R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日if 4.5*pure love『失いし運命と優しい恋人』

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────1章【すれ違い続けた日々】

1 咲夜の進む道

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 ****♡Side・咲夜

 ────人生とは分岐の連続であり、選択の連続でもある。


 大崎一族と姫川一族には古くから”運命の恋人”という因縁があった。それは何かと言えば、大崎一族と姫川一族の男児には互いに惹かれ合いながらも何らかの事情により”結ばれない運命となる相手”の存在する者が現れるとのこと。つまり男児として産まれて来たから、必ず相手がいるということではない。何らかの事情とは策略も含むが不慮の事故、病などのことである。
 そして互いの一族の者は”惹かれ合いながらも結ばれない運命の恋人同士”のことを皮肉を込め”運命の恋人”と呼んでいたのだ。

 あの時出逢った”くー”が【大崎久隆おおさきくりゅう】なら全ての辻褄つじつまが合う。五歳の時の実父の葬儀で逢った彼らは、大崎一族の者だったのだ。
『忘れてしまいなさい、結ばれることはないのだから』
 相手は有名なセレブ、一般人の自分とは釣り合わない。母はそう思ったから咲夜に言った言葉なのだと思っていた。一族ぐるみで”咲夜”に隠した”運命の恋人”の話。母は知らないからだと……。

 ──しかし事実は全然違っていた。

 咲夜の実父【姫川真咲ひめかわまさき】と大崎本家の長男であり現在の大崎グループの社長でもある【大崎奏《おおさきかなで》】は幼なじみであり以前は恋人だった。
 世は同性婚可能な時代。同性婚可能となって一世紀以上が経っている昨今、同性同士の恋愛に偏見を持つ者などいない。その上、大崎一族と姫川一族は懇意にしており”運命の恋人”同士が現れた時は全力でサポートすると誓っていたのだ。運命によって引き裂かれることのないように。

 ──父と”大崎奏”を引き裂いたのは”実母”だったのだ。

 それも母の想い人は”大崎奏”のほうだったらしく、父を利用したが計画は失敗。奏は”運命の恋人である真咲”を失ったショックにより他の人と結婚してしまったらしい。
 その真実を二人が知ったのは咲夜が三歳の時。久隆の実母の葬儀の時である。二人は子供たちが成人したら結婚しようと約束していたが、約束からたった二年で真咲は交通事故により帰らぬ人となってしまう。
 絶望した奏は酒に溺れる毎日だったという。

 一族が咲夜に”運命の恋人”について固く口を閉ざしていたのは、大好きだった父の辛い運命と母の悪事を晒すことになるからだったのだ。母もまた、実父のいない今、最愛の息子に自分の過去を知られてはならなかった。

 ────お母さん……。

 母はとても美しい人だった。父は姫川一の美貌の持ち主だったと言われている。二人の間に産まれた自分は中性的な美人と言われていた。
『咲夜、ごめんね』
 どんな事情があっても、咲夜は母と一緒に居たかったのだがそれは母に辛い道を歩ませることになる。咲夜をネタに、上司や取引先の者たちから体の関係を迫られたことは一度や二度ではなかったのだ。それを救ったのが咲夜の義理の父、霧島社長。
 それなのに。あの日、幸せだったはずの家族は再び地獄へと突き落とされることとなった。

 ──俺を救ってくれるのは、あの人しかいないのかもしれない。

 後に祖父母から聞いた話によれば真咲の葬儀の日、
『咲夜くんを引き取りたい』
 と大崎グループ社長の奏が母に話していたらしい。
 母と義理の父が離婚してしまった今、自分に後継者の椅子がまわってくることはないだろう。金も地位も求めてはいない。咲夜は恋人の”片倉葵”を救いたいのだ。
 しかしそれには大きな壁と問題があったのだ。
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