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プロローグ:放課後の空き教室*
ぼくの初体験。*
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高嶺冬馬は魔術師である。
高嶺冬馬は黙示録の監視者である。
高嶺冬馬は17歳の少年である。
高嶺冬馬はバイセクシャルである。
高嶺冬馬はセフレが日本全国津々浦々各駅停車の如く1人か2人はいるのである。
高嶺冬馬は幼馴染みである九重羽月に密かな恋心を抱いているのである──本人すら気が付いてるかどうかは定かだが。
…高嶺冬馬は幼馴染み(16歳男)の後ろの処女を狙っている──
「ち、ちょっと待って…まーくん…やだぁ…っっ」
「ダメだ。お前は俺のモノと決まっている…そうでなくてはいけないんだ」
「あ、───」
放課後の空き教室…夕日に照らされた「彼」の表情がいつになく真剣で…ぼくは…「彼」を──まーくんを拒めなかった。
……。
ノスタルダムスの世紀の予言より早幾星霜──高嶺冬馬が所属する8歳時点に「東国魔術師連隊」は1つの啓示を“巫女”より齎された。
「九重羽月は黙示録の書をその身に宿している」
黙示録(ヨハネ)の書──そこにはこの世の滅びの全てを記されていると巫女は言った。
また、地上を支配せんと地獄より悪鬼羅刹、魑魅魍魎、亡者を引き連れ悪魔が狙う──九重羽月の処女を。
「──ぼく、男なんだけど?」
「どうでもいい…いいから、股を開け。」
「ぁ…っ♡や、やめ…てぇ……ふぁぁんっ!?」
ざっくり説明されて服を剥かれぐずぐずにされたぼくの後ろの穴を…まーくんは硬いモノで──
…………。
……。
春、桜の並木道がぼくの視界を和ませる。
蜂蜜色の髪は直毛で…まるで女の子みたいな髪だね、と近所のおばあちゃん達にはよくからかわれる。
…長髪で首の後ろ辺りで括った髪は伸ばせば太ももまで余裕で隠してしまう。
それに童顔で大きな茶色の瞳は…庇護欲をそそられるのか──同性からの告白が多い。…女の子からもあるけど…“そっち”はぼくを飼いたい、だとか、調教したい、だとか…なぜか変な思考の人ばかりに好かれてしまうのが悩みと言えば悩みだ。
身長158㎝、体重42㎏、靴のサイズ23㎝──この身体情報が益々ぼくを「オンナ」として見る男性が多くて困る。
「羽月たん羽月たん羽月たん…!!」
──そう、今のこの状況とか。
「あの、ぼく…入学式なんで…離して下さい…っ!!」
「…はあはあ♡」
…ダメだ。すっごい力で握られてる…!
やだ…振り解けない……たすけ──
ゴツッ!!
「ガッ……!?──(バタッ)」
…アスファルトの歩道に崩折れた小太りのタンクトップ、七分丈ジーンズの中年が冷たいアスファルトにうつ伏せで気絶していた。
「──無事か!?」
焦ったような…でも一瞬後にはほっとしたような顔を向けてくる漆黒の短髪に長身のイケメン──じゃない──幼馴染みの友人が傍らへと歩み寄ってくれた。
「…うん、ありがとう。おじさんなのに力強いんだね?ぼく驚いちゃったよ…はは」
「羽月…無理すんな。」
頭ポンポン…って。イケメンかよ。
……。イケメンだった。
ぼくの身長は158㎝でこの細身の美形──ぼくの幼馴染みで友人の高嶺冬馬君は身長183㎝もあるんだ…。
しかも、1歳年上の。
ね?ぼく、毎回首がすごく疲れるんだ。
…だから、この頬の赤みは…嬉しいとかではないんだ!
…照れて…とか、嬉しい…とか、ちがうんだ。ちがうんだから…。
「?怖かったか?…心配するな、警察には通報しといたから…ああ、痕になってる」
「…え?」
思考停車──じゃなくて、思考停止。
ち、ちゅう…って。え?
