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最終話 新たなる一歩
3 その疑問と元カノ
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あの日、二人で通ったタイル張りの歩道。街路樹からはすっかり葉が落ちてしまっていた。
「そう言えば、わたしとても気になっていたことがあるの」
もうすぐ図書館近くのアトリエが見えてくるころだなと思っていた戀は、急に話を振られ陽菜の方に視線を向ける。
「気になっていたこと?」
「そう。元カノさんの小説、途中までしか読んでないって言っていたじゃない?」
事情があってという言い方がまずかったのだろうか。
「理由が気になって」
「ああ、あれね」
戀はどのように説明するか非常に迷った。
理由は二つある。
彼女の夢はプロ作家。活動していたのはweb上であった。web小説には非常に疑問を感じるところが多い。
書籍化されたら校正や校閲が入る。誤字脱字が直されたり、読みやすさが上がるのは良いことだとは思うが、それは一定の基準によって直されていると言っても過言ではない。
つまり作者の意図した表現がそのまま残るとは限らないし、『はにをが』を直すことによっても受け取り方は変わってくる。
プロになることが悪いことだとはもちろん思ってはいないが、一般の標準に当てはめることで面白さはダウンするのではないかと感じているのだ。
人によっては読みやすさよりも、あえての長さを選ぶ場面もあるだろう。
句読点の『点』の位置一つで感じ方が変わってくるのも日本語の特徴の一つ。
だからプロ作家を目指す者はもちろんのこと、無料公開の趣味の範囲であっても何度も読み返して推敲《すいこう》したり、誤字脱字を修正したりするのだと思われる。
とは言え、やはり書籍化される経緯での公正とは違うだろう。
その言葉でなければならない理由は、公正する人には関係ないのだから。
それは必ずしも無関係とは言えないが、『豆腐はこの箱に入れるべきというルール』が存在するなら、別の箱に入れていた場合は入れなおされるということなのだ。
だが戀が彼女の小説を途中までしか読んでいないのはこれらが原因ではない。
「俺が彼女の小説を読んだのは別れた後。直後と言うか」
「そうなの」
小説投稿サイトにはいろんな機能が備わっている。そこにはもちろん『嫌な相手をブロックする機能』というものも存在するだろう。元カノは何カ所かで書いていた。恐らくある場所で賞に応募したからなのか、それらを削除したのである。つまり読める箇所が限られていった。
それと同時に元カノは戀をブロックしたのである。
「その……賞に応募していたサイトはたまたまブロックされていなくて、応援のつもりで途中まで一気読みしたんだよね」
レビューなどが選考に考慮されるサイトもあれば、まったく関係ないサイトもあると思う。閲覧数が非常に考慮されるサイトも存在はする。企業は道楽で賞を開催しているわけではないのだから。
だが一気読みしても最後まで読める量ではなかった。
仕方なしに途中で読むことをやめたが、翌日にはブロックされている可能性も考えてそのままとなったというわけだ。
「そこはね、応援したことが読者側からも目視できる場所でさ」
つまり、戀のした大量の応援は目視できる状態にあった。
「でも続きを読もうとしてブロックされていたらショックでしょ? だからしばらく放置していた」
そしてどうなったのか、勇気を出してサイトにINしたのが割と最近。その時に知ったのは、ブロックされていなかったことと彼女の作品が賞を取って書籍化されたことだった。その上、コミカライズされると言う。
「俺ね、その時なんだか嫌な気持ちになったんだよね」
応援した履歴は意図的に残したものなのだろうか?
となると、賞に少なからずとも自分のしたことは関与しているのではないか。そう思ったら、礼の一つくらい言っても良いんじゃないのかと思ってしまったのである。
「性格悪っ……て思って、読む気しなくなったんだ」
戀がゲンナリした顔で心中を述べると、ぽかんとした顔で話を聞いていた陽菜が吹き出したのだった。
「そう言えば、わたしとても気になっていたことがあるの」
もうすぐ図書館近くのアトリエが見えてくるころだなと思っていた戀は、急に話を振られ陽菜の方に視線を向ける。
「気になっていたこと?」
「そう。元カノさんの小説、途中までしか読んでないって言っていたじゃない?」
事情があってという言い方がまずかったのだろうか。
「理由が気になって」
「ああ、あれね」
戀はどのように説明するか非常に迷った。
理由は二つある。
彼女の夢はプロ作家。活動していたのはweb上であった。web小説には非常に疑問を感じるところが多い。
書籍化されたら校正や校閲が入る。誤字脱字が直されたり、読みやすさが上がるのは良いことだとは思うが、それは一定の基準によって直されていると言っても過言ではない。
つまり作者の意図した表現がそのまま残るとは限らないし、『はにをが』を直すことによっても受け取り方は変わってくる。
プロになることが悪いことだとはもちろん思ってはいないが、一般の標準に当てはめることで面白さはダウンするのではないかと感じているのだ。
人によっては読みやすさよりも、あえての長さを選ぶ場面もあるだろう。
句読点の『点』の位置一つで感じ方が変わってくるのも日本語の特徴の一つ。
だからプロ作家を目指す者はもちろんのこと、無料公開の趣味の範囲であっても何度も読み返して推敲《すいこう》したり、誤字脱字を修正したりするのだと思われる。
とは言え、やはり書籍化される経緯での公正とは違うだろう。
その言葉でなければならない理由は、公正する人には関係ないのだから。
それは必ずしも無関係とは言えないが、『豆腐はこの箱に入れるべきというルール』が存在するなら、別の箱に入れていた場合は入れなおされるということなのだ。
だが戀が彼女の小説を途中までしか読んでいないのはこれらが原因ではない。
「俺が彼女の小説を読んだのは別れた後。直後と言うか」
「そうなの」
小説投稿サイトにはいろんな機能が備わっている。そこにはもちろん『嫌な相手をブロックする機能』というものも存在するだろう。元カノは何カ所かで書いていた。恐らくある場所で賞に応募したからなのか、それらを削除したのである。つまり読める箇所が限られていった。
それと同時に元カノは戀をブロックしたのである。
「その……賞に応募していたサイトはたまたまブロックされていなくて、応援のつもりで途中まで一気読みしたんだよね」
レビューなどが選考に考慮されるサイトもあれば、まったく関係ないサイトもあると思う。閲覧数が非常に考慮されるサイトも存在はする。企業は道楽で賞を開催しているわけではないのだから。
だが一気読みしても最後まで読める量ではなかった。
仕方なしに途中で読むことをやめたが、翌日にはブロックされている可能性も考えてそのままとなったというわけだ。
「そこはね、応援したことが読者側からも目視できる場所でさ」
つまり、戀のした大量の応援は目視できる状態にあった。
「でも続きを読もうとしてブロックされていたらショックでしょ? だからしばらく放置していた」
そしてどうなったのか、勇気を出してサイトにINしたのが割と最近。その時に知ったのは、ブロックされていなかったことと彼女の作品が賞を取って書籍化されたことだった。その上、コミカライズされると言う。
「俺ね、その時なんだか嫌な気持ちになったんだよね」
応援した履歴は意図的に残したものなのだろうか?
となると、賞に少なからずとも自分のしたことは関与しているのではないか。そう思ったら、礼の一つくらい言っても良いんじゃないのかと思ってしまったのである。
「性格悪っ……て思って、読む気しなくなったんだ」
戀がゲンナリした顔で心中を述べると、ぽかんとした顔で話を聞いていた陽菜が吹き出したのだった。
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