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ぶらり旅

無言の距離

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 俺は横跳びでなんとか攻撃を躱したが、それでは終わらないのが戦闘である。
 それにしてヤバイなあのシスターおっとりしてるかと思ったらかなりの超が付くほどのクレイジーシスターじゃんか!
 それにしてもやばすぎるだろAA-12はよ!
 AA-12とは、アメリカで開発された軍用散弾銃だ。
 普通のショットガンとは違う点はいちいち打つ度にコッキングする必要がないという点だ。
 あれは完全フルオートでセミオートも無い。そのためトリガーを引く指の力を調整するだけで単発か連射かを変えることが出来るのだ。
 弾薬は口径と同じ12ゲージ。マガジンも種類が2つあり、ボックスマガジンとドラムマガジンがある。
 あのクレイジーシスターが付けているのは運が良いことにボックスマガジンだ。
 ボックスマガジンは8発しか入らない。俺に撃ったのは4発。残りは4というわけだ。だが、もしもリロードする時、ボックスマガジンではなくドラムマガジンを出されたらやばすぎる! あれは最低でも20発入るからな。

「零奈、大丈夫!」
「ええ、なんとかね! それよりなんなのその女! 頭に蛆でも湧いてるんじゃないの!」
 どうやら零奈様は完全にキレてらっしゃるご様子ですな。

「それよりも弘毅なんとかしてよ!」
「なんとかって………」
 無茶言わないで下さいよ! 俺だって怖いんだから!

「いいから何とかする!」
「は、はい!」
 ババンッ!

「危なっ!」
 どうやら声で居場所がバレたらしく俺がバリケード代わりにしていた長椅子の背凭れに2つの風穴があく。
 俺はなんとかそれを躱して柱の裏に身を隠す。

「あ、あの! 俺たち人間だから! だから撃たないで!」
「なに、馬鹿な事言ってるの! こいつに話し合いが通じる訳ないでしょ!」
「で、でも……」
 いや、やっぱり平和が一番だと思うから。別に美人だから撃ちたくないって訳じゃ無いんだよ!………………本当だよ!

「いいから早くする!」
「分かりました!」
 俺は考える。あとあのシスターの弾数は2発。…………これならなんとかなるか!

「行け!」
 俺は右から出る振りをして左から隣の柱まで走る。運良くシスターはフェイントに引っ掛かってくれた。そして、残りは俺が隣の柱に隠れる寸前で撃ってきた。危な!少し擦ったよ!それでもシスターの残弾はゼロだ!
 俺は柱から飛び出しシスターに接近しようとする。

「早っ!」
 物凄い早さでリロードをする。ヤバイあれはドラムマガジン! それも32発入りの!
 でも、もう止まれない! 柱にも戻れない! なら、一か八か!
 リロードが終わり銃口が此方に向こうとしていた。死ぬかもしれないと思った時って本当にスローモーションに見えるだな。銃口がはっきりと見える。それでも俺は!

「どうにでもなれ!」
 俺は叫びながらシスターにタックルで押し倒す。
 俺は直ぐ様シスターのAA-12を奪い、放り捨てる。

「ふう、なんとかなったか」
 俺は安堵せずにはいられなかった。

「ねえ、弘毅」
「あ、零奈無地で良かった」
「無事良かった。じゃないわよ。なに、女を押し倒して襲おうとしてるのよ」
「え?」
 俺は今の状況を確認した。それは完全に気絶するシスターを押し倒して襲おうとしているようにしか見えなかった。

「ちがっ! これは!」
「最低」
「そ、そんなあああぁぁ!」
 神よ。どうか俺の無実を証明してください!
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