息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

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163・キャラクターの反乱バトル7

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163・キャラクターの反乱バトル7


「ふわぁ……眠たい……」

 本日の午後2時、あまりに不健康なのもなんだから……という理由で一応はやっているウォーキングより帰宅。眠いし昼寝でもしようと思いながら書矢は部屋に戻った。

「オナニーでもして寝るか」

 言いながらドアを開けたら……ギョ! っとしてすぐ開けたモノを閉じてしまう。そしてハァハァ……とやって落ち着こうと努力。

「な、なんだ……誰だ……」

 そう、部屋の中に誰かがいる。いや、見覚えがあるようにも思う。誰だっけ? とはげしい動揺の中で思い出そうとがんばる。

「おまえが作者か」

 ドアの向こうから聞こえるは女の声。それは聞いた事のないモノだったし、なんかプライドが高そうな音色だって気もする。

「だ、誰だ?」

 ほんの少しだけドアを開け、室内の床に座り込んでいる者に問う。

「わたしはビアンカだ。作者であるおまえと話がしたい」

 ビアンカという名前を聞いて書矢は青ざめる。やべぇ、これは絶対にやべぇ展開と思う。しかし自分の部屋の中に座られてはどうしようもない。仕方なくドアを開け室内へと進む。

「あの……ビアンカ……さん?」

 自分の作ったキャラにさん付けは屈辱という気もしたが、ひとまずは下手に出てみる。

「とりあえず座れ」

 胡坐をかいている女に言われ仕方なく向かいに位置した。同じようにあぐらをかいて向き合う。

(今度はビアンカ……)

 ピンク色の髪。長いポニーテール。凛々しい感じと美形がまざった色白美人。ピンクのスチールアーマーって格好だが、その下にあるのはすごい爆乳ってふくらみ。そして横に置いている剣などなど……それら特徴は書矢のキャラを具現化してくれた絵師が、書矢の要望に応えた良い仕事をしてくれたおかげ。

「作者、おまえの名前は?」

「か、書矢だ」

「そうか……」
  
 言い終えるとビアンカがグッと座ったまま前進。するとふわっと女体から流れ出るいいニオイが伝わってクラっとなる。ふつうなら思わず勃起! となりそうだがならない。なぜなら相手の目が怖いから。

「書矢……」

「は、はい……」

「ずいぶんな事をしてくれるなぁ。いったいどういう了見だ? 納得できる返事がもらえない場合は、ここでおまえを殺そうと思ってやってきた」

 ビアンカ曰く、昨日アップされた小説、前編の内容で自分は傷ついたという。なんせヒロインのアデリーヌを助けようと思ったら、悪い魔法を食らった仲間であるブルーノに殴られ蹴られ気絶。そうして気絶している間にイヤほど爆乳って乳を勝手に求められたのだから、怒りが収まらないのだという。

「まず聞く。後編でわたしはどうなるんだ?」

「え、えっと……」

「まさか……良いように扱われるってわけではないよな?」

「あぁ……っとその……」

「ふざけるな!」

 怒るビアンカの左腕が伸びた。そしてオドオドしている作者の首をつかんでギュッと締める。

「あぅおぅぅ……」

 苦しい、止めて……ともがく書矢。

「なぜこんな展開を書く! わたしは崇高な女キャラだろう! そしてわたしはカルロスに想いを寄せつつ、アデリーヌをサポートするって実にけなげなキャラクターでもあるはず。それをあまりに不意打ちな展開でブルーノに乳をねだられるとか……言え、なんでこんな展開にした!」

 激怒しながら手の力を緩めるビアンカ、さすればゼーゼーやりながら青い顔の書矢が説明。

「ど、読者数とかそういうのが……ちょっと低迷っぽくなったから、だからお色気を入れようと思ったんだ」

「なにぃ?」

「つまりその……魅力的なビアンカにがんばってもらおうかなって。だってほら、ビアンカって美人だし、すごい爆乳さん。読者をドキドキハァハァさせるために仕方がなかったんだ」