「ん?舐めとけば治るだろ。」
え?
「ま、まーくん…っ!?」
こ、こんな…往来で…!?
ぼ、ぼくは…男で……幼馴染みの冬馬──まーくんとはそれこそ同じ保育園の先輩後輩の仲だった…。
だ、だから…こ、こんな……っ!!?
「…?可笑しな羽月」
クスクスと笑って…しれっとしている幼馴染み…本当、どうかしている。
「こ、こう言うのは…女の子にしなよ。ぼくは…男だよ?」
「知ってる。それがどうかしたか?」
ドクンッ、と強く胸を締め付ける。
…彼の低音ボイスは…ぼくの心臓をいつもざわつかせる。
「ま、まーくん…ッ!」
「からかっていない…だから剥れるな」
「誰の所為──」
「羽月…警察の人来たぞ」
「──!?!?~~~~ッッ!!」
茹で蛸状態で口をパクパクさせるぼくに「彼」はクスクスと実に楽しそうに笑って此方を見るんだ。
…こっちの気も知らないで。
「…通報の方、ですか?」
「はい──その人が友人の手を掴んで路地裏に連れ込もうとしたので沈めました。」
「!?君は…分かった。後は此方で被疑者に事情を聞いておく。
…ああ、またですか。
美形であるのは得でもないようだね…怪我もしているじゃないか!?手当てを」
「それは学校で遣ります。今日、彼は、入学式、ですよ?台無しにする気ですか。」
「…ぐっ、分かりました」
警察の青年は冬馬を一睨みして襲いかかろうとした小太りのおじさんに手錠を嵌め、パトカーに乗せていた。
「行くぞ、ほら。」
「う、うん…どうして?まーくんは在校生なのに…。」
「俺はお前の幼馴染みで騎士だしな」
「…ふふっ、騎士って。やだ…笑かさないでよ…まーくん…はは」
「…やっと、笑ったな」
「まーくん…」
しばし見詰め合って…ふい、と視線が逸れる。
「…親友で大事な幼馴染みの入学式だからな。俺がお前に合わせるのは当たり前だ」
「まーくんはいつもそう」
「おう、そうだな。」
…二人で話しながらだとあっという間に校門を潜っていた。
…そのまま当たり前のようにぼくの教室の前まで案内してくれた。
「じゃ、羽月」
「うん、まーくん」
言外の言葉は口にしなくとも分かる──“また後で合流しよう”。
言葉少なに伝わる真意…ぼくにとってまーくんは幼馴染みで友人で親友で…だけど、兄弟のような関係だ。
…物心付くよりも前に知り合って…それからずっと、まーくんはぼくと一緒に居てくれた。
互いの両親が親友同士であった事もその絆を深める事に繋がった。
『羽月は綺麗な髪してんだからな…伸ばせよ』
『でも、みんな気持ち悪いって…』
『はぁ?!誰だ!?そんな事言ってんの!!…俺が…俺がぶっ飛ばしてやる…ッッ!!』
ぼくが髪を伸ばす理由──それは“寄付”だ。誰でもできる、身近なボランティア。
…抗がん剤治療とかで髪を失くした人達の心の安寧の為の──、だから、半年か一年伸ばして、バッサリ切っては送っている。
ぼくは…恵まれているから。両親も兄弟も…祖父母ですら健在で皆仲が良い家族。
突然に癌だと言われ、唐突に「日常」を変えなくてはいけなくなった人達の──心を少しでも軽く出来たら、と…そう思って今も伸ばしては切って送って。
…今はなんだか、長い髪も…まーくんが褒めてくれるから好きになったし。
そろそろ次のを送ったら、また伸ばそうと思っているんだ。
……。
○○県立藍染高等学校──通称[藍染高]は公立の高校にしては選べる学科の数も選択科目の授業も色々と選べ、各学科毎に専属の常勤教師やサポートスタッフが充実している。
…また、遠くから通う生徒用に寮まで完備してある。
(月家賃1万円+光熱費&朝晩の食事付き)
広大な敷地に本校舎と体育館やプール、道場や馬術部用のグラウンド…弓道部やアーチェリー部用の弓道場や射撃場なんかが纏めて置かれてある、クラブハウス…それから学生寮『藍染寮』。今は200人余りが僕ら新入生含めて入寮している。
