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別れと始まり
クエストの前に
しおりを挟む初めて受けるであろうクエストに胸を躍らせながらギルドへ向かう。その道中、クエストでの注意点を兄さんやケニスたちから聞いていた。
「Fランクのクエストとはいえモンスターは必ず出る。それも、強さ関係なく、だ」
「つまり、ワイら冒険者がクエストで気いつけとらんといけへんのは常に周りに気を配って油断せえへんことや」
「油断してたらあの世行き。新米の冒険者の死因が大体がそれなんだ」
兄さん、セイル、ケニスが続け様に助言してくれることはとてもありがたい。ありがたいんだけど怖すぎだ。油断した為に命を落とすなんてことはしたくない。
熟練の冒険者は様々なことを知っているから勉強にはなる。だから、彼らの話を聞かないわけにはいかないし、聞いたからには活かさないと。
そう心に決めていればギルドに着いて中に入る。ギルドに入ってきた私たちに視線が来るのはきっと中にいる冒険者たちの数が少ないからなんだろう。たぶん。
「ユウキ、これがクエストボードだ。これからクエストを選ぶんだが……っと、あった」
受付カウンターの左側の壁にびっしりと貼ってある紙の前に行けば、それはすごい量のクエストの紙だった。その中から兄さんが選び取ったのは薬草と忘れ草、忘れな草の採取だった。
「ユウキ、この草はワスレグサとワスレナグサといって似ている草だから間違えるなよ?エリもだ」
「わかった」
「わかってるさね」
兄さんが言うほどなんだから間違えやすいんだろう。【鑑定】持ってて良かったけど気をつけていこう。
「ねえ兄さん。匂いとか嗅いじゃダメだったりする?」
「いや、口に入れたり噛んだりしなければ問題はないぞ。だから、ヴァイスに持って来させるのはやめろよ?」
やっぱりダメなんだ。じゃあヴァイスには持ってくるのはやめさせて在処を報せるだけにしてもらおう。じゃないと、ヴァイスに何か起こったら大変だし心配だもの。
「あ、いたいた!モルヴィスさーん!」
大きな声で兄さんを呼ぶ声が聞こえたと思ったら、受付カウンターから身を乗り出すようにこちらに手を振るギルド職員のお姉さん。
兄さんに何か用があるみたいだけど、どうしたんだろう?
「村長さんがギルドマスターと一緒に会議室でお待ちです!受注する予定のクエストがあったらこちらでお預かりします!」
そういえば村長さんのところに挨拶しに行くって言ってたんだったよね。私自身冒険者になれてことに浮かれて忘れてた。兄さんやケニスたちを見ると、みんな目を逸らせたりしているからみんなも忘れてたんだろうね。
素直に謝れば許してくれるかな?
「ユウキ、エリ。クエストは村長とギルドマスターに挨拶をして少し話をしてからにするぞ」
「後回しにできないことだからね。私はいいよ」
「妾も良いよ。クエストは受付で預かっていてもらえるみたいだしねぇ」
私もエリも同じ意見だったみたいだ。クエストの期限はないみたいだし、少し話し込んでも大丈夫だろう。
「そうとなれば早速村長とギルドマスターに挨拶するか。ケニスたちもだ」
ケニスたちもってことは何か重要な話をするのかな?そう考えながら兄さんたちと一緒に会議室へむかった。
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