすう!」
「変態め」
もうこれ、脱ぐしかないよ、とブツクサ言いながら彼は下着をぺろんと脱ぎ捨てる。そんな彼に、
「人のパンツを破くと痛い目に合うって肝に銘じるんだな」
と、塩田は言い捨てた。
「なんで、笑ってるの。塩田」
「いや、別に」
塩田は内心、喜んでいる。悪戯が成功した子供のように。
相手が電車だから出来ることのなのだ。今までだったら常に他人と距離を置き、必要以上に関わろうとはしなかった。彼は唯一心を許せる相手、自分らしさを受け入れてくれる相手だと思ってる。
「ねえ、塩田」
彼が塩田に抱きつき、甘えた声を出す。
「なんだ?」
「俺におパンティ買ってくれる?」
「いいぞ。スケスケバナナおパンティがいいのか?」
「何その、変態まっしぐらなセンス」
電車は眉を寄せ、泣きそうな顔をした。
「変態なんだから、問題ないだろ」
「ひどーい」
「ん? 変態じゃないって?」
「塩田の意地悪」
と言ってむぎゅっと抱きつく彼に、ちゅっと口づけると、
「ふふ。でも、大好きだよ」
と嬉しそうに微笑むのだった。
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