3 / 9
異世界再訪するサイコパス編
第三話
しおりを挟む
不死なのに死んでしまうとは情けない。そんな冗談を言ってしまうくらいにあっけなくソフィーとアリスは死んでしまった。魔女が強いと言われている割には何の手応えもなくあっさりと殺すことが出来たのだ。俺の思っている不死とこの世界の不死は違う意味なのだろうか。
「逝姫に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「なにかな?」
「不死ってさ、死なないこと以外に意味ってあるの?」
「あるわけないでしょ。不死って言ったら、殺すことも出来ないくらい無敵って意味なの。まあ、あいつら以上に強いんだったら殺すことも出来るかもしれないけど、そんなのは大魔王クラスの力でもないと無理ね。それに、あんたが殺した魔女って四人の魔女の中でも戦闘に特化した二人なんだからさ、この世界にやってきてまだ完全に適合していないあなたが勝とうなんて十年早いわよ。あれ、なんで魔女を殺せてるの?」
「なんでって言われても、金髪の方は俺の近くにやってきたんで攻撃してみたら死んでしまったし、銀髪の方は俺が殺した金髪の仇だとか言いながら攻撃してきたから殺したんだよね」
「ねえ、あなたってこの世界に来てまだ一時間も経ってないわよね?」
「正確な時間はわからないけどそうだと思うよ。それがどうかしたの?」
「どうかしたのって、あなたがいた世界は日常的に暴力もないし破壊活動だって無いじゃない。それなのに、どうして躊躇することもなく魔女を殺すことが出来るの?」
「どうしてって、俺が強いからじゃないか」
「強いって言ったって、あんたはまだ何の力も授けられていないのよ。それなのに、どうして、ねえ、どうしてなの?」
「そう言われてもね。俺はさ、逝姫も知ってると思うけど、何回か異世界に転生させられているんだよね。転移だった時もあるけどさ。それで、そっちの世界で何度かルシファーを倒したり共闘したり復活させたりしてたんだ。その名残なのかはわからないけど、この世界でもその時の経験と力を使えるみたいだね。でもさ、残念なことにその時に使っていた道具はどこにもないみたいなんだ。どうにかして取り戻す方法はないかな?」
「そんなの反則よ。今から私があなたに授ける力がどう考えても必要無いじゃない。軽くあなたの力をサーチしてみたけど、ほとんど最強クラスの能力で詠唱もなしで最高位の魔法も使えるってどういう事よ。しかも、自分の魔力は消費せずに相手の魔力を無理やり奪い取って使うっておかしいわ。おかしすぎるわ」
「そうしないと勝てない敵がいたんだよ。名前はどうしても思い出せないんだけど、万物創世の神とか言ってたかな」
「それは私達の神様なんですけど。あんたはいったいどんな世界を渡り歩いてきたのよ」
「別に俺も好きで私歩いていたわけじゃないんだけどね」
そんな事を話している間にも金髪のアリスと銀髪のソフィーは体を再生させて襲ってこようとしてたのだが、俺はあいつらが完全に復活する前に息の根を止めてやった。止めたところでまた蘇るのだろうが、それでも俺は襲われそうなので仕方なく殺すことにしていた。
「なんだか気は進まないけど、今からあなたに神の祝福を授けます。私が今のあなたに一番必要な力を授けるかあなた自身が一番欲しい力を手に入れるか選びなさい。さあ、やり直しはきかないので慎重に選ぶのです」
逝姫から提案された能力やスキルは正直に言ってしまえば必要のないモノばかりだった。物を爆弾に帰る能力は一見すると使えそうな気もするけれど、威力は使用者の能力に比例するという事なので、やり方を間違えてしまうとこの世界もろとも消し飛んでしまう恐れもありそうだ。透明になる能力は少しだけ惹かれたが、体が消えるだけの能力らしいので視力に頼らない相手には意味のないモノだろう。他にも空を飛べたり、武器を修理出来たり、投擲武器の命中率が恐ろしいほど上がるというものもあったのだが、そもそも俺は投擲武器を使うことは無いのだ。
