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『二人を繋ぐ宝物の日々』
□奏の妹とは(4)【そんな青春あるかーい!】
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****side・夏海
「そういえばさ、春の交流会で」
K学園には夏海が通っていた当時、春の交流会という催しというのがあった。K学園では、学園祭の出し物が自由参加なためクラスのまとまりと他学年との交流を持とうということで開催されていた。
現在なくなっている理由としては理事長が代替わりしたことと、幼稚園から同じだった生徒が多いので必要ないのでは?とい意見が殺到したからである。しかも、圭一が生徒会にいた頃に。
(さすが、圭一)
「腐男子と腐女子やることになったんだけど」
「は?いつの間に?」
夏海ママ特製レアチーズケーキを”タルト部分が最高”と、突いていた望が夏海のほうに目を向ける。
「今日決めてたじゃない。のぞみん何してたのよ」
「ごめ、その時テトリスに夢中だったわ。それで?」
チーズケーキを口に持っていきながら。
「夏海がジュリエットに選ばれたのー。ジュリエットは美少女の夏海が適役だって!どうしよー」
全然どうしようと言う感じではない。
「美少女ふじょしが他にいないからでしょ。で、まさか、私にロミオやれってんじゃないわよね?」
「やだ!のぞみん冴えてるぅ」
ゲッツのような手を夏海は望に向けた。
「私、腐でもなければ男子でもないんだけど?」
「かたい事言わないでよー」
大体にして、夏海の奇怪な出来事には巻き込まれる運命である。
「めんろくさー」
フォークを加えながら望が言うと
「フォーク加えたまましゃべったら危ないでしょ!」
と、夏海に注意される。
「夏海あんた時々まともなこと言うから、調子狂うわ」
と、フォークを皿の上に置いた。
「で、どんな話なの?」
「愛と青春の物語よ」
夏海はやる気満々なのか、目をキラキラさせて話し出す。
「腐男子と腐女子が夜な夜な同人について熱く語り合い、時には受け攻めについて口論し合うの!そして二人の(同人)愛が互いの親にバレて引き裂かれるという物語」
「どんな青春よ、それ」
望は額に手をあて古畑任○郎のようなポーズを決めていた。
****
「なによ、頭痛?ロキソ○ンいる?」
夏海は真顔で。
「夏海に頭痛してるのよ」
望は顔をあげると肩を竦める。
「えー決め台詞もあるのに」
「なによ、決め台詞って」
「ロミオあなたは、何故腐男子なの?」
「理由聞くんかい!」
「ジュリエット何故、君は腐女子なんだい?」
「理由同じなんじゃないの?」
望は頬杖をつくとシラーっと夏海をみやる。
「ロミオが腐ったのはテ○プリのせいでジュリエットが腐ったのは○ガレンのせい」
「なんでもいいけど、古ッ」
「長年腐ってるってことよ、うん」
「青春って十代よね?その腐った人たち明らかに十代じゃなくない?!」
「産まれたときから腐ってるってことにすれば大丈夫」
「何が大丈夫なんだかわからないけど、その年齢詐称した腐男子と腐女子を十五歳の私たちが演技するってこと?」
夏海がうんうんと頷く。
「せめてさー○撃とかさあ…お○まつとか」
「だめだよ、オメガバースは青少年に悪影響与えるから!」
「いや、年齢詐称のが問題じゃない?(法的に)」
「大丈夫!ファンタジーだから」
”どういう問題よ”と望はツッコミを入れたくなる。
「ところで、この台本さ。同人について語り合う部分、アドリブって書いてあるんだけど」
「うん、二人でアドリブだよ」
夏海はニコニコしているが