全日制と夜間クラス、通信制と…ごく普通の公立の高校。
ぼくとまーくんも通いで来れる距離のこの学校は、昔から通うって決めていた。
…。
「…新入生代表答辞!」
「新入生代表、九重羽月です。春も麗らかな今日、僕達私達はこの学び舎に入学を果たしました。」
壇上で堂々と話す幼馴染みの顔を眺める。
(良かった…もう、気にしてないようだな。…こいつは昔から性質の悪い男や女を呼び寄せてしまう…本人に自覚がないのがまた…助長しているようにも思う)
冬馬が連隊に所属してから聞かされた幼馴染みの「異質」──“黙示録の書”をその身に宿していること、またそれに伴って悪魔が…地獄の釜の門を開いてまで態々人間界に顕れている…。
連隊の守護はそれらの対応に追われ、“九重羽月”個人の守護は冬馬と数人の仲間で行わなくてはいけないと…本当に困ったものである。
穏やかに壇上で笑みを浮かべる羽月…その顔を見ながら冬馬は苦笑した。
「…結局、全力で護るんだけど…な」
………。
「ち、ちょっと待って…まーくん…やだぁ…っっ」
「ダメだ。お前は俺のモノと決まっている…そうでなくてはいけないんだ」
「あ、───」
放課後の空き教室…夕日に照らされた「彼」の表情がいつになく真剣で…ぼくは…「彼」を──まーくんを拒めなかった。
「…大丈夫だ、安心しろ。俺に委ねろ…」
「まーくん…なんで…こんな…ぁぁっ♡」
…冬馬は羽月の後ろの穴に二本も指を入れてぐちゃぐちゃと掻き混ぜている。
先に射精した羽月自身の白濁液が潤滑油となってスムーズな動きになっている。
「今日、この時間がお前が産まれた日、時間だからな…先手は打って置かねばならない。」
「ぅ、ぁぁ…っ!?やめ…んん~~っ!!」
…夕日に照らされる放課後の空き教室…羽月は最も信頼し、友人と慕う幼馴染み──に貞操を奪われている。
“信じられない”と目を見張るも、冬馬の瞳はいつになく真剣で…揶揄ってなどない、と…
「…痛い事はしない。お前は俺の…大事な人だから」
「ま、まーくん…ふぁぁ~~っ!?」
後ろの穴に気を取られていると…今度は半勃ち状態の羽月の剛直に手が這われ軽く上下に擦られた。
「…良い声。もっと感じろ。他の事を考える余裕など与えない…お前は俺のモノだ」
「…ぁぁっ、あんっ!まーくん…まーくんはぼくが…好き、なの…?」
縛られた両手がじくじくと甘い痛みを疼かせる。
潤んだ茶色の瞳の先に戸惑ったような、曖昧な顔の幼馴染みの顔が写った。
「…そんな簡単な話だではない。俺はお前を守りたい」
「今、貞操の危機なのに?」
「……黙ってろ」
「…え、ぁ…ああーーっ!?」
ズプ…ズプズプッ、ズズッ!!
…彼の熱い硬くて大きな剛直がぼくの事を暴こうと内側から侵食するように…穿たれた。
「…は、エロいな…羽月…ッ!」
「ゃ…やだ…っ!?ふぁ…ぁぁっ♡まーくん…だめ…うごかな…ああんーーっっ!!」
パンッ、パンッと肌を打つ音とぐちゃぐちゃと鼓膜を撫ぜる厭らしい音に…自分じゃない高い声が溢れて…止まらない。
「…はあ、はぁ…ぁぁっ、最高だ…羽月の処女まんこ。…たまんねぇ…ッッ!!」
まーくんは一心不乱に腰を打ち付ける。
正面からは快感に酔いしれる男の…今まで見たことない表情が…自身へと向けられている。
「し、処女…って。ぼく男──!??」
…抗議の声は「彼」まーくんに唇で強引に塞がれた。
舌が絡まり、歯列をなぞり、歯茎を舐められる。
じゅぷじゅぷと音が鳴るほどに口内をまーくんの熱い舌が蹂躙する。
…そのままピストンも早くなっていく──
「~~~~ッッ!!?」
「───ッッ!!!」
ドク、ドク、ドク、ドピドピュッ、ドクン──ッ!!
