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ぶらり旅
車内の方が命の危険度大!!
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教会を出発して一週間が経過した。ちゃんとした日にちにすれば今日は6月3日、日中は暑さを感じさせるには十分だ。
それに――
「もう、なんでまだ着かないのよ!」
そう、未だに俺たちは目的地に到着していないのだ。
「不本意。弘毅が方向音痴のせい」
後ろで苛立ちを隠さない二人の熱気で車内は増すばかりだ。
「方向音痴を人のせいにしないで欲しいな。道案内は二人の役目だろ」
「来た事も無い場所なんだから当たり前でしょ」
「いや、それは僕も同じだけど」
この数日理不尽な事しか言われてない。スキル冷静沈着がなければ俺も怒っていたところだ。
だけど実際目的地に到着していないのは問題だ。車で移動している俺たちなら一日、最悪でも2日あれば到着すると思っていた。だが実際は崩れたビルや横転した車なので通行止めされており、別の道を通る羽目になる始末。カーナビがあれば良かったが、衛星が壊れているのか、破壊されたのか分からないが接続が出来ない。
その結果近くのコンビニや建物中から地図なんか探し出すのに一日費やし、道を間違えること十数回、行止まりで道を変えて遠回りすること数回、それが今の状況を作り出していたのだ。
それにしてもこの場所は家屋が少ないせいかゾンビも殆どいない。いたとしても無視。いちいち相手していたら限が無い。それに気が付いたら囲まれていました、なんて洒落にならないしな。
「それで次はどっちに曲がれば良いの?」
「次は右よ」
「否、左です」
「なんでよ!どうみても右でしょ。だって今はここなのよ。で、目的地がここなんだからどう考えても右じゃない」
「肯定。だけどこの地形から考えて車や瓦礫で道が通行止めの危険性が高い。だから左の方が結果的に早く着く。急がば回れ」
「本当に瓦礫で行き止まりか分からないじゃない。なってなかったら大幅な時間のロスよ。ここは賭けて見るべきよ」
「事実。零奈は賭け事に弱い。それはこれまでのゲームで確認済み」
「うっ」
確かに零奈は賭けに弱い。賭けなしで普通に遊べばそこそこ強い。一位を取ることもあれば最下位になることもたまにある。だけど賭けになれば何故か毎度最下位。ま、一番の理由としてはポーカーフェイスが出来てないからなんだろうが。ババ抜きなんて。超面白かったしね。ジョーカーなのか軽く手を動かせば直ぐに分かるほどだし。
ドン!
「痛て!いきなりなにするんだよ!」
「馬鹿にされた気がするから」
「だからって運転中の人の頭を蹴るか普通」
「安心して蹴ったのは座席の方だから」
いや、そう言う問題じゃないから!
「それで右と左どっち」
「右よ」
「左」
いや、だからどっちだよ。ちゃんと答えだして言ってくれよ。
「はぁ……こういう揉め事の時の解決方法は前に決めただろ」
「……仕方ないわね」
「異議なし」
「「最初はグー!じゃんけん、ポン!」
勝者、零奈。
「ふふふ、やはり勝利の女神は私の見方なのね」
「不明。主よ、何故このような胸も品の欠片も無い女を選ぶなんて。きっとこれも主から私に対する試練」
「なに、喧嘩売ってんの?」
「否。事実を主に聞いただけ。私はシスターだから」
「都合の良い時だけシスターのフリするんじゃないわよ!世界中のシスターに失礼よ!それにあんたの格好はただのコスプレでしょうが!」
「心外。私への暴言は神が黙ってはいない。天罰が下る」
「なんでアンタが神様より偉いことになってるのよ!」
ほんとこの二人仲が悪いよな。
「大体、私のどこに品がないっていうのよ!」
「謝罪。確かにその通り。私が間違っていた。心から謝罪する」
「わ、分かればいのよ!分かればね!」
「事実。確かに零奈にはある。貧が」
ビリビリビリビリッ!
「ああああぁぁ!地図が!」
「よ~~~く分かったわ!表に出なさい。このド腐れシスター」
「了承。丁度良いわ。神の使いである私が我侭で女王様気取りの貴方を木っ端微塵にしてあげる」
何故だ。ゾンビも居ないのにどうしてこうも殺伐とした空気になるんだよ。それとサラは殺意を表に出した時だけ女性らしい口調になるの止めて欲しい。逆に恐怖しか感じないから。
「弘毅、早く止めなさい。出ないと貴方の頭にも鉛をぶち込むわよ!」
「同意。さっさとしなさい。さもなくば貴方の頭を吹き飛ばされる羽目になるわよ」
駄目だ。殺意の発生で女王様が二人になった。でもこういう時の対処法を俺はこの数日の間に発見し手に入れたのだ!