結局、俺は貰える能力を考えるのにしばらくかかってしまい、不死の姉妹を何度も何度も殺していた。復活する前に殺しているので、正確に言うと殺人ではないのかもしれないけれど、俺は蘇ろうとする二人を何度も何度も屠っていた。
色々見ていて気になったモノがあったのだが、回復系の能力ももらえるようだ。俺は戦闘に特化しているので回復魔法が欲しいと思ってはいたのだ。しかし、そもそもダメージを受けるような相手と一対一で戦うこともなかった事もあって自分では回復系の魔法を覚えようとはせず、一緒に行動していたみさきにその辺りを任せていたこともあった。いや、みさきの方が攻撃に特化していた時期もあったような気はするのだが、そんな時でも俺は回復系の魔法を使うことは無かった。というよりも、俺の能力系統では回復魔法を使うことは出来ないところまで攻撃に特化してしまっていた。これが戦闘に特化しているのであれば回復も必要になってくるのだが、俺は戦うというよりも破壊したり一方的に相手を痛めつけることがメインだった。今もこうして二人の魔女を一方的に痛めつけているしな。
「この回復のやつってさ、俺でも使えるわけ?」
「使えないやつを提案するわけないでしょ。戦うのが好きで頭おかしくなってるんじゃないの?」
「いや、別に戦うのは好きじゃないんだよね。俺が聞いたのは理由があって、俺は自分の能力が攻撃に特化し過ぎてて回復系の魔法は覚えることが出来なかったんだ。だからさ、ここで選んで使えなかったら意味ないなって思ったんだけど」
「大丈夫よ。私が与えるのは魔法じゃないので代償も必要ないよ」
「じゃあ、この回復にしとくよ」
「回復量はあなたの能力に比例するからね」
俺はどれくらいの回復量があるのか試すためにちょうど目の前に転がっている二人の魔女を使うことにした。最初はどうやって回復させるのか戸惑っていたのだけれど、二時間ほど繰り返していると慣れてきて、体の半分だけ回復させることにも成功していた。まあ、普通の人間にこれを試したところで体が半分無いのでは生きていられないと思うのだがね。
とにかく、俺は攻撃する事だけではなく相手を回復させるという手段を手に入れたのだ。壊すのと治すのを同時に行えるというのは、尋問をする時につかえそうだなと思ってみた。
「逝姫に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「なにかな?」
「不死ってさ、死なないこと以外に意味ってあるの?」
「あるわけないでしょ。不死って言ったら、殺すことも出来ないくらい無敵って意味なの。まあ、あいつら以上に強いんだったら殺すことも出来るかもしれないけど、そんなのは大魔王クラスの力でもないと無理ね。それに、あんたが殺した魔女って四人の魔女の中でも戦闘に特化した二人なんだからさ、この世界にやってきてまだ完全に適合していないあなたが勝とうなんて十年早いわよ。あれ、なんで魔女を殺せてるの?」
「なんでって言われても、金髪の方は俺の近くにやってきたんで攻撃してみたら死んでしまったし、銀髪の方は俺が殺した金髪の仇だとか言いながら攻撃してきたから殺したんだよね」
「ねえ、あなたってこの世界に来てまだ一時間も経ってないわよね?」
「正確な時間はわからないけどそうだと思うよ。それがどうかしたの?」
「どうかしたのって、あなたがいた世界は日常的に暴力もないし破壊活動だって無いじゃない。それなのに、どうして躊躇することもなく魔女を殺すことが出来るの?」
「どうしてって、俺が強いからじゃないか」
「強いって言ったって、あんたはまだ何の力も授けられていないのよ。それなのに、どうして、ねえ、どうしてなの?」
「そう言われてもね。俺はさ、逝姫も知ってると思うけど、何回か異世界に転生させられているんだよね。転移だった時もあるけどさ。それで、そっちの世界で何度かルシファーを倒したり共闘したり復活させたりしてたんだ。その名残なのかはわからないけど、この世界でもその時の経験と力を使えるみたいだね。でもさ、残念なことにその時に使っていた道具はどこにもないみたいなんだ。どうにかして取り戻す方法はないかな?」
