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────1章【すれ違い続けた日々】
0 それは悪夢か、それとも……
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****♡Side・咲夜
こうなることを全く考えなかったわけではない。
しかし目の前に現実という名のボードが立ちはだかっており、咲夜は頭痛を覚えた。
──K学園は成績順でクラスが決まるのか……。
覚悟はしていたけれど。
「クラス、別になっちゃった」
隣で泣きべそをかいている愛しい恋人を抱き寄せると、小柄な彼がこちらを見上げる。髪を撫でればむぎゅっと抱きついてくるのが可愛らしい。
「来年は一緒のクラスになれるように頑張ろう?」
【霧島咲夜】はそう言って優しく抱きしめ返す。恋人である【片倉葵】は胸の中でうなずいた。
「霧島」
「ん?」
「浮気しないでね」
「したことないでしょ」
咲夜はクスっと笑うと彼の髪に口づける。
Aクラスの先頭に名前があるのは主席の証であった。父は五歳の時に他界。母が再婚したものの、中学二年の時に離婚。半分血がつながっていた幼い妹と引き離され、血の繋がらない父に引き取られた。今は学園の近くに葵と二人、保護者の許可を得てルームシェアしている。
「ホームルーム終わったら、迎えに行くから」
涙目で言う葵の手を引き講堂へ向かう。この学園には大きな講堂ある。あらかじめ入場券が配られておりクラスごとでなくともいいと聞いていた。
「どっちが先に終わるかなんてわからないでしょ?」
「霧島のクラスが見たいの」
「大して変わらないと思うけど」
咲夜は教室そのものを見たいのだと解釈していたが、葵が見たいのは”大崎 久隆”である。咲夜はそのことに気づいていなかった。
「帰りに買い物して帰ろうね」
葵を元気づけようと寄り道の話を切り出す。咲夜は料理が得意なため自炊をしている。隣には咲夜の祖父母が住んでいるがなるべく世話にならないようにと。
「みかん!」
「うん、買ってあげるよ」
葵はみかんが大好物だった。帰りの約束をしながら二人は急ぎ足で講堂へ入って行ったのだった。
こうなることを全く考えなかったわけではない。
しかし目の前に現実という名のボードが立ちはだかっており、咲夜は頭痛を覚えた。
──K学園は成績順でクラスが決まるのか……。
覚悟はしていたけれど。
「クラス、別になっちゃった」
隣で泣きべそをかいている愛しい恋人を抱き寄せると、小柄な彼がこちらを見上げる。髪を撫でればむぎゅっと抱きついてくるのが可愛らしい。
「来年は一緒のクラスになれるように頑張ろう?」
【霧島咲夜】はそう言って優しく抱きしめ返す。恋人である【片倉葵】は胸の中でうなずいた。
「霧島」
「ん?」
「浮気しないでね」
「したことないでしょ」
咲夜はクスっと笑うと彼の髪に口づける。
Aクラスの先頭に名前があるのは主席の証であった。父は五歳の時に他界。母が再婚したものの、中学二年の時に離婚。半分血がつながっていた幼い妹と引き離され、血の繋がらない父に引き取られた。今は学園の近くに葵と二人、保護者の許可を得てルームシェアしている。
「ホームルーム終わったら、迎えに行くから」
涙目で言う葵の手を引き講堂へ向かう。この学園には大きな講堂ある。あらかじめ入場券が配られておりクラスごとでなくともいいと聞いていた。
「どっちが先に終わるかなんてわからないでしょ?」
「霧島のクラスが見たいの」
「大して変わらないと思うけど」
咲夜は教室そのものを見たいのだと解釈していたが、葵が見たいのは”大崎 久隆”である。咲夜はそのことに気づいていなかった。
「帰りに買い物して帰ろうね」
葵を元気づけようと寄り道の話を切り出す。咲夜は料理が得意なため自炊をしている。隣には咲夜の祖父母が住んでいるがなるべく世話にならないようにと。
「みかん!」
「うん、買ってあげるよ」
葵はみかんが大好物だった。帰りの約束をしながら二人は急ぎ足で講堂へ入って行ったのだった。
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近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
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次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
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