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魔術師団の見学へ!
情報収集
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…それにしても、人が多いわね。
今年は予想よりも多いと言っていたけれど、何事にも理由があるはず…多分。
最近は作物が豊富に取れるから?だから健康の人が多くて?いや、元々この国には女神リアナ様の加護があるから、取れる量が大きく変わることはないわね。
なら魔法を使える有名人が現れたの?それなら憧れて入団試験を受けている人が多い可能性もあるわね…でも当事者でもない私にはやっぱり分からないわ…
むむむ…と考えに浸っていると、近くに居る女の子2人の話し声が聞こえてきた。
丁度気になっていた事柄の話で、つい耳を傾けた。別に盗み聞きをしようとしていたわけではない。もちろん盗み聞きすることに抵抗はあるけれど、好奇心には勝てないのだ。
「ねえ、あなたも聖女様に興味があって試験を受けるの?」
「もちろんよ!この王国の人なら誰もが聖女様と親しくなりたいんだから!」
聖女…?この世界に聖女なんて呼ばれている人いたかしら?
「そうよね、ようやく聖女様が誰か分かるわ。今年の入団試験を受ける人が多いのも、聖女様の護衛になれる可能性があるからだものね」
ようやく誰か分かる…?どんな人かも知らないのに国民に慕われているの?どれだけの善事をしたらそうなるのかしらね?とりあえず、今年の入団希望者が多いのもその聖女様が居るからなんだわ。
あっ、いけない!今日見学に来たのは転移魔法について調べるためだったんだわ!
目的を思い出した私は、ひとまず情報収集のために色々な人に声をかけることにした。
「すみません」
先程聖女の話をしていた女の子2人に声をかけると、そのうちの1人が優しく笑いかけてくれた。
「ん? どうかしたの?」
「えっと、私はフォード魔術師団長の親せきのシアナです。転移魔法について知りませんか?」
「…転移魔法? まだ幼いのに勉強熱心ね。だけど、人はいつだって4大属性に関わる魔法しか使えないのよ。風魔法で走る速度を上げることはできるけどね」
4大属性…「土」、「風」、「水」、「火」の属性のこと…転移魔法はそのどの属性でもない「無」。
そしてそれが使えるのは…
「使えるとしたら、女神リアナ様くらいだわ」
女神リアナ
このライオール王国に加護を与えた女神であり、神界の中でも随一の力を持ち合わせている。
「無」の属性を行使するのは神でも難しく、女神リアナだけが「無」の属性を使える唯一の存在だと言われている。
言い伝えによると女神リアナは約500年前に突然初代国王ライオールの前へ現れ、こう契約したという。
女神リアナがライオールを王国の王にし、その王国に加護を授ける代わりに、これから現れる代々の王は500年後に誕生する愛し子が快適に過ごせるような王国にすること。
確かに女神リアナ様なら、私をここに転移させられる程の力を持っているのかもしれない。でも、わざわざ転移という大量の力を必要とする魔法を一般人の私に使うはずがない。
―もしも私が、一般人じゃないとしたら?
いいや、そんなはず…そんなはずないわ…だってそうだとしたら…
利用されるだけ!!
嫌だ。誰かに利用されて不自由を余儀なくされる人生なんて、絶対に嫌だ!
…落ち着け私、まだ決まったわけじゃない。
そもそも、私が特別な訳がない。
私はただの平凡な女の子で、これからも平凡に、自由に、幸せに生きるんだ。
「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます!」
ほら、誰が見ても、私は普通の少女にしか見えないでしょ?
やっぱり私が特別かもしれないだなんて、自惚れてはいけないのよ。
「どういたしまして。でもシアナちゃん、1人じゃ危ないんじゃない? 今だけでも一緒にいようか?」
わぁ、優しいお姉さんだなぁ。お姉さんも試験前で緊張しているはずなのに、私の心配をしてくれるなんて。
「ふふっ、お心ずかいありがとうございます。でも大丈夫です!こう見えても結界を張ることが出来るんですよ」
「そうなの? すごいわね!あなたもそう思わない?」
「ええ! 本当にすごいわ! 私も神聖力は持っているのだけど、いくら練習しても簡単な治癒しか出来なかっんだから!」
あら、少し私を棚に上げ過ぎじゃないかしら。そんなに言うと調子に乗ってしまうわ。
「それでも、お姉さんたちも入団試験が受けられるほど魔法が使えるんですよね?私とは比べ物になりませんよ!」
己が調子に乗らないようにもそう言うと、2人はきょとんと目を瞬かせた。
「シアナちゃん、随分と大人っぽいのね?」
「そうね、なんだかこの子とは大人と話している気分になるわ」
えっ? 前世の4歳の時も同じような発言をしていたと思うんだけどな…?