「私、夏海のカオスな同人しか読んだ事ないから自信ないんだけど」
「大丈夫!ハズキ男子について語らい合えば」
「その話、長くなるんじゃ?」
「三時間くらいかな?」
「超大作じゃん」
望はゲンナリした。
****
「夏海あんたは毎日楽しそうでいいわねー」
頬杖をつきながら、タピオカドリンクのストローに口をつけ画面をみつめる望。
「そういえばタピオカの次は『わらび餅』が来るんだって!」
相変わらずスマホを操作しながらネタ探しをしていた夏海が声をあげた。
「は?わらび餅?じゃあ、しばらく主食いらなそうね」
”ふーん”と言いながら、ちらっと夏海の方に目を向け望がギョッとする。
「ちょ!ちょっと!何やってんの」
「何って、わらび餅描いてるんだけど?」
夏海は、わらび餅ドリンクを四人のソロリハズキ男子の手の先に持たせている。もうカオスどころではない。
「やっぱり、時代の一歩先行かないとね♪」
「北極でそんなもの持ってたら、一瞬で凍るわ!」
「えーっ、じゃあ電子レンジ持っていく」
”キャリーケースに入れるんかい!”と望はツッコミを入れるが
「電気通ってる?北極」
と、問われる。まったく話を聞いていない。
「自家発電装置持って行ったら?」
もう、どうにでもなれである。
「それだと大荷物じゃない?」
「しょうがないじゃないの、電子レンジ使いたいんでしょ?」
そもそもこの同人にそんなリアルさは要るのか?という話であるが。
「もう誰が主役なのか、わからないわね」
すでにどんな物語か想像もつかない。
「え?ハズキ○ーペだよ?」
「眼鏡が主役?」
「あ、ちがったハズキ男子。よし、描けたよ!SNSにアップしよっと♪」
夏海はわけのわからない同人のお試しバージョンをSNSで配信していたが、フォロワー数がびっくりするほど多い。しかしK学園の生徒ばかりである。どうやら夏海のクレイジーぷりを一目見ようとフォローしているらしいのだが。
「夏海のところのコメントって草(W)ばかりね」
「夏海のこときっと、牛だと思ってるんだわ!プンプン」
「牧草ってか…」
望は複雑な心境になったのだった。
****
「のぞみん!また来てね」
夕食を食べて行く様にすすめたら”タピオカでお腹いっぱいだからまた今度”と断られる。仕方がないので、運転手に望を送ってもらうことにした。
「夏海はいけるのになあ」
当然である。望はタピオカドリンクとチーズケーキを食したが夏海は食せず、望に自分の分を押し付けたのだ。酷いヤツである。
「お兄ちゃんとこ行こっと。今日こそ真咲さんと合体したかなあ?」
夏海は兄の恋人が来るたび合体報告を聞いているが今のところ第一希望は通ってないらしい。
早く合体しちゃえばいいのに!あんなにローションもゴムも買って…。
そういえばと、先日某大型のネットショッピングサイトから送られてきた小包みのことを思い出す。
12個入りが12個も送られてきたのよね。
全部で144個だよ?いくらなんでも尻壊れるんじゃないの?
一日何回頑張るつもりなんだろう?
兄奏がお馬鹿な為、12個入りのコンドームを間違えて12個注文したらしい。
妹も妹なら兄もキチガイである。
(詳しい経緯は「社長、またですか!」をどうぞ)
しかも、お兄ちゃんヘタレでタチ希望なのにネコらしいし
(真咲情報である)
てことは、壊すつもりで壊される感じ?
ボラ○ノールプレゼントしようかな?
夏海はスマホで某ショッピンクサイトのページをを開く。
何個いるんだろう?十個くらいあれば足りるかな?
(そこまでしてヤらないであろう)
うわ!タイプがいろいろあるうううう!
わからないから一種類ずつでいいか。
(どんだけ、痔の薬を買う気だ。夏海よ)
「お兄ちゃん、泣いて喜ぶね♪」
(喜ぶか!)
