ハズレ職? いいえ、天職です

陸奥

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出会いと不穏の兆し

森の中を散策

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 アルテイル様から精神世界で魔力コントロールを教わり、特訓してから早5年。5歳となった私はなに不自由なく貴族生活を送っている。ただこの5年間で色々変化することがあった。

 まず一つは屋敷の中を歩き回って、父様の書庫に入り浸れるようになったこと。これはまだ一才になりたての時に、たまたま興味を引いた本を眺めてたら親バカモードになった父様が許可をしたからだ。なんでも、「我が次女は神童だ!」という理由でらしい。まったく、過大評価すぎだ。

 その次に姉と兄が色々と構ってくれることだ。姉はイリスと言う名前で兄はロベルトという名前で、ちなみに姉様は12歳で兄様は10歳。勉学は全て家庭教師がしてくれてるらしい。この二人が両親に続いて色々と私に構いたいらしくて、姉様は勉強を、兄様は父様や母様に黙って剣術や体術を教えてくれている。

 この二人が教えてくれる勉強や体術、剣術はためになるからありがたい。まあ、スキルのおかげですぐ覚えちゃうんだけど。

 それから両親の過保護が緩和して、護衛をつけてなら屋敷のそばにある森の中を探検していいことになった。理由として屋敷での探検だ。あっちこっち行きすぎて、屋敷内を知り尽くしてしまったから。それと、父様に色々と聞きすぎたというのが主な原因でもある。

「きょうはーもりー!」

 護衛の人をつけて森の中を散策。今日の護衛の人の名前はケニスという人で、屋敷で仕えてくれる人の中で何かと気を遣ってくれる人たちの一人だ。ちなみに剣術も兄様と一緒にこっそり教えてくれる人だったりもする。強いかどうかと聞かれたら……微妙、かな?

 ちなみにさん付けしたらメイド長のメイサに怒られた。家臣に敬称つけるのは貴族としてなってないっ! て。だから敬称もつけず敬語もなしで話もしている。

「シェリル様、森のどこにいくんです?」

「おく!」

「奥までですか!?」

 奥まで行くと言ったらすんごい驚かれた。それも心なしか顔色が悪い感じもする。

 何か問題あるのかな?

「ケニス? なにかある?」

「何かというより魔獣がでたりして危険ですよ!」

なるほど魔獣か。それはおっかないよね。

 でも、魔獣対峙は避けたいけど奥に行ってみたいのも確か。奥に何があるかわからないけど、行かないといけない理由がある。そう、直感が示している。

「おく、ダメ?」

「うぐっ」

 5歳児だからできる上目遣い+涙目というあざと可愛い攻撃。ケニスはこれに弱く、何度も無茶を聞いてくれていた。

 だから今日も押し通せるだろう。

「だ、ダメです!」

「ダメ、なの?」

「そ、そんな目をされてもダメなものはダメです!!」

 なんと、今回はダメだった。いつもならちょろいのに。もしかして耐性でもついてしまったのか?

 負けじとうるうるとした目で見上げると、両手で顔を隠して膝をついてしまった。これは後一押しくらいだろうか? ならばとっておきをしてみよう。

「ちょっとみるだけ、だめ?」

 地面についた膝に両手を置いてケニスを至近距離から見上げるという荒技だ。これなら折れてくれるのではないだろうか?

「ちょっと、だけですよっ!?」

勝った!!

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