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2 光と闇と
3 ヤキモチ妬きの恋人と自信のない自分
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****♡side・聖
「なんで不機嫌なのっ!」
結局執拗に久隆自身をくちゅくちゅしていたら彼がイってしまった上にのぼせてしまい、エッチは一旦おあずけ。
──分かっちゃいる。
悪いのは自分だってこと。
でも、ヤキモチ妬かす方もどうかと思うぞ?
「大里……」
「……ぷッ」
しょぼんとする彼が可愛いので、聖は思わず吹き出した。
「久隆、こっちおいで」
両腕を広げれば彼はいそいそとやってきて聖の膝にちょこんと腰かける。
「ごめんな」
「そんなにエッチしたかったの?」
笑ったことを謝る聖に追い討ちをかける久隆。やはり無自覚小悪魔だ。
「そりゃ……」
「夜、しよ?」
彼からのお誘いに聖は胸が踊った。何せ片思いのような気分がいつまでも抜けないものだから。
「いいのか?」
「うん」
頬を染め頷く彼が愛しくて、ちゅっと口づける。
この甘い時間が続けばいいと思っていたが、そうは問屋が卸さない。
二人が旅館の一階ロビーの土産物屋にいくと、チュロスの詰め放題をやっていた。久隆はどうやらそれをお土産にしたいらしく、聖に詰めるのを手伝ってと頼んで来たのだが。久隆の父の秘書に呼ばれ、彼は席を外してしまった。その間に起きたことで、彼が不機嫌になる。
──いや、俺……悪くないよな?
久隆が離席していた間に聖は次から次へと他校の女子生徒から逆ナンパされたのである。
「ずいぶん、おモテになりますね」
──久隆が戻ってきてからは明らかに久隆狙いだったぞ、あれは。
戻ってきた彼は柱に寄りかかり腕を組んで不機嫌そうにツンとしていた。身長こそ無いものの、クールに振る舞っている時の久隆はカッコいい。本人はわかっていないようだが。
「別に大里がモテるのは今に始まったわけじゃないけど。あんな……」
「ちゃんと全部断っただろ?」
「ふーん」
彼にヤキモチを妬かれるのは正直嬉しいが、せっかくの旅行だし念願の恋人になれたのだからイチャイチャしたいのだ、聖は。それなのにしょっちゅう不機嫌にさせてしまう自分に嫌気が差す。
「機嫌、直してよ」
腕を引き抱き寄せるが、彼はムッとしたまま。
「なあ? 頼むからさ」
と、ぎゅっと抱き締めると久隆は涙声て訴えてくる。
「大里は俺のなのにッ。なんでそうやってみんなに愛想良くするわけ?! あんな……今日しか会わない人にまでさ。だからみんな勘違いして……」
「……っ」
聖は自分自身の浅はかな考え方には後悔したのだが……。
──めちゃくちゃ可愛い!
聖は口元を抑え悶絶する。
「大里は、俺のなのに……」
「ごめんな」
よしよしと髪をなで機嫌をとろうとすると、彼は眉を寄せじいっと聖を見上げ、
「少し不恰好になったらいいと思う」
と進言してきた。
「背も少し縮めてさ。イケメン過ぎるからいけないんだよ」
と。
あまりの無茶振りに聖は肩を揺らし吹きそうなのを耐える。
ここで笑ったら、また彼を不機嫌にさせてしまうから。
──可愛すぎる。
どうしてくれようか……。
「声も良すぎるし、金持ちだしさ」
「ちょっと待て。金持ちなのは俺のせいじゃないぞ」
「少し貧乏になった方がいいんだよ」
「何を言ってるんだ、ほんと」
「大里が、カッコよすぎるから……だから」
「んーはいはい」
可愛い、と再び胸に抱き寄せちゅっとキスをする。
「久隆は今の俺じゃダメ?」
「!」
「カッコ悪い方が好きなの?」
「そうじゃ……ないけど……」
と聖の問いに、彼は目を泳がせた。
「もっと、久隆に好かれたいよ」
そんな彼の耳元で聖は甘く囁く。
そこで久隆は再び顔を上げ、
「好き……だよ?」
ときょとんとして、呟くように声にするが。
──何故不思議そうな顔をするんだ?