****
「お兄ちゃん!」
大好きな(ビジュアル的に)兄奏は一つ上だ。長男と言うこともあり、至れり尽くせりの部屋に住んでいる。冷蔵庫はあるし、簡易キッチンはあるし、バスルームやトイレもある。
将来結婚して同居ということも考えた部屋なのだろうが。
(兄は将来、三階建ての洋館を建て移り住む)
夏海たちの家からは電車で三十分かかるところにK学園はある。もちろん毎日車で送り迎えしてもらっているが。
まさか兄の息子と望の娘が幼馴染みで同級生になるなんて、この時の夏海は想像もしていなかった。
入る時は入り口から入るが出る時は廊下に面した障子を開け、腰くらいの高さの壁を乗り越えて廊下に出るのが夏海であった。
「なっちゃん」
「ねえ、今日こそは開通できた?」
「夏海ちゃんこんばんは」
「ぶっ」
兄の部屋には恋人の真咲がいた。こんなことはしょっちゅうである。夏海の質問にお茶を吹いたのは兄で、真咲は大仰にやれやれの仕草をした。
「まだなの?あんなにゴム買っといて」
真咲の隣に腰掛けながら。兄の部屋は二間続きで廊下に面したほうに畳部屋がありそこに廊下側の壁に寄せて黒い木の角テーブルを置き寛いでいた。
「今時ゆりかもめも走ってるのに、まだ開通してないなんて」
「いや、ゆりかもめ関係なくない?」
「瀬戸大橋だって」
「まって、時代遡ってるから!」
「門司港だって」
「日本南下してるし!」
夏海は不満そうに頬杖を付き口を尖らせる。
「ねえ、いつ開通するの?」
兄妹の会話に真咲が笑っている。
「うーん」
「今でしょ!」
「えーっ」
****
翌日。
まったく、お兄ちゃんはいつまでたってもヘタレなんだから。
いつもより少し早く着いた夏海は恒例の…
「腐女子が見ていたかくれんぼ♪桃尻ももじり出した子一等賞♪」
やっぱり、プッリッと活きがよくなきゃね!
「いいな いいな BLっていいな♪」
BLがない世界なんて考えられないわ!
「美味しいカップル(萌え萌え)イチャイチャお風呂♪」
たまらんねえ!
「彼氏の帰りを待ってるだろなー」
待ってなかったら、泥沼の三角関係かも知れん!
「君もなろう♪腐女子になろう♪」
人生薔薇色…もとい!肌色人生だあああ!
「いてっ!」
「なに、へんな歌唄ってんのよ」
「のぞみん!」
振り返ればヤツ…もとい、望がいた。
「今日は早いんだね」
「嫌な予感がして早めに来たら、変な歌が聴こえてきたのよ!」
「えー、どこどこ?」
「そこよ」
「えー美少女しかいないよー?」
「あんまり長く唄うと、棚《ラック》に目、つけられるわよ」
望は呆れ顔で肩を竦める。
「え?アフ棚ラック?」
「精神科は保険降りないんじゃないの?」
「間違えた!ジャス棚《ラック》さんだったー」
えへへーと夏海はわらってごまかす。
「どう間違ったら保険と違えるのよ」
「ぐわっぐわっ」
****
「そういえば、完成した同人はどうなったの?」
「あー」
望に問われ嬉しそうに笑う夏海。
「んとね、五千冊売れたよ」
「はあ?!」
K学園内で完売したらしい。
「一冊いくらだっけ?」
「三百円」
「百五十万?!」
望はぶっ飛んだが、印刷代とかを考えたら儲けはそれほどでもないらしい。それよりもあの奇怪な同人誌がそれほど売れたことにびっくりである。
「すごいでしょ?お祝いに何か奢ってよ!」
「ちょっと夏海あんた、セレブな上に人に背景やらペンギン描かせた上にそんだけ儲けて、まだ私から搾取しようっての?!悪代官かーい!」
「そういえば悪代官ってゲームあるよ、今度うちでやらない?」
「夏海あんたみたいなヤツが出てくるの?」
嫌味で言ったが伝わるはずもなく。
「正義の味方がやってくるのを罠で阻止するのよ!面白くない?」
「夏海あんたより面白いものこの世にないわよ」
「やだ、夏海最強ー!」
「そうね、最狂」
「うふふ」
夏海は喜んでいる。更にアホに磨きがかかった!
