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5話
~裏~
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時計を見ると朝の6時半だった。
今日は遅刻しないと踏んだおれは一階に行き歯磨きをしてテーブルについた。まだ母しか起きておらず、テレビもまだついていなかった。
朝食を素早くすませ、自分の部屋にもどる。登校時間の7時半までのんびりするつもりだ。
外を見るとあまり太陽が明るくない。曇りだろうか。そう思っていながらSNSをひらくとおもむろに「桜木ヒロ」と検索してみた。やはり出ない。ぼんやり携帯を眺めているうちに家を出る時間になった。いつものとおりすこし早足で登校する。
校門を過ぎたあたりで、いつものようにサッカー部の疲れているような声が聞こえてくる。下駄箱でスリッパに履き替えていると後ろから
「おはようございます!」
とそいつは朝から馬鹿でかい声であいさつしてくる。
「おはよ。」
素っ気なく答えたおれにそいつはつまらなそうにして階段の前でおれを待っていた。
気のせいだろうか。そいつの表情にはいつもより影が指しているように見えた。
二人でたわいもない話をしながら廊下を進み、一番突き当たりにある1-3の教室にはいる。チョークの匂いすらしない。
今日の一限目は体育で種目はバスケットボール。最初はパスの練習だった。もちろん相手はそいつ。
「さぁ、僕にどんと投げてください!」
「行くぞー。」
なんの変哲もないお手本のようなパスをした。
時速10kmくらいだろうか。
そいつはなんとパスを顔で受けたのだ。わざとではないし、しっかり手を前に突き出して構えていた。なのにだ。
「とてつもない豪速球ですね~」
どこがだっ!
「今度は僕もいきますよー?」
張り切っていたそいつの球は、こちらにノーバウンドで届くことなく三回ほど跳ねてからこちらについた。
「おい、ちゃんと投げろよ。」
「お手本通りのフォームで投げましたよ?」
そう、こいつは本気だったのだ。というより、何をするにも本気なのだ。だが、勉強以外はからっきしできず体育や家庭科の授業ではこのように毎回足をひっぱっていた。
チームに別れて試合をすることになったおれたちはやはりそいつとおれを合わせた五人チームを組んだ。
初戦。そいつは積極的にボールを受け取りに前に攻め入るが、バスケットボール部のやつはそいつにボールを回すはずも無く試合を進めた。その中で、おれに回ってきたボールを一度そいつにパスしたことがある。大きな声をあげて呼んでいるくせに、ボールはそいつの顔をとらえた。
その後は三回戦ほど試合があったが、おれたちのチームは常に四人で戦っているのと変わらなかった。
試合後、バスケットボール部のやつはそいつに聞こえるようにか
「あいつには絶対ボールを回すな。」
とおれとそいついがいの二人に言っていた。
もちろんおれはそんなこと気にしない。そもそもおれもそんなに運動はできる方ではない。だが、そいつは本当に悔しそうに体育館に転がったボールを見つめていた。
今日も残りのつまらない授業をみっちり受け終え塾へ向かう。そいつの元気な「帰りましょう!」の声は、そいつがホームルームが終わると同時に教室を走って出ていったことによって聞くことはなかった。
そんなに慌ててどこへ行くんだ。何をするんだ。
不覚にも気になってしまったおれはそいつのあとを追った。
そいつが向かう先には体育館があった。
端っこですでに汗びっしょりの体操服に着替えたそいつはバスケットボールを用意し、シュートの練習をし始めた。
何してんだ。
シュートは一つも入らないどころか、まずゴールリングにすら届いていない。
100球を越えたころ、バスケットボール部が練習をしにやって来たのでそいつは練習を中止した。
結局球は一つもゴールリングを通ることはなかった。
おれはそいつの練習姿を見ていたと思われるのがやけに嫌で、走って校門をでた。
何してんだあいつは。そんなの練習したって何も変わんねーよ。
おれはその後はいつものとおり塾に行き、日付が変わる前にはベッドについていた。
