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第36話 公爵家御曹司の来訪
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オズボーン家の園遊会の日の朝、私は朝から気もそぞろだった。
と言うのは、バーカムステッド様の来訪を家の誰にも言っていなかったので、ちゃんとモンフォール家の邸内に入れるかどうか、実はとても不安だったのだ。
あの後、迎えに来る手順について、私はオスカー様に学園で馬車に乗ろうと提案した。
学園には、いろいろな家のクルマがやって来るし、誰がどれに乗るかなんて、そこまで問題にはならない。
いや、もちろん、女性が他家の男性の馬車に乗り込むのは学園だって問題だが、それより、モンフォール家の邸内にバーカムステッド家の紋入りの馬車が堂々と入ってくる方が大問題だ。家族もいれば執事もいる。なんて説明すればいいのだろうか。
だが、バーカムステッド様は聞いてくれなかった。
ニコリと礼儀正しく微笑むと、大丈夫ですよとのたまった。
「でも、面倒なことが……」
「面倒なことって、どんなことですか? シュザンナ」
呼び捨てして欲しいと頼んだのは私だけど、それはパーティ会場の中だけでいいのでは?
「それは……」
それは、つまり、余程親しい親戚でもない限り、女性を迎えに来る馬車と言うものは婚約者かそれに準ずる場合だけ。でも、バーカムステッド様はそのいずれでもない。
私に、今、婚約者はいないし、名門公爵家のご子息と一緒の馬車と言うのは、誤解を呼びそう……
説明しにくい。
「呼ばれていないのに、侯爵家に入ろうと言うのです。これくらい、なんだと言うのです? 侯爵家に招待状なしで入ったことは、いずれ皆さんにも知られるわけでしょう?」
そう言われると、確かにその通りですわね……
やると言ったからには、それくらいは覚悟を決めないと。
「そうですとも、シュザンナ。それくらい出来なくて、どうするのです。がんばらなくては」
なんだか知らないが、オスカー様は力強くあおった。
***************
最初は無論、学園の中で馬車に乗せるつもりだった。
メガネっ子なんか、学園で乗せてやるのだって十分以上だ。なんだったら、往来で乗せてもいいくらいだ。
……と思っていたが、オスカーは180度方向転換した。
学園からよりも、公爵家からの方が馬車に乗っている時間が長い。
そこは厳密に計算した。
それから、いつもの癖で、ありとあらゆる可能性を検討した。
親友の大事な思い人だ。
自分は決して悪人ではない。
他人の不幸を願うだなんてもってのほかだ。
略奪愛だなんて、とんでもない。
そもそもそんな自信はない。
だが……とオスカーは考えた。
例えばなんかの間違いで、まあ、どんな間違いでもいいが、もし、ケネスの婚約がうまくいかなかったら……そりゃ一度婚約破棄しているし、両家の間はギクシャクしているらしいから可能性はある。
それはオスカーに関係したことではない。
その暁には、おいしくいただく可能性だってないわけではない。
あ、いや、おいしくいただくとはまた下賤な言い回しを。
つまり、その時には申し込めばいいわけだ。いいじゃないか、公爵家同士の縁組だ。
オスカーは、うっかり胸が高鳴った。
両親ももろ手を挙げて賛成してくれるに違いなかった。モンフォール家は、親戚関係にないが古くからの立派な家柄。どこにも何の問題もない。それどころか、すばらしい縁談と言えるだろう。
オスカーは可能性があれば用心深く布石を敷く男だった。
ここはぜひ、モンフォール家へ、自邸の最も重厚で高級な馬車で丁重にお迎えに上がるべきだ。
これがどこぞの伯爵家の娘だとでもいうなら、さすがに馬車を出すことにためらいがあったかもしれない。
だが、心配は要らない。
相手はモンフォール公爵家のご令嬢だ。
「まだ、母には黙っておこう」
オスカーは上機嫌で馬車の用意を命じた。
「あ、馬車は徹底的に磨いておけ。きれいにしておくんだぞ」
*******************
そろそろお迎えが来る時間になると、私は気が気でなくて、その辺を落ち着きなくウロウロしてしまった。
予定に入っていない、バーカムステッド家の馬車をうちの門番が通してくれるか。
執事のトマスは邸内にオスカー様を通してくれるのか。
