娼婦転生、──は?この私がさる公爵様の隠し子!?~転生から始まる娼館への身売り→人気No.1娼婦へ…私は成り上がりを期待していない~

アリス

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第一章:「抱かれる」と言うことの日常

私には私の事情と誇りがある。

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 「…昼から来るなんて──、ライム様は暇なの?」 
 「はっはっはっ!辛辣だねぇ。私は今日この時間時間取れないと言うのに…」
“お仕事部屋”──まあ、ぶっちゃけ客が指名した娼婦と犯る部屋だ。
…これも上位5以内とそれ以下だと豪華さが違う。
──とは言え。
訪れた客には違和感など与える事等なく…圧迫感や疎外感もない。
精々が壁の厚み…だとか、窓から見事な庭の花を眺められる、とか…“侍女”が付くかどうか──と言ったものだ。

深く刻まれた皺はこの御仁の経験そのもののよう。
整った顔立ちに穏和な微笑…何処か茶目っ気に緩む茶色の垂れ目に貴族風の初老の男性はーージャン・ライム子爵様、此処水の都『アウローラ』の街領主付き文官だ。

 「あ…っ、ーーんんっ!はぁ。」
──天蓋付きのプリンセスベッド…この豪華なプリンセスラインのベッドはライム子爵が贈ってくれたもの。

“このベッドで君を抱きたい”

──そう言われたのは何時だったか…。

 「ふふ…かわいい。流石は私の姫だよ…ああ、もうこんなに…。」
 「ぁ…ぁぁっ!ぁぅん─…っ」
淫らに咲き誇る夜の花。
一期一会の出逢い、と人は言うけれど──…肌を重ねる事に忌避感はない。
そもそもが前世社畜(OL)だった時ですら、恋だの愛だのとは無縁だった。
転生したからと言って私のは変わらない。
…水揚げされたのは、私が13歳の頃だ。
その時の“お相手”は残念ながら今相手しているライム子爵ではなかったが。
…。
湿った水音にくぐもった男性の呻き声…。
吐息と熱を交換して「私」は今宵──(今は昼だ、とかそんな事は関係ない)ただ一人の男に乞われ股を開く…。
6歳から連れてこられ、『水揚げ』される13歳までは読み書き計算等の必要最低限の教育と、他の姐さん方の身の回りの世話からベッドメイキングの仕方、衣服の畳み方等を学ぶ。
時には料理なんかも習い、夜食を必要とする姐さんに作って持って行ったりもする。

 「ぁ…ぁぁっ!ーーッッ!!」
ビクッビクンッ!

ライム子爵は私のツボを理解しているのか、必ず一度は果てさせようとする…疲れるので辞めて貰いたい限りである。
この後も4人ほどの指名が入っているのだ。
…華桜は私が入る以前からある店だが…現代日本の知識と記憶を持つ私が入ってからは結界魔法の防衛システム構築、より精密な避妊薬の製造、梅毒や性病に繋がる毒素の除去をするアクセサリーの製作、提供。
これら製品や“薬”の利益は私と店で折半され、私名義の商人ギルドと薬師ギルド、魔法使いギルドのギルドカードにそれぞれ振り込まれている。
他にも料理や便利道具のレシピや設計図も商人ギルドより委託販売されている…まあ、料理に関しては時々客に乞われて振る舞う事もあるけれど。

 「いったねぇ…私のかわいい姫。…ああ、凄い締め付けだぁ…っ!♡愛しているよ、シャイナ─…ッッ!!」
果てる為の動作を取り、膨張したものを私の奥深くに叩き込むライム子爵。
…娼婦相手に愛もないと思うのだが。
彼は毎回こう言う──“愛している、シャイナ”と。
興が乗るから、なのかーーはたまた単なる気まぐれか。
どちらにせよ、睦事での会話を私は信じてはいないが。
私は私に掛かった費用を──もう、16歳のこの時に支払い切っている。
では、どうして店から出ようとしないのか?
それは殊更にこの店を愛しているから、と言うのもあるが──もう一つ。

今更外に出て他の職に就くなど考えた事もない。

年季が開けて自由に何時でも外に出れる──だが、私は華桜此処に居る事に決めた。

 「良かったよ、シャイナ。」
 「そう……と言うか、疲れるからいかせようとしないでって前にも言ったはずよね?どういうつもり?」
はっはっはっ!と豪快に笑い飛ばして…ライム子爵は。

 「いかせた瞬間のはにかんだ顔が私は好きなのだよ。そう怒らないでくれ」
 「怒るわよ!と言うか出禁にするわよ、このエロジジイ!!」
キッと睨み付けるも、堪えた様子のないライム子爵。
 「はっはっはっ!さらばだ、姫。」
 「あ…、待ちなさい…っ!?」
そして大体こんな感じでするりと逃げられる。
…なんだかんだ言っても馴染みの客だし、金払いもいい。
ライム子爵はなんだかおじいちゃんと言うような感じがする。
少しポテッとしたお腹も愛嬌のある顔も…全体的に穏和な優しい雰囲気漂うご老人…祖父と孫のような事後や行為前の遣り取りは私も他の達も気に入っている…筈。

