壮大な世界の物語

おう

文字の大きさ
上 下
7 / 10
プロローグ

帰郷

しおりを挟む
「ここに帰ってくるのも久しぶりだな、リン」
「うん、そうだね。ずっと王都で生活していたから、ここの空気が凄く美味しく感じるよ」
小さな頃を共に過ごした、故郷を見渡しながら二人で話す。
懐かしい景色によって、王都での出来事で疲れた心が癒される。
心が癒され、考える余裕が生まれたことにより疑問が一つ生まれる。
おそらくこの疑問は、今すぐに答えが見つかるものではなく、他人から答えを授かることもできないだろう。
それでもリン問おうと思う。
「それで、リン」
「どうしたのユダ?」
「この選択は正しかったのかな?」
この質問の答えを知るのには故郷に帰った数日前に戻らないといけない。
数日前、王都にあるギルド本部にて
「帰郷ですか、、、」
「ああ、そうだ。これからユダとリンには故郷に帰ってもらいたい」
「せっかくギルドに入ったのに、それですか?」
リンギルドマスターに質問をぶつける。激しいやり取りをして、ギルドに入ったのだから疑問になるのも当然だ。
「ああ、まずお前ら二人には、親御さんにギルドに入ることを報告してもらう。そして、実力を確認してもらいたい。」
「ギルドマスター、質問してもいいですか?」
「いいぞ、遠慮せずに質問してくれ。」
「分かりました。俺たちが親にギルドに入ることを報告するために故郷に帰るのは分かりますが、実力を確認するのを故郷でする意味はあるんですか?」
「ああ、ちゃんとした理由がある。お前らの故郷の町、確か、、、ウェストンだったよな?」
「はい、そうです。」
「ウェストンで最近、魔獣の活動が活発になっている。それらを駆除して欲しい。」
「ちょっと待ってください!魔獣によって村に被害は出てないですよね。」
村に危害があるかどうか。俺よりも村に思い出が沢山あるリンにとっては、重要だろう。
「そこは、安心してもらって大丈夫だ。村に被害が出たという情報は出ていない」
「良かった、、、」
魔獣、、、それは、人間界に生きる全てのものにとって共通の脅威である。魔獣が生まれた理由や活動目的は未だに謎に包まれている。
そして、人間界の隣に位置する魔界に住んでいる魔族は、魔獣の上位種と言われている。
だが、魔族は人間界には居ないので、人間界での生息している魔獣の方がよっぽど脅威なのである。
「だが、村に被害が出るのも時間の問題だ。だから、お前らに駆除をお願いしたい。」
「え?俺たち二人だけなんですか?」
「ちゃんと、同伴者はいるぞ。だが、なるべくそいつには手を出さないようにしてもらうが」
「いくら同伴者がいると言えど、俺たちには実戦経験なんかないですよ」
「私も実戦経験なんかないです」
「そうなのか?王都能力大学でそういうことはしていなかったのか?」
「はい、大学では、能力や魔法について学ぶのがメインで、たまに模擬戦をするぐらいだったので」
「模擬戦をしているのなら、充分だ。模擬戦でやっていたことをそのまま魔獣駆除でやってもらえたらいい」
「しかも、お前たちは能力をもっているんだから大丈夫だ。」
「俺の能力は戦闘向きじゃないので役に立ちませんよ。」
「お前の能力は何なんだ?」
「俺の能力は、、、」
「転移です」
その一言を聞いて、ギルドマスターのシンが心の中でどれだけ喜んだのかは誰にも分からなかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

自称死神との攻防記録

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

婚約破棄に巻き込まれた騎士はヒロインにドン引きする

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,876pt お気に入り:996

負け組スタート!(転生したけど負け組です。)

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,178pt お気に入り:2

隻腕令嬢の初恋

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,492pt お気に入り:101

刻まれた記憶 2(悲しい過去)

青春 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:1

処理中です...