「二人とも喧嘩するなら。ご飯もタバコもナシだからなね。それにもしも喧嘩してゾンビが集まったら皆危険に晒されるはめになる。そうならば僕らの誰かが噛まれる可能性だってある。俺は絶対にそんな事になって欲しくない」
「わ、分かったわよ。私もほんの僅か。いえ、1マイクロ。いえ、1ナノほど悪かったわ。
「反省。私も仲間が奴らになるのだけは嫌」
ふう、どうにか収まった。あんまりこんな使い方はしたくないけど。零奈は父親。サラは仲間を失っている。そのことに関連することを言えば大抵反省する。
それに――
「もう、なんでまだ着かないのよ!」
そう、未だに俺たちは目的地に到着していないのだ。
「不本意。弘毅が方向音痴のせい」
後ろで苛立ちを隠さない二人の熱気で車内は増すばかりだ。
「方向音痴を人のせいにしないで欲しいな。道案内は二人の役目だろ」
「来た事も無い場所なんだから当たり前でしょ」
「いや、それは僕も同じだけど」
この数日理不尽な事しか言われてない。スキル冷静沈着がなければ俺も怒っていたところだ。
だけど実際目的地に到着していないのは問題だ。車で移動している俺たちなら一日、最悪でも2日あれば到着すると思っていた。だが実際は崩れたビルや横転した車なので通行止めされており、別の道を通る羽目になる始末。カーナビがあれば良かったが、衛星が壊れているのか、破壊されたのか分からないが接続が出来ない。
その結果近くのコンビニや建物中から地図なんか探し出すのに一日費やし、道を間違えること十数回、行止まりで道を変えて遠回りすること数回、それが今の状況を作り出していたのだ。
それにしてもこの場所は家屋が少ないせいかゾンビも殆どいない。いたとしても無視。いちいち相手していたら限が無い。それに気が付いたら囲まれていました、なんて洒落にならないしな。
「それで次はどっちに曲がれば良いの?」
「次は右よ」
「否、左です」
「なんでよ!どうみても右でしょ。だって今はここなのよ。で、目的地がここなんだからどう考えても右じゃない」
「肯定。だけどこの地形から考えて車や瓦礫で道が通行止めの危険性が高い。だから左の方が結果的に早く着く。急がば回れ」
「本当に瓦礫で行き止まりか分からないじゃない。なってなかったら大幅な時間のロスよ。ここは賭けて見るべきよ」
「事実。零奈は賭け事に弱い。それはこれまでのゲームで確認済み」
「うっ」
確かに零奈は賭けに弱い。賭けなしで普通に遊べばそこそこ強い。一位を取ることもあれば最下位になることもたまにある。だけど賭けになれば何故か毎度最下位。ま、一番の理由としてはポーカーフェイスが出来てないからなんだろうが。ババ抜きなんて。超面白かったしね。ジョーカーなのか軽く手を動かせば直ぐに分かるほどだし。
ドン!
「痛て!いきなりなにするんだよ!」
「馬鹿にされた気がするから」
「だからって運転中の人の頭を蹴るか普通」
「安心して蹴ったのは座席の方だから」
いや、そう言う問題じゃないから!
「それで右と左どっち」
「右よ」
「左」
いや、だからどっちだよ。ちゃんと答えだして言ってくれよ。
「はぁ……こういう揉め事の時の解決方法は前に決めただろ」
「……仕方ないわね」
「異議なし」
「「最初はグー!じゃんけん、ポン!」
勝者、零奈。
「ふふふ、やはり勝利の女神は私の見方なのね」
「不明。主よ、何故このような胸も品の欠片も無い女を選ぶなんて。きっとこれも主から私に対する試練」
「なに、喧嘩売ってんの?」
「否。事実を主に聞いただけ。私はシスターだから」
「都合の良い時だけシスターのフリするんじゃないわよ!世界中のシスターに失礼よ!それにあんたの格好はただのコスプレでしょうが!」
「心外。私への暴言は神が黙ってはいない。天罰が下る」
「なんでアンタが神様より偉いことになってるのよ!」
ほんとこの二人仲が悪いよな。
「大体、私のどこに品がないっていうのよ!」
「謝罪。確かにその通り。私が間違っていた。心から謝罪する」
「わ、分かればいのよ!分かればね!」
「事実。確かに零奈にはある。貧が」
ビリビリビリビリッ!
「ああああぁぁ!地図が!」
「よ~~~く分かったわ!表に出なさい。このド腐れシスター」
「了承。丁度良いわ。神の使いである私が我侭で女王様気取りの貴方を木っ端微塵にしてあげる」
何故だ。ゾンビも居ないのにどうしてこうも殺伐とした空気になるんだよ。それとサラは殺意を表に出した時だけ女性らしい口調になるの止めて欲しい。逆に恐怖しか感じないから。
「弘毅、早く止めなさい。出ないと貴方の頭にも鉛をぶち込むわよ!」
「同意。さっさとしなさい。さもなくば貴方の頭を吹き飛ばされる羽目になるわよ」
駄目だ。殺意の発生で女王様が二人になった。でもこういう時の対処法を俺はこの数日の間に発見し手に入れたのだ!
「二人とも喧嘩するなら。ご飯もタバコもナシだからなね。それにもしも喧嘩してゾンビが集まったら皆危険に晒されるはめになる。そうならば僕らの誰かが噛まれる可能性だってある。俺は絶対にそんな事になって欲しくない」
「わ、分かったわよ。私もほんの僅か。いえ、1マイクロ。いえ、1ナノほど悪かったわ。
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