七転び八起きしたらもう傷だらけなわけで

月駆 ニヤリ

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2話

桜木ヒロ

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学生ならわかるだろう。学期ごとにやってくるあのいまわしい行事を。

そう、今は模試の1週間前のテスト期間。おれはもちろん塾にかよい勉強詰めだ。授業もはやく終わるのでおれはいち早く下駄箱に行き校門へむかった。

「やぁ!」

何も聞こえない。聞きたくないと体全部で感じているのだ。

「おーい、おーい!ともやくん!一緒に帰りませんか?」

そう言って出会ったその日から毎日校門で待っていて一緒に帰っているのは桜木ヒロである。

「テスト期間くらいおれを待ってないでさっさと帰って勉強しろよ。」

「もちろんしてますよ?いつでも目標点は100点です。」

またまた、叶わないことを言っている。
高校で100点をとることがどれほど難しいか、こいつはまだしらないのか。

「ほう。なら勝負するか?合計点。」

「いいですね~!負けませんよ~?」

こいつはなぜこんなに乗り気なんだ。

「もしお前が勝ったら、一番の大親友にしてやるよ。」

「ほんとですか!」

何を隠そう、おれは生まれてから今まで受けた模試で学年順位は1位いがいとったことがないのだ。
どーせ自分には勝てっこないとこんな約束をしたのだか、こいつはやけに嬉しそうだ。

「あぁ。約束だ。お前は何するんだ?」

「逆に何がいいですか?」

別にお前になんか何も望んでねーよバーカ。

そう思っていたおれは何の考えもなく息を吐くかのように言った。

「おれの悩みを全部解消してくれよ。」

今思うと、なぜそんなことを言ったのかわからない。

「全部は無理かも知れませんが、分かりました。任せてください!」


こんな単純な約束をしたおれたちはしばらくして模試を受け終え、返却日になっていた。
担任が名前順に配っていく。
このおれが負けるはずがない。今回も1位だ。

前の席の桜木ヒロの模試の結果が配られた。次はおれである。
ほかのクラスメイトを見下した目で担任から結果を受け取った。

席に戻る途中、桜木ヒロの顔には納得のいかないような表情が見て取れた。

ほら、言ったじゃねーか。だれもおれには勝てない。

「おい、桜木。どーだった?」

振り向いたそいつはまだ納得がいかないようだった。
おれはそいつの目の前で結果を開いた。

                                    成績

国語  145/200 2位
英語  138/200 2位
数学   74/100  2位



は?なんで1じゃないんだ?
おれには理解出来なかった。この学校におれより賢いやつがいるなんて。
まさか、、いやそんなはずはない。だってこいつはバカだ。

目の前のそいつは結果を開いた。

                                     成績

国語 198/200  1位
英語 192/200  1位
数学  94/100   1位



ありえない。そんなはずは、、。

「はぁーあ。また満点取れなかった。あれ?そういえばともやくん、何点だったのですか?」

おれは恥ずかしかった。自分が許せなかった。
こんなやつに?負けた?

「あー!僕の勝ちですねー!やった!」

目の前のそいつはほんとに嬉しそうだった。

「今日から大親友!ってこですね!僕のことはヒロと呼んでください!よろしくお願いします!」

おれは頭を抱えた。
負けたうえに、こんなわけのわからないやつと大親友になってしまうということに。

おれは何にも考えられないまま、

「あぁ。」

と答えて机にうつ伏せになった。

気づいたらもうホームルームを終え、帰る時間になっていた。

「帰りましょう!ともやくん!」

前から騒がしい声が聞こえる。おれの大親友「ヒロ」だ。

「帰ろうか、、。」

2人で下駄箱へ行き、2人で校門を出た。
帰り道、桜木ヒロはふとこんなことを言った。

「大親友なんで、僕のことは全面的に信用してくださいね。」

そいつのたまに発する真面目なトーンは、おれの心によくつっかかった。


次は必ず勝つと深く誓ったおれは、本当はとても傷ついていることに気づかないまま夜を迎えた。

ここはともやのベッドである。

「はぁ。なんであいつ、あんな賢いんだ。くそが。」

いらいらしたおれは携帯を手にとった。
ホーム画面には、

「僕達、大親友ですからね!」

というヒロからのメールが届いていた。

「勘弁してくれよ、、。」

腕で目を覆ったおれは、疲れていたのか深い深い眠りについていた。
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