テレレテッテッテッテー!LV、UP。
「ところで、次はどんなの描く予定?」
いつの間にか着いていた教室のドアを開けながら。
「次こそ屈斜路湖で青姦と行きたいところだけど」
「いい加減、室内にしなさいよ」
「いや、だってさ。室内だと家具多いじゃない?」
夏海が珍しくまともなことを、と思ったが背景は望の担当である。
「ちゃぶだい一個でいいじゃないの」
「そんなあああああ!隣の○田くんじゃあるまいし」
「どうせハズキダンサーでひしめくんだから、背景なんていらないわよ」
「えー!じゃあ、掛け軸かいてくれる?」
「どんなやつよ」
「松尾芭蕉」
「難易度高いな、おい!」
またまた奇怪な作品の予感がぷんぷんするのであった。
「そういえばさ、春の交流会で」
K学園には夏海が通っていた当時、春の交流会という催しというのがあった。K学園では、学園祭の出し物が自由参加なためクラスのまとまりと他学年との交流を持とうということで開催されていた。
現在なくなっている理由としては理事長が代替わりしたことと、幼稚園から同じだった生徒が多いので必要ないのでは?とい意見が殺到したからである。しかも、圭一が生徒会にいた頃に。
(さすが、圭一)
「腐男子と腐女子やることになったんだけど」
「は?いつの間に?」
夏海ママ特製レアチーズケーキを”タルト部分が最高”と、突いていた望が夏海のほうに目を向ける。
「今日決めてたじゃない。のぞみん何してたのよ」
「ごめ、その時テトリスに夢中だったわ。それで?」
チーズケーキを口に持っていきながら。
「夏海がジュリエットに選ばれたのー。ジュリエットは美少女の夏海が適役だって!どうしよー」
全然どうしようと言う感じではない。
「美少女ふじょしが他にいないからでしょ。で、まさか、私にロミオやれってんじゃないわよね?」
「やだ!のぞみん冴えてるぅ」
ゲッツのような手を夏海は望に向けた。
「私、腐でもなければ男子でもないんだけど?」
「かたい事言わないでよー」
大体にして、夏海の奇怪な出来事には巻き込まれる運命である。
「めんろくさー」
フォークを加えながら望が言うと
「フォーク加えたまましゃべったら危ないでしょ!」
と、夏海に注意される。
「夏海あんた時々まともなこと言うから、調子狂うわ」
と、フォークを皿の上に置いた。
「で、どんな話なの?」
「愛と青春の物語よ」
夏海はやる気満々なのか、目をキラキラさせて話し出す。
「腐男子と腐女子が夜な夜な同人について熱く語り合い、時には受け攻めについて口論し合うの!そして二人の(同人)愛が互いの親にバレて引き裂かれるという物語」
「どんな青春よ、それ」
望は額に手をあて古畑任○郎のようなポーズを決めていた。
****
「なによ、頭痛?ロキソ○ンいる?」
夏海は真顔で。
「夏海に頭痛してるのよ」
望は顔をあげると肩を竦める。
「えー決め台詞もあるのに」
「なによ、決め台詞って」
「ロミオあなたは、何故腐男子なの?」
「理由聞くんかい!」
「ジュリエット何故、君は腐女子なんだい?」
「理由同じなんじゃないの?」
望は頬杖をつくとシラーっと夏海をみやる。
「ロミオが腐ったのはテ○プリのせいでジュリエットが腐ったのは○ガレンのせい」
「なんでもいいけど、古ッ」
「長年腐ってるってことよ、うん」
「青春って十代よね?その腐った人たち明らかに十代じゃなくない?!」
「産まれたときから腐ってるってことにすれば大丈夫」
「何が大丈夫なんだかわからないけど、その年齢詐称した腐男子と腐女子を十五歳の私たちが演技するってこと?」
夏海がうんうんと頷く。
「せめてさー○撃とかさあ…お○まつとか」
「だめだよ、オメガバースは青少年に悪影響与えるから!」
「いや、年齢詐称のが問題じゃない?(法的に)」
「大丈夫!ファンタジーだから」
”どういう問題よ”と望はツッコミを入れたくなる。
「ところで、この台本さ。同人について語り合う部分、アドリブって書いてあるんだけど」