「そんなの反則よ。今から私があなたに授ける力がどう考えても必要無いじゃない。軽くあなたの力をサーチしてみたけど、ほとんど最強クラスの能力で詠唱もなしで最高位の魔法も使えるってどういう事よ。しかも、自分の魔力は消費せずに相手の魔力を無理やり奪い取って使うっておかしいわ。おかしすぎるわ」
「そうしないと勝てない敵がいたんだよ。名前はどうしても思い出せないんだけど、万物創世の神とか言ってたかな」
「それは私達の神様なんですけど。あんたはいったいどんな世界を渡り歩いてきたのよ」
「別に俺も好きで私歩いていたわけじゃないんだけどね」
そんな事を話している間にも金髪のアリスと銀髪のソフィーは体を再生させて襲ってこようとしてたのだが、俺はあいつらが完全に復活する前に息の根を止めてやった。止めたところでまた蘇るのだろうが、それでも俺は襲われそうなので仕方なく殺すことにしていた。
「なんだか気は進まないけど、今からあなたに神の祝福を授けます。私が今のあなたに一番必要な力を授けるかあなた自身が一番欲しい力を手に入れるか選びなさい。さあ、やり直しはきかないので慎重に選ぶのです」
逝姫から提案された能力やスキルは正直に言ってしまえば必要のないモノばかりだった。物を爆弾に帰る能力は一見すると使えそうな気もするけれど、威力は使用者の能力に比例するという事なので、やり方を間違えてしまうとこの世界もろとも消し飛んでしまう恐れもありそうだ。透明になる能力は少しだけ惹かれたが、体が消えるだけの能力らしいので視力に頼らない相手には意味のないモノだろう。他にも空を飛べたり、武器を修理出来たり、投擲武器の命中率が恐ろしいほど上がるというものもあったのだが、そもそも俺は投擲武器を使うことは無いのだ。
結局、俺は貰える能力を考えるのにしばらくかかってしまい、不死の姉妹を何度も何度も殺していた。復活する前に殺しているので、正確に言うと殺人ではないのかもしれないけれど、俺は蘇ろうとする二人を何度も何度も屠っていた。
色々見ていて気になったモノがあったのだが、回復系の能力ももらえるようだ。俺は戦闘に特化しているので回復魔法が欲しいと思ってはいたのだ。しかし、そもそもダメージを受けるような相手と一対一で戦うこともなかった事もあって自分では回復系の魔法を覚えようとはせず、一緒に行動していたみさきにその辺りを任せていたこともあった。いや、みさきの方が攻撃に特化していた時期もあったような気はするのだが、そんな時でも俺は回復系の魔法を使うことは無かった。というよりも、俺の能力系統では回復魔法を使うことは出来ないところまで攻撃に特化してしまっていた。これが戦闘に特化しているのであれば回復も必要になってくるのだが、俺は戦うというよりも破壊したり一方的に相手を痛めつけることがメインだった。今もこうして二人の魔女を一方的に痛めつけているしな。
「この回復のやつってさ、俺でも使えるわけ?」
「使えないやつを提案するわけないでしょ。戦うのが好きで頭おかしくなってるんじゃないの?」
「いや、別に戦うのは好きじゃないんだよね。俺が聞いたのは理由があって、俺は自分の能力が攻撃に特化し過ぎてて回復系の魔法は覚えることが出来なかったんだ。だからさ、ここで選んで使えなかったら意味ないなって思ったんだけど」
「大丈夫よ。私が与えるのは魔法じゃないので代償も必要ないよ」
「じゃあ、この回復にしとくよ」
「回復量はあなたの能力に比例するからね」
俺はどれくらいの回復量があるのか試すためにちょうど目の前に転がっている二人の魔女を使うことにした。最初はどうやって回復させるのか戸惑っていたのだけれど、二時間ほど繰り返していると慣れてきて、体の半分だけ回復させることにも成功していた。まあ、普通の人間にこれを試したところで体が半分無いのでは生きていられないと思うのだがね。
とにかく、俺は攻撃する事だけではなく相手を回復させるという手段を手に入れたのだ。壊すのと治すのを同時に行えるというのは、尋問をする時につかえそうだなと思ってみた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる