鬼に連れられ異世界へ〜基本俺はついでです〜

流れ華

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一章・・・宵の森

訓練は続く

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 その後も、基本的な魔法を教えてもらった。
一段落ついて、昼休憩を挟む。

「新月、さっき教えた火魔法を手の上に出し続けてくれる?」

「はい。」

イメージしやすくするために、指をパチンと鳴らすと、炎が発生する。空気をしっかり取り込むことを意識すれば温度が高くなり、炎は赤から青に変わっていく。
(これ、熱くないんだよな・・・術者には全く影響がないんだっけ。理屈はわからないけど、すごいよな・・・さすが魔法。)
紅月がはぐれフォレストウルフの肉塊を炙っていく。

「威力の調節と維持も、立派な訓練だからね。」

「はい。」

さっき威力を間違えて、手のひらサイズの炎を出すつもりが、大きな火柱になったことを思い出す。
(紅月さんが消してくれたからよかったものの・・・山火事になるかと思った・・・。)

「はい、もういいよ。味付けは自分でやってね。」

拳大の肉塊を渡される。
ちなみに、紅月はその肉塊を宙に浮かせて焼いていた。重力に干渉する魔法らしいが、魔法を始めたての新月にはまだ難しい。

「ありがとうございます。」

魔力を手に纏わせれば、熱さも感じないし汚れない。
軽く手を振って、塩コショウをかける。空間魔法はだいぶ慣れた。

「頂きます。
・・・!美味しい!」

口の中で肉汁があふれ、肉も柔らか過ぎず硬過ぎず、しっかりとした食べごたえがある。

「この森で生きる獣達は、美味しいものを沢山食べているからね。簡単な味付けだけでも十分美味しくいただける。」

そう言いながら紅月は新しい肉塊を取り出し、一瞬で炎に包む。
すぐに火を消すと、調理が終わっていた。

「コツを覚えれば時短も出来るから、ゆっくり覚えようか。」

「はい!」



「次は気配の消し方をやろうか。魔力を感じ取れるようになっているから、だいぶ簡単だと思うよ。」

少し意識してみると、身体の表面から微量に魔力が零れている。
紅月の方も意識してみると、極僅かに魔力が出ている。

「魔力が少し零れてます。」

「そうそう。その感じ取る意識を広げていくと、気配察知ができるようになる。それはまた後でやろう。
零れている魔力を最小限に抑えて、抑えて、抑えきると、」

紅月の気配が消える。
視界から外れられると、もうどこにいるか分からない。

「こんなふうに、相手の背後から近づくことも容易くなる。」

ポン、と後ろから頭に手を置かれる。

「やってごらん。」

自分の体の中に、零れていく魔力をしまう。
(あれ?意外と難しい・・・)

「自然と出てきてしまうものだから、少し難しいかもしれないね。しまうというよりは引き止めるイメージかな?」

言われた通りにやってみれば、少し息苦しいものの、零れていく魔力をゼロにできた。

「そんな感じだよ。
その状態を維持したまま、魔力を感じ取ろうとしてみて。」

周りに意識を飛ばすと、魔力が零れてしまった。

「あっ・・・」

「そう、結構難しいんだよ。だからしばらくは、その練習をしよう。
目標は、それを常に維持すること。

あ、今はもう解いていいよ。」

ほっとして力を抜く。
抑えていた魔力が零れる。
(あれ、なんか落ち着かない・・・)
ソワソワしてしまい、出ていく魔力を少し抑える。

「そんな感じで自然に身に付いていくから、コツコツやろう。」

「分かりました。」

紅月は満足気に頷くと、メチャクチャになった地面を見る。
焼けていたり、クレーターができていたり、削れていたり・・・

「綺麗にしよう。」

手を軽くふるえば元通り、綺麗に平らになる。

「す、凄い・・・!」

「これは“解呪ディスペル”と呼ばれるもの。魔法によって起きた現象を元通りに出来るんだよ。
ただ、魔法以外のもので変わったものは戻せないんだ。」

「勉強になります。」

自分もやってみようとしたが、紅月がすべて直してしまっていた。

「今日はこれで終わり。一度にやりすぎても体に悪いからね。
時間が無いわけじゃない。私たちの時間は無限だ。のんびりとやろう。」

「えっ、」

「ん?」

サラッと大事なことを言われている。

「む、無限なんですか?」

紅月が納得したように手を打つ。

「神の眷属になった時点で、私達の命は主のものなんだ。だから勝手に死ぬことは許されないし、傷付いたままでいることも許されない。」

「そ、そうなんですか・・・」

「大丈夫だよ。主は無闇に縛ることはしない。
望めば解放してくれる。」

転生という形で、と言われ肩を落とす。
(なんでこう、チートがついてくるのか・・・。いや、もう一旦考えるのやめよう。紅月さんに言われた通りに今日は休もう・・・)

口から乾いた笑いが零れる。
もう、チートの道からは逃れられないのかもしれない。

(だが諦めないぞ、俺のスローライフ・・・・・・!)

何故かその決心が、異様に虚しかった。







To Be Continued・・・・・・
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