「うん、二人でアドリブだよ」
夏海はニコニコしているが
「私、夏海のカオスな同人しか読んだ事ないから自信ないんだけど」
「大丈夫!ハズキ男子について語らい合えば」
「その話、長くなるんじゃ?」
「三時間くらいかな?」
「超大作じゃん」
望はゲンナリした。
****
「夏海あんたは毎日楽しそうでいいわねー」
頬杖をつきながら、タピオカドリンクのストローに口をつけ画面をみつめる望。
「そういえばタピオカの次は『わらび餅』が来るんだって!」
相変わらずスマホを操作しながらネタ探しをしていた夏海が声をあげた。
「は?わらび餅?じゃあ、しばらく主食いらなそうね」
”ふーん”と言いながら、ちらっと夏海の方に目を向け望がギョッとする。
「ちょ!ちょっと!何やってんの」
「何って、わらび餅描いてるんだけど?」
夏海は、わらび餅ドリンクを四人のソロリハズキ男子の手の先に持たせている。もうカオスどころではない。
「やっぱり、時代の一歩先行かないとね♪」
「北極でそんなもの持ってたら、一瞬で凍るわ!」
「えーっ、じゃあ電子レンジ持っていく」
”キャリーケースに入れるんかい!”と望はツッコミを入れるが
「電気通ってる?北極」
と、問われる。まったく話を聞いていない。
「自家発電装置持って行ったら?」
もう、どうにでもなれである。
「それだと大荷物じゃない?」
「しょうがないじゃないの、電子レンジ使いたいんでしょ?」
そもそもこの同人にそんなリアルさは要るのか?という話であるが。
「もう誰が主役なのか、わからないわね」
すでにどんな物語か想像もつかない。
「え?ハズキ○ーペだよ?」
「眼鏡が主役?」
「あ、ちがったハズキ男子。よし、描けたよ!SNSにアップしよっと♪」
夏海はわけのわからない同人のお試しバージョンをSNSで配信していたが、フォロワー数がびっくりするほど多い。しかしK学園の生徒ばかりである。どうやら夏海のクレイジーぷりを一目見ようとフォローしているらしいのだが。
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「夏海のこときっと、牛だと思ってるんだわ!プンプン」
「牧草ってか…」
望は複雑な心境になったのだった。
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「のぞみん!また来てね」
夕食を食べて行く様にすすめたら”タピオカでお腹いっぱいだからまた今度”と断られる。仕方がないので、運転手に望を送ってもらうことにした。
「夏海はいけるのになあ」
当然である。望はタピオカドリンクとチーズケーキを食したが夏海は食せず、望に自分の分を押し付けたのだ。酷いヤツである。
「お兄ちゃんとこ行こっと。今日こそ真咲さんと合体したかなあ?」
夏海は兄の恋人が来るたび合体報告を聞いているが今のところ第一希望は通ってないらしい。
早く合体しちゃえばいいのに!あんなにローションもゴムも買って…。
そういえばと、先日某大型のネットショッピングサイトから送られてきた小包みのことを思い出す。
12個入りが12個も送られてきたのよね。
全部で144個だよ?いくらなんでも尻壊れるんじゃないの?
一日何回頑張るつもりなんだろう?
兄奏がお馬鹿な為、12個入りのコンドームを間違えて12個注文したらしい。
妹も妹なら兄もキチガイである。
(詳しい経緯は「社長、またですか!」をどうぞ)
しかも、お兄ちゃんヘタレでタチ希望なのにネコらしいし
(真咲情報である)
てことは、壊すつもりで壊される感じ?
ボラ○ノールプレゼントしようかな?
夏海はスマホで某ショッピンクサイトのページをを開く。
何個いるんだろう?十個くらいあれば足りるかな?
(そこまでしてヤらないであろう)
うわ!タイプがいろいろあるうううう!
わからないから一種類ずつでいいか。
(どんだけ、痔の薬を買う気だ。夏海よ)
「お兄ちゃん、泣いて喜ぶね♪」
(喜ぶか!)