バーカムステッド家のオスカー様の馬車は、もちろん特別あつらえの極上品で、しかもどこの富豪もどんなに真似したくても出来ない、先祖代々の公爵家の紋が入っていて、見間違えようのないものだった。
たまに学園で見かけることもあるが、当然ものすごく目立っていて、まぶしいくらいの威圧感があった。
貴族でない成金には紋章が垂涎の的だったし、高位の貴族にとっても最新式の軽くて性能の良い、贅沢極まりない真新しい馬車を平然と乗り回すだけの財力が、がっかりする位うらやましかったろう。
あの馬車なら乗っている人物が誰だかすぐわかる。
当主か、夫人か、それに準ずる人物以外は乗らない。
馬車の威力で無事、門番をクリアできますように。
仕度を終えて自分の部屋の窓から見張っていると、バーカムステッド家の馬車が公爵邸に入ってきた。
多分、門番はあっさり門を開けたのだろう。
玄関の方を見ていると、急ぎ足の執事がやってきていた。
馬車からは、非の打ちどころのない格好の紳士が一人、悠然と出て来た。
執事のトマスは小腰をかがめて、丁重に中へ案内している。
その人物はいかにも当然と言ったように、執事に軽くあごを引いて頷いて見せ、建物の中へ消えていった。
バーカムステッド家のオスカー様は、背の低い、目立たぬ容貌だが、これはもう、どうしようもないくらいに、どこかの大貴族の風格があった。
身のこなしと言い、トマスのような執事に最大限の礼儀を尽くされても、ごく当然と堂々としている振る舞いと言い、私よりわずか一歳しか上でないと言うのに、オスカー様、恐るべし。
執事も貴族を見る目はある。それと紋章入りの特注の馬車は偽造できるような代物ではない。大貴族の証明のようなものだ。
平然とオスカー様を案内しているうちの執事だって、きっと訳が分からなくて内心ドキドキで、両親が戻ってきたら、すぐに告げ口するに決まっている。なにしろ、まったく予定を聞かされていなかったのだから。
あまり付き合いのない公爵家の御曹司の来訪は、本来なら、1ヶ月は前に予告され、失礼がないように重々念押しがなされるべき大ごとなのだ。
「お嬢様、バーカムステッド家のオスカー様がお越しです」
執事はそれしか言わなかったが、目は口ほどもモノを言うと言うことわざが、この時ほど思い出されたことはなかった。
1.バーカムステッド公爵家のオスカー様御来訪のお約束を聞いておりませんでしたが、どうしてですか?
2.バーカムステッド公爵家のオスカー様と、どこでお知り合いになられたのですか?
3.バーカムステッド公爵家のオスカー様と、何の用事で、どこへ行くのですか?
無視しよう。
「そうですか。ではいきますわ」
トマスの(目から発せられた)質問にも、メアリ・アンとロンダの実際に口から発せられた質問にも、一切答えず、私も堂々と階下へ向かった。
客間ではバーカムステッド様が、いかにも当然と言った様子でゆったり待っていらした。
「お待たせいたしました」
彼はすっと立ち上がると、うれしそうに微笑んだ。
「待ってなんかいませんよ、モンフォール嬢。本当におきれいですね」
「まあ、ありがとうございます」
なにか、そらぞらしい。
これから私は、招かれもしていない園遊会に突撃するのだ。
ドキドキしてきた。
オスカー様は私がドキドキしているのを見て、余計にうれしそうになった。
「馬車を待たせています。行きましょう。モンフォール嬢」
足がすくんでしまう。オズボーン侯爵家の門の前で馬車を下ろされたらどうしよう。
馬車の紋章で、門は通してもらえても、オズボーン家の玄関のところで、中へ通してもらえなかったらどうしよう。
「行くんでしょ? モンフォール嬢」
低い、本当に聞こえないくらいの小声で、オスカー様がささやいた。
「僕が付いていますよ? ケネスに頼まれたんです」
ケネスも頑張っている。オスカー様も馬車を出してくれている。
私が足がすくんで動けないだなんて、それは……恥ずかしいことだわ。
「い、行きますわ……!」
私は、客間を出て、馬車に向かって歩き出した。
実現したいことがあったら、行動に出なくてはいけない。
考えること、実行すること。
途中から、ほほえみを湛えたオスカー様が手を取ってエスコートする。
「オスカーとお呼びください。その約束でしたよね?」
私は、後ろで、執事のトマス、執事見習いのジョン、その後ろに引かえていたメアリ・アンとロンダの耳がぐぃーーーんとこちらに伸びてきているのが、目に見えるような気がした。
あれ?