「まぁな、たしかにわたしは美人で爆乳で魅力的だ。でもそれなら、他にもやりようがあっただろう! なぜこんな外道な展開を書いたのかとわたしは納得ができない」

 再びギュッと書矢の首を絞め始めるビアンカの手。

「い、いや……だってほら」

「なんだ?」

「マジメなブルーノとプライドの高いビアンカが汚れると、読者に衝撃を与えられるかなと思って」

「貴様……わたしたちキャラをなんだと思っているんだ」

 ますますビアンカの目に殺意がこもっていく。このままではまずい、作者がキャラに殺されてしまう! と思ったので、グッと力を出し相手の手を押しのけた。そしてすぐに立ち上がり力強く言い放つ。

「ばかやろう、おまえこそ勘違いするなよビアンカ!」

「なんだと?」

「キャラなんだよ、たかがキャラクターなんだよ。わたしたちキャラをなんだと思っているんだとか言ったな? おまえらキャラは作者であるおれが楽しんだり成功するために必要な資源なんだよ。資源の分際で使い手である神に文句垂れるんじゃねぇよ。おれがおまえらを生み出した。おれがいないとおまえらは産声のひとつも上げられなかったんだ。それを思えばおまえの態度はなんだ、もっと自分をわきまえろビアンカ!」

 それは力強い言い切りだった。一見すれば逆ギレにしか見えないが、作者イコール神という立場の放つオーラが、ビアンカの怒りを上回った。

「く……」

 ギギギっと悔しがるビアンカ、剣を取って書矢を殺したいと思いながらも耐えている。

「書矢……」

「なんだ」

「後編はどうなる……」

「後編は……まぁ、たのしみにしていろ」

「ダメだ! このビアンカ、ブルーノに強制****させられるような展開はどうしても受け入れられん! これだけは、たとえ書矢が神であろうとなんだろうと耐えられん」

 立ち上がったビアンカ、ロングソートを手に持ち頼む! と心より哀願する。山より高いプライドの持ち主だが、それを捨てでも神にお願いするという姿勢は、さすがに書矢の胸を打つ。

「わ、わかった……まだアップしていないから、後で原稿を修正する」

「ほんとうか? 信じていいのか?」

「神を信じろ。ほんとうならブルーノのアレを突っ込まれ何回もイッてイキまくってやっと解放され、後でブルーノの子どもを身ごもるって展開にするつもりだったが、修正してやる」

「く……書矢の腐れ外道め……」

 ビアンカ、天井を見上げてから深い深呼吸をやって苛立ちをうすめた。そうしてここでは神の言う事を信じるとする。

「ただし……もし約束を破ったら……その時は神だろうとなんだろうと殺す。わたしは本気だからな、約束は守れよ?」

「守れよって、神に向かって偉そうに……」

「守れよ!?」

「わ、わかった……」

「うむ……」

 ビアンカはひとまずは納得してパソコン画面に手を当てようとする。だがそのとき、忘れていたとばかり書矢を見ながら伝える。

「書矢」

「なんだ?」

「ブルーノがな、わたしを殴って蹴って気絶させ、わたしの爆乳を夢中になってねだるなんて役割をさせられすごく傷ついている。今はショックから立ち直っていないわけであるが、立ち直ったら……」

「立ち直ったら?」

「書矢は激怒なブルーノに惨殺されるだろうな」

「ざ、惨殺……」

「ま、そういう事にならないように」

 フフっと小さく笑ったビアンカ、パソコンのモニターに手を軽く当てるとスーッとその姿を消した。すると部屋の中がいきなり静まり返る。たった一人が消えるだけでこんなにも……というくらい静か。しかしそれは書矢にとっては背筋が凍るような恐怖を感じさせた。

「と、とりあえず……原稿の修正をするか」

 なぜ神がキャラの要望に応じねばならないのだ! と思わなくもない。だが良い仕事を達成るために原稿を修正するのだと思うことで自分を納得させる書矢だった。
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