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「お兄ちゃん!」
大好きな(ビジュアル的に)兄奏は一つ上だ。長男と言うこともあり、至れり尽くせりの部屋に住んでいる。冷蔵庫はあるし、簡易キッチンはあるし、バスルームやトイレもある。
将来結婚して同居ということも考えた部屋なのだろうが。
(兄は将来、三階建ての洋館を建て移り住む)
夏海たちの家からは電車で三十分かかるところにK学園はある。もちろん毎日車で送り迎えしてもらっているが。
まさか兄の息子と望の娘が幼馴染みで同級生になるなんて、この時の夏海は想像もしていなかった。
入る時は入り口から入るが出る時は廊下に面した障子を開け、腰くらいの高さの壁を乗り越えて廊下に出るのが夏海であった。
「なっちゃん」
「ねえ、今日こそは開通できた?」
「夏海ちゃんこんばんは」
「ぶっ」
兄の部屋には恋人の真咲がいた。こんなことはしょっちゅうである。夏海の質問にお茶を吹いたのは兄で、真咲は大仰にやれやれの仕草をした。
「まだなの?あんなにゴム買っといて」
真咲の隣に腰掛けながら。兄の部屋は二間続きで廊下に面したほうに畳部屋がありそこに廊下側の壁に寄せて黒い木の角テーブルを置き寛いでいた。
「今時ゆりかもめも走ってるのに、まだ開通してないなんて」
「いや、ゆりかもめ関係なくない?」
「瀬戸大橋だって」
「まって、時代遡ってるから!」
「門司港だって」
「日本南下してるし!」
夏海は不満そうに頬杖を付き口を尖らせる。
「ねえ、いつ開通するの?」
兄妹の会話に真咲が笑っている。
「うーん」
「今でしょ!」
「えーっ」
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翌日。
まったく、お兄ちゃんはいつまでたってもヘタレなんだから。
いつもより少し早く着いた夏海は恒例の…
「腐女子が見ていたかくれんぼ♪桃尻ももじり出した子一等賞♪」
やっぱり、プッリッと活きがよくなきゃね!
「いいな いいな BLっていいな♪」
BLがない世界なんて考えられないわ!
「美味しいカップル(萌え萌え)イチャイチャお風呂♪」
たまらんねえ!
「彼氏の帰りを待ってるだろなー」
待ってなかったら、泥沼の三角関係かも知れん!
「君もなろう♪腐女子になろう♪」
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「いてっ!」
「なに、へんな歌唄ってんのよ」
「のぞみん!」
振り返ればヤツ…もとい、望がいた。
「今日は早いんだね」
「嫌な予感がして早めに来たら、変な歌が聴こえてきたのよ!」
「えー、どこどこ?」
「そこよ」
「えー美少女しかいないよー?」
「あんまり長く唄うと、棚《ラック》に目、つけられるわよ」
望は呆れ顔で肩を竦める。
「え?アフ棚ラック?」
「精神科は保険降りないんじゃないの?」
「間違えた!ジャス棚《ラック》さんだったー」
えへへーと夏海はわらってごまかす。
「どう間違ったら保険と違えるのよ」
「ぐわっぐわっ」
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「そういえば、完成した同人はどうなったの?」
「あー」
望に問われ嬉しそうに笑う夏海。
「んとね、五千冊売れたよ」
「はあ?!」
K学園内で完売したらしい。
「一冊いくらだっけ?」
「三百円」
「百五十万?!」
望はぶっ飛んだが、印刷代とかを考えたら儲けはそれほどでもないらしい。それよりもあの奇怪な同人誌がそれほど売れたことにびっくりである。
「すごいでしょ?お祝いに何か奢ってよ!」
「ちょっと夏海あんた、セレブな上に人に背景やらペンギン描かせた上にそんだけ儲けて、まだ私から搾取しようっての?!悪代官かーい!」
「そういえば悪代官ってゲームあるよ、今度うちでやらない?」
「夏海あんたみたいなヤツが出てくるの?」
嫌味で言ったが伝わるはずもなく。
「正義の味方がやってくるのを罠で阻止するのよ!面白くない?」
「夏海あんたより面白いものこの世にないわよ」
「やだ、夏海最強ー!」
「そうね、最狂」
「うふふ」
夏海は喜んでいる。更にアホに磨きがかかった!
テレレテッテッテッテー!LV、UP。
「ところで、次はどんなの描く予定?」
いつの間にか着いていた教室のドアを開けながら。
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「いや、だってさ。室内だと家具多いじゃない?」
夏海が珍しくまともなことを、と思ったが背景は望の担当である。
「ちゃぶだい一個でいいじゃないの」
「そんなあああああ!隣の○田くんじゃあるまいし」
「どうせハズキダンサーでひしめくんだから、背景なんていらないわよ」
「えー!じゃあ、掛け軸かいてくれる?」
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これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
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漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
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