なんか、まずいのでは?
と言うのは、バーカムステッド様の来訪を家の誰にも言っていなかったので、ちゃんとモンフォール家の邸内に入れるかどうか、実はとても不安だったのだ。
あの後、迎えに来る手順について、私はオスカー様に学園で馬車に乗ろうと提案した。
学園には、いろいろな家のクルマがやって来るし、誰がどれに乗るかなんて、そこまで問題にはならない。
いや、もちろん、女性が他家の男性の馬車に乗り込むのは学園だって問題だが、それより、モンフォール家の邸内にバーカムステッド家の紋入りの馬車が堂々と入ってくる方が大問題だ。家族もいれば執事もいる。なんて説明すればいいのだろうか。
だが、バーカムステッド様は聞いてくれなかった。
ニコリと礼儀正しく微笑むと、大丈夫ですよとのたまった。
「でも、面倒なことが……」
「面倒なことって、どんなことですか? シュザンナ」
呼び捨てして欲しいと頼んだのは私だけど、それはパーティ会場の中だけでいいのでは?
「それは……」
それは、つまり、余程親しい親戚でもない限り、女性を迎えに来る馬車と言うものは婚約者かそれに準ずる場合だけ。でも、バーカムステッド様はそのいずれでもない。
私に、今、婚約者はいないし、名門公爵家のご子息と一緒の馬車と言うのは、誤解を呼びそう……
説明しにくい。
「呼ばれていないのに、侯爵家に入ろうと言うのです。これくらい、なんだと言うのです? 侯爵家に招待状なしで入ったことは、いずれ皆さんにも知られるわけでしょう?」
そう言われると、確かにその通りですわね……
やると言ったからには、それくらいは覚悟を決めないと。
「そうですとも、シュザンナ。それくらい出来なくて、どうするのです。がんばらなくては」
なんだか知らないが、オスカー様は力強くあおった。
***************
最初は無論、学園の中で馬車に乗せるつもりだった。
メガネっ子なんか、学園で乗せてやるのだって十分以上だ。なんだったら、往来で乗せてもいいくらいだ。
……と思っていたが、オスカーは180度方向転換した。
学園からよりも、公爵家からの方が馬車に乗っている時間が長い。
そこは厳密に計算した。
それから、いつもの癖で、ありとあらゆる可能性を検討した。
親友の大事な思い人だ。
自分は決して悪人ではない。
他人の不幸を願うだなんてもってのほかだ。
略奪愛だなんて、とんでもない。
そもそもそんな自信はない。
だが……とオスカーは考えた。
例えばなんかの間違いで、まあ、どんな間違いでもいいが、もし、ケネスの婚約がうまくいかなかったら……そりゃ一度婚約破棄しているし、両家の間はギクシャクしているらしいから可能性はある。
それはオスカーに関係したことではない。
その暁には、おいしくいただく可能性だってないわけではない。
あ、いや、おいしくいただくとはまた下賤な言い回しを。
つまり、その時には申し込めばいいわけだ。いいじゃないか、公爵家同士の縁組だ。
オスカーは、うっかり胸が高鳴った。
両親ももろ手を挙げて賛成してくれるに違いなかった。モンフォール家は、親戚関係にないが古くからの立派な家柄。どこにも何の問題もない。それどころか、すばらしい縁談と言えるだろう。
オスカーは可能性があれば用心深く布石を敷く男だった。
ここはぜひ、モンフォール家へ、自邸の最も重厚で高級な馬車で丁重にお迎えに上がるべきだ。
これがどこぞの伯爵家の娘だとでもいうなら、さすがに馬車を出すことにためらいがあったかもしれない。
だが、心配は要らない。
相手はモンフォール公爵家のご令嬢だ。
「まだ、母には黙っておこう」
オスカーは上機嫌で馬車の用意を命じた。
「あ、馬車は徹底的に磨いておけ。きれいにしておくんだぞ」
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そろそろお迎えが来る時間になると、私は気が気でなくて、その辺を落ち着きなくウロウロしてしまった。
予定に入っていない、バーカムステッド家の馬車をうちの門番が通してくれるか。
執事のトマスは邸内にオスカー様を通してくれるのか。
バーカムステッド家のオスカー様の馬車は、もちろん特別あつらえの極上品で、しかもどこの富豪もどんなに真似したくても出来ない、先祖代々の公爵家の紋が入っていて、見間違えようのないものだった。