どーせ、努力したところで叶わないものは叶わない。
おれは目をつぶると、眠ってしまった。
今日は遅刻しないと踏んだおれは一階に行き歯磨きをしてテーブルについた。まだ母しか起きておらず、テレビもまだついていなかった。
朝食を素早くすませ、自分の部屋にもどる。登校時間の7時半までのんびりするつもりだ。
外を見るとあまり太陽が明るくない。曇りだろうか。そう思っていながらSNSをひらくとおもむろに「桜木ヒロ」と検索してみた。やはり出ない。ぼんやり携帯を眺めているうちに家を出る時間になった。いつものとおりすこし早足で登校する。
校門を過ぎたあたりで、いつものようにサッカー部の疲れているような声が聞こえてくる。下駄箱でスリッパに履き替えていると後ろから
「おはようございます!」
とそいつは朝から馬鹿でかい声であいさつしてくる。
「おはよ。」
素っ気なく答えたおれにそいつはつまらなそうにして階段の前でおれを待っていた。
気のせいだろうか。そいつの表情にはいつもより影が指しているように見えた。
二人でたわいもない話をしながら廊下を進み、一番突き当たりにある1-3の教室にはいる。チョークの匂いすらしない。
今日の一限目は体育で種目はバスケットボール。最初はパスの練習だった。もちろん相手はそいつ。
「さぁ、僕にどんと投げてください!」
「行くぞー。」
なんの変哲もないお手本のようなパスをした。
時速10kmくらいだろうか。
そいつはなんとパスを顔で受けたのだ。わざとではないし、しっかり手を前に突き出して構えていた。なのにだ。
「とてつもない豪速球ですね~」
どこがだっ!
「今度は僕もいきますよー?」
張り切っていたそいつの球は、こちらにノーバウンドで届くことなく三回ほど跳ねてからこちらについた。
「おい、ちゃんと投げろよ。」
「お手本通りのフォームで投げましたよ?」
そう、こいつは本気だったのだ。というより、何をするにも本気なのだ。だが、勉強以外はからっきしできず体育や家庭科の授業ではこのように毎回足をひっぱっていた。
チームに別れて試合をすることになったおれたちはやはりそいつとおれを合わせた五人チームを組んだ。
初戦。そいつは積極的にボールを受け取りに前に攻め入るが、バスケットボール部のやつはそいつにボールを回すはずも無く試合を進めた。その中で、おれに回ってきたボールを一度そいつにパスしたことがある。大きな声をあげて呼んでいるくせに、ボールはそいつの顔をとらえた。
その後は三回戦ほど試合があったが、おれたちのチームは常に四人で戦っているのと変わらなかった。
試合後、バスケットボール部のやつはそいつに聞こえるようにか
「あいつには絶対ボールを回すな。」
とおれとそいついがいの二人に言っていた。
もちろんおれはそんなこと気にしない。そもそもおれもそんなに運動はできる方ではない。だが、そいつは本当に悔しそうに体育館に転がったボールを見つめていた。
今日も残りのつまらない授業をみっちり受け終え塾へ向かう。そいつの元気な「帰りましょう!」の声は、そいつがホームルームが終わると同時に教室を走って出ていったことによって聞くことはなかった。
そんなに慌ててどこへ行くんだ。何をするんだ。
不覚にも気になってしまったおれはそいつのあとを追った。
そいつが向かう先には体育館があった。
端っこですでに汗びっしょりの体操服に着替えたそいつはバスケットボールを用意し、シュートの練習をし始めた。
何してんだ。
シュートは一つも入らないどころか、まずゴールリングにすら届いていない。
100球を越えたころ、バスケットボール部が練習をしにやって来たのでそいつは練習を中止した。
結局球は一つもゴールリングを通ることはなかった。
おれはそいつの練習姿を見ていたと思われるのがやけに嫌で、走って校門をでた。
何してんだあいつは。そんなの練習したって何も変わんねーよ。
おれはその後はいつものとおり塾に行き、日付が変わる前にはベッドについていた。
どーせ、努力したところで叶わないものは叶わない。
おれは目をつぶると、眠ってしまった。
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