 「…シャワー浴びて次の方の準備ね。ノイン、アリア」
 「はい、お呼びでしょうか。姐さん」
 「お呼びです?姐さん」
白髪&赤目の狐耳の6歳くらいの幼女と黒髪&青目の犬耳の双子ちゃん…この二人は狐獣人と狼獣人の混血児ハーフである。
奴隷商からそのまま“お買い上げ”された…私付きの『侍女』だ。
身長は二人共に140㎝、因みに私は168㎝だ。
見た目は6歳くらいにしか見えない幼い面立ちだが…その年齢は56歳。
獣人ではまだまだ子供とされる年齢。
手足は相応に小さいが身長は人間の6歳児よりも高い。
尻尾もあって大変に可愛らしい。
どちらもサラサラストレートヘアーで着物なんか着せた日には日本人形みたくなるではないか?と危惧している。
…残念ながら、この街にはそう言った文化はないのだが。
海向こうの東の国、東月トウヅキが私的には日本っぽい感じがする。
…東月から流れてくる品物の中に箸なる物や、味噌や醤油が入った調味料壺を買った事があるので知っているのだ。

 「…教わった通りに清潔クリーン魔法は使える?」
 「…大丈夫ー。」
 「じゃあやってごらんなさい」
 「んー清潔!」
ピカッ、光って情事の痕を消し去る。
 「うん、エライエライ。ちゃんと出来てるわね、ノイン。…これなら、貴女が『水揚げ』される明後日の日も大丈夫そうね」
 「おお~。姐さんに褒められた!ふへへ…っ♡」

『水揚げ』とは娼館で初めてお客を取る際の用語である。
人間だと大体13歳、それ以外だと身体的発育──初潮を迎えるかどうかで判断される──を以て『水揚げ』の日取りが決まる。
…この獣人の双子ちゃんsも先週に無事初潮──まあ、生理の事ね──を迎えた為、先週の終わりから今日まで『いい旦那』を募集していた。
『華桜』が娼館である為仕方のない事だ。
…私達娼婦はそうして「客」を取り、男を知っていく…。
──恋など知らないまま。
そこに獣人だとか、エルフだとか、ドワーフだとかは関係ない。

 「…緊張する?やっぱり」
 「!は、はい…ですっ!あ、あの…姐さんは、」
 「緊張なんて誰もがするものよ──況してや好きな人が相手ではないのよ?
私達娼婦が「客」を選ぶ立場ではないの。「客」に選ばれる──そう言う立場。出娑張った娼婦がどうなるのか……貴女達もよく分かっている筈よね?」
 「!は、はい…っ!ですっ!」
 「華桜に不相応ふさわしくしないは折檻後更にこの店より低俗な店へと格下げされる…そこはここみたく満足な寝床も食事もないような過酷な所…正直あれを“娼館”と言っていいものかーー兎に角、酷い所に左遷されるの。」
手早くベッドメイキングを終わらせた二人を下げてシャイナは次の客のお出迎え準備をする。
…と言っても事前にシャワーは浴びたし、トイレも水分補給も十分だ。

娼婦の仕事と言うと男と寝るだけ──と思っている世間一般の解釈。
実際は違う。
『華桜』が特別なのか否かは──分からない、が。
シャイナのように複数ギルドに所属し、商売をしたり、ものつくりをしたりする者や、歌や劇に出たりする妓もいる。
…売れっ子女優や歌手でも娼館を出て行かないのは──娼館には24時間警備の目があって安全であるからだ。
彼女達は一芸に秀でて、『娼婦』として客を取らなくとも生きて行ける──だからこそ、行き過ぎたファンの付き纏いやストーカー行為から守って貰う為に年季が開けても出て行かなかったりするのだ。
…無論、全ての娼婦がそうと言う訳ではない。
身請けされたり、年季が開けて普通に出ていく娼婦もいる。
今『華桜』にいる娼婦でちゃんと「客」も取っている娼婦は──シャイナを含め二百四名だ。
警備の面で華桜の庇護を求めた元娼婦が三十人…彼女達は別館の“独身寮”に居候している。
何かしらの稼ぎの数%を店に納める形で間借りしているのだ。
シャイナもまたその『独身寮』に一室設けており、娼婦として客を取らない日はそちらに籠っている。

 「…ベリル・アランドール様じゃない…驚いたわ。偽名かと思ったのに……、本人とは」

キリリと引き絞った弦のような玲俐なアイスブルーの眼差し、自信に溢れたような美貌。高く結い上げられた金の髪は肩まで。
がっしりとした体躯は略式の軍服と相まってとても似合っている。

 「…お前がシャイナ、か。華桜に変革をもたらした女傑、と」
 「まあ、…お上手ですわね。」
年の頃は20代前半か…、肩にある勲章の数々に目が眩む。

 「…そのお年で中佐で在らせられるベリル様は、んんっ!ぴちゃっ…ふぅ、ぁぁ…っ!?」
 「良い、世辞など…一目お会いしたいと思っていた才女…成る程、存外華奢であるな」
逞しく鍛え抜かれた体躯に抱き締められる。
(ああ…、世の女性はこのような殿方に惚れるのね。…そんな要素を持っているわ)
騎士爵次男として産まれ、自身も剣を取った王国の剣。王国軍、中佐。
甘いマスクと人を使う事に長けた剣一辺倒ではない、『護国の騎士』──そう言われている。…らしい。
“らしい”と言うのは、シャイナに取っては噂は所詮噂、と割り切って考えているため自身と関わりにならないなら──どうでもいい、と断じているからだ。
こうして、“娼婦”と「客」として知り合ったなら──知ろうとも思えるのだ…ま、会話に困らない程度…、だが。
…………。
……。
…。

 「さ、流石は…護国の騎士ね!“あっち”の方も百戦錬磨とは…!」
 「貴女にお褒め頂き感激だ。──所で○○○○侯爵は此方に来たことはあるか?」
 「○○○○侯爵様?…。ああ、あの人」
 「…あるのか?」
 「私の客ではないけれど…」
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