たまに学園で見かけることもあるが、当然ものすごく目立っていて、まぶしいくらいの威圧感があった。
貴族でない成金には紋章が垂涎の的だったし、高位の貴族にとっても最新式の軽くて性能の良い、贅沢極まりない真新しい馬車を平然と乗り回すだけの財力が、がっかりする位うらやましかったろう。
あの馬車なら乗っている人物が誰だかすぐわかる。
当主か、夫人か、それに準ずる人物以外は乗らない。
馬車の威力で無事、門番をクリアできますように。
仕度を終えて自分の部屋の窓から見張っていると、バーカムステッド家の馬車が公爵邸に入ってきた。
多分、門番はあっさり門を開けたのだろう。
玄関の方を見ていると、急ぎ足の執事がやってきていた。
馬車からは、非の打ちどころのない格好の紳士が一人、悠然と出て来た。
執事のトマスは小腰をかがめて、丁重に中へ案内している。
その人物はいかにも当然と言ったように、執事に軽くあごを引いて頷いて見せ、建物の中へ消えていった。
バーカムステッド家のオスカー様は、背の低い、目立たぬ容貌だが、これはもう、どうしようもないくらいに、どこかの大貴族の風格があった。
身のこなしと言い、トマスのような執事に最大限の礼儀を尽くされても、ごく当然と堂々としている振る舞いと言い、私よりわずか一歳しか上でないと言うのに、オスカー様、恐るべし。
執事も貴族を見る目はある。それと紋章入りの特注の馬車は偽造できるような代物ではない。大貴族の証明のようなものだ。
平然とオスカー様を案内しているうちの執事だって、きっと訳が分からなくて内心ドキドキで、両親が戻ってきたら、すぐに告げ口するに決まっている。なにしろ、まったく予定を聞かされていなかったのだから。
あまり付き合いのない公爵家の御曹司の来訪は、本来なら、1ヶ月は前に予告され、失礼がないように重々念押しがなされるべき大ごとなのだ。
「お嬢様、バーカムステッド家のオスカー様がお越しです」
執事はそれしか言わなかったが、目は口ほどもモノを言うと言うことわざが、この時ほど思い出されたことはなかった。
1.バーカムステッド公爵家のオスカー様御来訪のお約束を聞いておりませんでしたが、どうしてですか?
2.バーカムステッド公爵家のオスカー様と、どこでお知り合いになられたのですか?
3.バーカムステッド公爵家のオスカー様と、何の用事で、どこへ行くのですか?
無視しよう。
「そうですか。ではいきますわ」
トマスの(目から発せられた)質問にも、メアリ・アンとロンダの実際に口から発せられた質問にも、一切答えず、私も堂々と階下へ向かった。
客間ではバーカムステッド様が、いかにも当然と言った様子でゆったり待っていらした。
「お待たせいたしました」
彼はすっと立ち上がると、うれしそうに微笑んだ。
「待ってなんかいませんよ、モンフォール嬢。本当におきれいですね」
「まあ、ありがとうございます」
なにか、そらぞらしい。
これから私は、招かれもしていない園遊会に突撃するのだ。
ドキドキしてきた。
オスカー様は私がドキドキしているのを見て、余計にうれしそうになった。
「馬車を待たせています。行きましょう。モンフォール嬢」
足がすくんでしまう。オズボーン侯爵家の門の前で馬車を下ろされたらどうしよう。
馬車の紋章で、門は通してもらえても、オズボーン家の玄関のところで、中へ通してもらえなかったらどうしよう。
「行くんでしょ? モンフォール嬢」
低い、本当に聞こえないくらいの小声で、オスカー様がささやいた。
「僕が付いていますよ? ケネスに頼まれたんです」
ケネスも頑張っている。オスカー様も馬車を出してくれている。
私が足がすくんで動けないだなんて、それは……恥ずかしいことだわ。
「い、行きますわ……!」
私は、客間を出て、馬車に向かって歩き出した。
実現したいことがあったら、行動に出なくてはいけない。
考えること、実行すること。
途中から、ほほえみを湛えたオスカー様が手を取ってエスコートする。
「オスカーとお呼びください。その約束でしたよね?」
私は、後ろで、執事のトマス、執事見習いのジョン、その後ろに引かえていたメアリ・アンとロンダの耳がぐぃーーーんとこちらに伸びてきているのが、目に見えるような気がした。
あれ?
なんか、まずいのでは?
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