聖は首を傾げる彼を理解できない。
それはきっと自分に好かれている自信がないからであると、気付くのは少し後のことだった。
「大里?」
「ん、ああ……」
──なんだ、今の……。
「なんで不機嫌なのっ!」
結局執拗に久隆自身をくちゅくちゅしていたら彼がイってしまった上にのぼせてしまい、エッチは一旦おあずけ。
──分かっちゃいる。
悪いのは自分だってこと。
でも、ヤキモチ妬かす方もどうかと思うぞ?
「大里……」
「……ぷッ」
しょぼんとする彼が可愛いので、聖は思わず吹き出した。
「久隆、こっちおいで」
両腕を広げれば彼はいそいそとやってきて聖の膝にちょこんと腰かける。
「ごめんな」
「そんなにエッチしたかったの?」
笑ったことを謝る聖に追い討ちをかける久隆。やはり無自覚小悪魔だ。
「そりゃ……」
「夜、しよ?」
彼からのお誘いに聖は胸が踊った。何せ片思いのような気分がいつまでも抜けないものだから。
「いいのか?」
「うん」
頬を染め頷く彼が愛しくて、ちゅっと口づける。
この甘い時間が続けばいいと思っていたが、そうは問屋が卸さない。
二人が旅館の一階ロビーの土産物屋にいくと、チュロスの詰め放題をやっていた。久隆はどうやらそれをお土産にしたいらしく、聖に詰めるのを手伝ってと頼んで来たのだが。久隆の父の秘書に呼ばれ、彼は席を外してしまった。その間に起きたことで、彼が不機嫌になる。
──いや、俺……悪くないよな?
久隆が離席していた間に聖は次から次へと他校の女子生徒から逆ナンパされたのである。
「ずいぶん、おモテになりますね」
──久隆が戻ってきてからは明らかに久隆狙いだったぞ、あれは。
戻ってきた彼は柱に寄りかかり腕を組んで不機嫌そうにツンとしていた。身長こそ無いものの、クールに振る舞っている時の久隆はカッコいい。本人はわかっていないようだが。
「別に大里がモテるのは今に始まったわけじゃないけど。あんな……」
「ちゃんと全部断っただろ?」
「ふーん」
彼にヤキモチを妬かれるのは正直嬉しいが、せっかくの旅行だし念願の恋人になれたのだからイチャイチャしたいのだ、聖は。それなのにしょっちゅう不機嫌にさせてしまう自分に嫌気が差す。
「機嫌、直してよ」
腕を引き抱き寄せるが、彼はムッとしたまま。
「なあ? 頼むからさ」
と、ぎゅっと抱き締めると久隆は涙声て訴えてくる。
「大里は俺のなのにッ。なんでそうやってみんなに愛想良くするわけ?! あんな……今日しか会わない人にまでさ。だからみんな勘違いして……」
「……っ」
聖は自分自身の浅はかな考え方には後悔したのだが……。
──めちゃくちゃ可愛い!
聖は口元を抑え悶絶する。
「大里は、俺のなのに……」
「ごめんな」
よしよしと髪をなで機嫌をとろうとすると、彼は眉を寄せじいっと聖を見上げ、
「少し不恰好になったらいいと思う」
と進言してきた。
「背も少し縮めてさ。イケメン過ぎるからいけないんだよ」
と。
あまりの無茶振りに聖は肩を揺らし吹きそうなのを耐える。
ここで笑ったら、また彼を不機嫌にさせてしまうから。
──可愛すぎる。
どうしてくれようか……。
「声も良すぎるし、金持ちだしさ」
「ちょっと待て。金持ちなのは俺のせいじゃないぞ」
「少し貧乏になった方がいいんだよ」
「何を言ってるんだ、ほんと」
「大里が、カッコよすぎるから……だから」
「んーはいはい」
可愛い、と再び胸に抱き寄せちゅっとキスをする。
「久隆は今の俺じゃダメ?」
「!」
「カッコ悪い方が好きなの?」
「そうじゃ……ないけど……」
と聖の問いに、彼は目を泳がせた。
「もっと、久隆に好かれたいよ」
そんな彼の耳元で聖は甘く囁く。
そこで久隆は再び顔を上げ、
「好き……だよ?」
ときょとんとして、呟くように声にするが。
──何故不思議そうな顔をするんだ?
聖は首を傾げる彼を理解できない。
それはきっと自分に好かれている自信がないからであると、気付くのは少し後のことだった。
「大里?」
「ん、ああ……」
──なんだ、今の……。
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