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鈴木美波編
悩める鈴木さんと金髪少女と先生 第8話(全14話)
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視聴覚準備室に鈴木さんが来てからもしばらくの間はお菓子を摘まみつつソフィアさんがまだ終えてない夏休みの宿題の手伝いなどをしていた。
担当教科ではないのであまり力にはなれないかと思っていたが、意外と覚えているもので我ながら感心してしまった。
もちろん、答えをそのまま教えるわけもなく、正解への道筋を優しく丁寧に教えていった。
「先生って教えるの好きだよね」
鈴木さんがそう呟くと
「そうかもしれないなぁ」と自然に返答していた。
「ごめんごめん、鈴木さんの話って何かな?」
「ああ、その話はソフィーの宿題が終わってからにしてもいいですか?」
「うん、それでもかまわないよ」
お菓子を適当につまみつつ、二人でソフィアさんの宿題を手伝ったり、鈴木さんの夏休みの思い出話を聞いたりしていた。
夏休みの間はほとんどの時間をソフィアと過ごしていたらしい。
鈴木さんは学業優秀品行方正なため、当然数学の宿題は出ていない。
テスト前には二人でテスト勉強もしていたはずなのに、成績に差が出ているのほ普段の授業態度の問題だと僕は思っている。
鈴木さんはどんな授業でも真面目に受けていて、ノートもしっかりと綺麗にまとめているだろう。
ソフィアさんの場合は、僕の授業に限ってかもしれないがとても真面目に受けているとは言い難い。
歴史全般が好きなのかもしれないが、ソフィアさんは自分が知っている人物や出来事が登場するとそれにまつわる雑学や豆知識を披露してしまうので、たびたび授業が止まって脱線することがあった。
その知識のほとんどが、マンガやゲームからきているので必ずしも正しい事とは限らないのだが、それを強く覚えてしまっているためにテストではケアレスミスが多くなってしまっていた。
数学の場合は見た限りでは、単純な計算間違いや説明文の読み間違いが多いみたいだった。
最後の問題を解いた時には二人が飲んでいたジュースも空になっていたので、二人にも熱いお茶を淹れて上げることにした。
宿題を解いている途中でエアコンの設定温度は上げてあるのだが、室内はちゃんと冷えているらしく、鈴木さんは部屋に入った時には着ていなかったカーディガンを羽織っていた。
熱いお茶と冷蔵庫にしまっておいた羊羹を二人に差し出すと、ソフィアさんは羊羹を頬張り、鈴木さんはゆっくりとお茶を啜った。
「温かいお茶は美味しいですね。先生が淹れてくれたからですかね?」
まだまだ熱いお茶をふうふうと冷ましながらゆっくりと啜っている鈴木さんはしみじみと呟いていた。
「羊羹が美味しいからじゃないかな?美波ちゃんは羊羹食べてないみたいだけれどさ」
ソフィアさんは宿題を終えて満足しているようだった。
羊羹が足りないアピールをしているソフィアさんではあったが、僕も鈴木さんも自分の分の羊羹をソフィアさんにあげることは無かった。
時間も夕方近くになっていたため太陽はやや傾き始めているが、まだまだ日差しは強いままだった。
羊羹を置いた皿を持ったまま窓辺に移動して校庭を見ていると、野球部が紅白戦をしているようだった。
担当教科ではないのであまり力にはなれないかと思っていたが、意外と覚えているもので我ながら感心してしまった。
もちろん、答えをそのまま教えるわけもなく、正解への道筋を優しく丁寧に教えていった。
「先生って教えるの好きだよね」
鈴木さんがそう呟くと
「そうかもしれないなぁ」と自然に返答していた。
「ごめんごめん、鈴木さんの話って何かな?」
「ああ、その話はソフィーの宿題が終わってからにしてもいいですか?」
「うん、それでもかまわないよ」
お菓子を適当につまみつつ、二人でソフィアさんの宿題を手伝ったり、鈴木さんの夏休みの思い出話を聞いたりしていた。
夏休みの間はほとんどの時間をソフィアと過ごしていたらしい。
鈴木さんは学業優秀品行方正なため、当然数学の宿題は出ていない。
テスト前には二人でテスト勉強もしていたはずなのに、成績に差が出ているのほ普段の授業態度の問題だと僕は思っている。
鈴木さんはどんな授業でも真面目に受けていて、ノートもしっかりと綺麗にまとめているだろう。
ソフィアさんの場合は、僕の授業に限ってかもしれないがとても真面目に受けているとは言い難い。
歴史全般が好きなのかもしれないが、ソフィアさんは自分が知っている人物や出来事が登場するとそれにまつわる雑学や豆知識を披露してしまうので、たびたび授業が止まって脱線することがあった。
その知識のほとんどが、マンガやゲームからきているので必ずしも正しい事とは限らないのだが、それを強く覚えてしまっているためにテストではケアレスミスが多くなってしまっていた。
数学の場合は見た限りでは、単純な計算間違いや説明文の読み間違いが多いみたいだった。
最後の問題を解いた時には二人が飲んでいたジュースも空になっていたので、二人にも熱いお茶を淹れて上げることにした。
宿題を解いている途中でエアコンの設定温度は上げてあるのだが、室内はちゃんと冷えているらしく、鈴木さんは部屋に入った時には着ていなかったカーディガンを羽織っていた。
熱いお茶と冷蔵庫にしまっておいた羊羹を二人に差し出すと、ソフィアさんは羊羹を頬張り、鈴木さんはゆっくりとお茶を啜った。
「温かいお茶は美味しいですね。先生が淹れてくれたからですかね?」
まだまだ熱いお茶をふうふうと冷ましながらゆっくりと啜っている鈴木さんはしみじみと呟いていた。
「羊羹が美味しいからじゃないかな?美波ちゃんは羊羹食べてないみたいだけれどさ」
ソフィアさんは宿題を終えて満足しているようだった。
羊羹が足りないアピールをしているソフィアさんではあったが、僕も鈴木さんも自分の分の羊羹をソフィアさんにあげることは無かった。
時間も夕方近くになっていたため太陽はやや傾き始めているが、まだまだ日差しは強いままだった。
羊羹を置いた皿を持ったまま窓辺に移動して校庭を見ていると、野球部が紅白戦をしているようだった。
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