そう思っていると、どうやら彼女たちは順番が来てしまったようで、すぐに見えないところへ行ってしまった。
さて、転移魔法に関しての情報収集は諦めるとして、次は何をしていようかしら。
今年は予想よりも多いと言っていたけれど、何事にも理由があるはず…多分。
最近は作物が豊富に取れるから?だから健康の人が多くて?いや、元々この国には女神リアナ様の加護があるから、取れる量が大きく変わることはないわね。
なら魔法を使える有名人が現れたの?それなら憧れて入団試験を受けている人が多い可能性もあるわね…でも当事者でもない私にはやっぱり分からないわ…
むむむ…と考えに浸っていると、近くに居る女の子2人の話し声が聞こえてきた。
丁度気になっていた事柄の話で、つい耳を傾けた。別に盗み聞きをしようとしていたわけではない。もちろん盗み聞きすることに抵抗はあるけれど、好奇心には勝てないのだ。
「ねえ、あなたも聖女様に興味があって試験を受けるの?」
「もちろんよ!この王国の人なら誰もが聖女様と親しくなりたいんだから!」
聖女…?この世界に聖女なんて呼ばれている人いたかしら?
「そうよね、ようやく聖女様が誰か分かるわ。今年の入団試験を受ける人が多いのも、聖女様の護衛になれる可能性があるからだものね」
ようやく誰か分かる…?どんな人かも知らないのに国民に慕われているの?どれだけの善事をしたらそうなるのかしらね?とりあえず、今年の入団希望者が多いのもその聖女様が居るからなんだわ。
あっ、いけない!今日見学に来たのは転移魔法について調べるためだったんだわ!
目的を思い出した私は、ひとまず情報収集のために色々な人に声をかけることにした。
「すみません」
先程聖女の話をしていた女の子2人に声をかけると、そのうちの1人が優しく笑いかけてくれた。
「ん? どうかしたの?」
「えっと、私はフォード魔術師団長の親せきのシアナです。転移魔法について知りませんか?」
「…転移魔法? まだ幼いのに勉強熱心ね。だけど、人はいつだって4大属性に関わる魔法しか使えないのよ。風魔法で走る速度を上げることはできるけどね」
4大属性…「土」、「風」、「水」、「火」の属性のこと…転移魔法はそのどの属性でもない「無」。
そしてそれが使えるのは…
「使えるとしたら、女神リアナ様くらいだわ」
女神リアナ
このライオール王国に加護を与えた女神であり、神界の中でも随一の力を持ち合わせている。
「無」の属性を行使するのは神でも難しく、女神リアナだけが「無」の属性を使える唯一の存在だと言われている。
言い伝えによると女神リアナは約500年前に突然初代国王ライオールの前へ現れ、こう契約したという。
女神リアナがライオールを王国の王にし、その王国に加護を授ける代わりに、これから現れる代々の王は500年後に誕生する愛し子が快適に過ごせるような王国にすること。
確かに女神リアナ様なら、私をここに転移させられる程の力を持っているのかもしれない。でも、わざわざ転移という大量の力を必要とする魔法を一般人の私に使うはずがない。
―もしも私が、一般人じゃないとしたら?
いいや、そんなはず…そんなはずないわ…だってそうだとしたら…
利用されるだけ!!
嫌だ。誰かに利用されて不自由を余儀なくされる人生なんて、絶対に嫌だ!
…落ち着け私、まだ決まったわけじゃない。
そもそも、私が特別な訳がない。
私はただの平凡な女の子で、これからも平凡に、自由に、幸せに生きるんだ。
「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます!」
ほら、誰が見ても、私は普通の少女にしか見えないでしょ?
やっぱり私が特別かもしれないだなんて、自惚れてはいけないのよ。
「どういたしまして。でもシアナちゃん、1人じゃ危ないんじゃない? 今だけでも一緒にいようか?」
わぁ、優しいお姉さんだなぁ。お姉さんも試験前で緊張しているはずなのに、私の心配をしてくれるなんて。
「ふふっ、お心ずかいありがとうございます。でも大丈夫です!こう見えても結界を張ることが出来るんですよ」
「そうなの? すごいわね!あなたもそう思わない?」
「ええ! 本当にすごいわ! 私も神聖力は持っているのだけど、いくら練習しても簡単な治癒しか出来なかっんだから!」
あら、少し私を棚に上げ過ぎじゃないかしら。そんなに言うと調子に乗ってしまうわ。
「それでも、お姉さんたちも入団試験が受けられるほど魔法が使えるんですよね?私とは比べ物になりませんよ!」
己が調子に乗らないようにもそう言うと、2人はきょとんと目を瞬かせた。
「シアナちゃん、随分と大人っぽいのね?」
「そうね、なんだかこの子とは大人と話している気分になるわ」
えっ? 前世の4歳の時も同じような発言をしていたと思うんだけどな…?
そう思っていると、どうやら彼女たちは順番が来てしまったようで、すぐに見えないところへ行ってしまった。
さて、転移魔法に関しての情報収集は諦めるとして、次は何をしていようかしら。
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