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────4話*水面下の戦い

14・皇を救うために、動き出す彼ら

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****♡Side・塩田

──なんだよ、可愛いじゃん。

 そんな事を思いながら電車でんまの代わりに腰かけると、彼を風呂場に見送った。
「皇」
「んー」
「布団行くぞ」
 塩田は皇の腕を掴むとテーブルから起こそうと引っ張り上げる。
「一緒に?」
と言う彼の言葉に何を言ってるんだと思いながら、
「そんなに酔って。一人で歩けるわけないだろ」
「じゃあ、抱っこ」
「馬鹿言うな」

──こりゃ、相当酔ってるな。

「えー」
「えーじゃない。ほら、立って」
 普段なら絶対言わないことを言う皇は正直可愛く見えた。
「じゃあ、キス。キスしてくれたら立つ」
「はあ……」
 塩田はため息をつくと、
「部屋まで行けたらしてやるよ」
「とか言って……」
「ほら」
 彼は不服そうな表情をしながらも塩田の力を借りて立ち上がる。ヨタヨタと歩く彼を連れて廊下を歩き、客間へ。

「ん、ふかふか」
 崩れ落ちる様に布団に突っ伏した皇は、子供のようにはしゃぎながら半回転する。そんな彼に塩田は覆いかぶさった。
「え……」
 塩田に顎を捉えられ驚く彼。そんな彼に塩田は無言で口づけた。
「んんッ……」
 塩田は課長に言われたことを思い出す。

『どんな手を使って手でも、皇を社長の毒牙から解放しろ』
 それが課長から受けた塩田たちへの指令だ。

「子供じゃないんだ、口開けろ」
「塩田ぁ……」
「甘えてもダメ」
 皇は塩田たちが自分を家に招いた真の目的を知らなかった。自分の過ぎた我儘のせいでこうなったと思っているに違いない。

「塩田、俺抜きでおっぱじめる気?」
 いつの間にか風呂から上がった電車が、部屋の入口で二人を眺めている。
「まだ、してない。音楽かけて」
「りょーかい」
 二人の雰囲気がいつもと違うことに恐怖を感じたのか、とろんとした目をした皇が塩田の腕に手を添えた。
「塩田、怖い」
 横になったことで更に酔いが回った彼は怯えたように塩田を見つめている。
 塩田は滅多にしない優しい笑みを浮かべると彼の耳元で、
「俺たちと、気持ちいいことしような。皇」
と囁く。
 大好きな塩田にそんな瞳を向けられたことに驚いたのか、
「塩田と?」
と呟くように問う。

「そうだよ」
「ん……する」
 皇は夢だと思っているのか、ぎゅっと塩田に抱きついた。
 塩田は電車の方に顔を向けると、
「準備は?」
と聞く。
 オーディオの前にいた電車でんまは振り返ると避妊具と性交用のジェルを軽く掲げてみせる。
 そして傍までやってくると、
「髪、乾かしてくるから始めてて」
と道具を枕元に置くと部屋を出て行った。

───え? 俺、されるのは初めてじゃないが、するのは初めてなんだが?

 塩田は電車を当てにしていた為、その指示に困惑したのだった。
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