根元までずっぽり穿たれた剛直の先から熱い熱い迸りが放たれる。
びゅる、びゅるる、とまーくんの射精に合わせてぼくのちんぽからも迸りがまーくんとぼくの腹に放たれた。
「…イッたか…羽月。お前を護るよ…さしあたっては──もう一度だ、な?」
「…も、もう…知らないっ!ぁぁっ…はぁんっ!?♡」
…これがぼくの“初めて”のセックスだった。
痛みはほとんどなく…両手の拘束も始めの腸内射精からすぐに解かれた。
まーくんの広い背中に手を回して、答えるように見上げる。
「…ッ、お前…そんな瞳で…見んな…我慢できなくなる…ッッ!!」
「い、いよ…まーくんなら…。」
「羽月…ッッ!!」
長い長い金髪が夕日を受けて稲穂のようにキラキラと輝く。
肌けた白磁の肌…首筋に吸い付いてキスマークを着ける。
抵抗を止めると…眩しい「彼」の笑顔がぼくの心を騒つかせる。
どうして…?ぼく…目が逸らせない。
「…まー、くん…っ!!冬、馬…ぁっ!♡♡」
甘えたような、媚びるような…上擦ったような、そんな声が甘く「彼」の名を呼ぶ。
「…ッ、羽月…ッッ!!♡」
未だ「愛してる」と言わない彼の…瞳で訴えるような──そんな執着の色。
繋げた身体の奥底で…感じるまーくんの体温。
「…お前は…俺のモノだ…ッ!!誰にも渡さない…お前を抱いていいのは俺だけだ!!」
「冬馬…ぁぁ~~っ!?♡♡」
ガタガタと机はすごい音を立てるのに…冬馬はぼくを離そうとはしなかった。
ぎゅうぎゅうに抱き締められて…入学式から一週間ほど経った16歳の誕生日──ぼくにはじめての“彼氏”が出来ました。
─────
───
──
高嶺冬馬は黙示録の監視者である。
高嶺冬馬は17歳の少年である。
高嶺冬馬はバイセクシャルである。
高嶺冬馬はセフレが日本全国津々浦々各駅停車の如く1人か2人はいるのである。
高嶺冬馬は幼馴染みである九重羽月に密かな恋心を抱いているのである──本人すら気が付いてるかどうかは定かだが。
…高嶺冬馬は幼馴染み(16歳男)の後ろの処女を狙っている──
「ち、ちょっと待って…まーくん…やだぁ…っっ」
「ダメだ。お前は俺のモノと決まっている…そうでなくてはいけないんだ」
「あ、───」
放課後の空き教室…夕日に照らされた「彼」の表情がいつになく真剣で…ぼくは…「彼」を──まーくんを拒めなかった。
……。
ノスタルダムスの世紀の予言より早幾星霜──高嶺冬馬が所属する8歳時点に「東国魔術師連隊」は1つの啓示を“巫女”より齎された。
「九重羽月は黙示録の書をその身に宿している」
黙示録(ヨハネ)の書──そこにはこの世の滅びの全てを記されていると巫女は言った。
また、地上を支配せんと地獄より悪鬼羅刹、魑魅魍魎、亡者を引き連れ悪魔が狙う──九重羽月の処女を。
「──ぼく、男なんだけど?」
「どうでもいい…いいから、股を開け。」
「ぁ…っ♡や、やめ…てぇ……ふぁぁんっ!?」
ざっくり説明されて服を剥かれぐずぐずにされたぼくの後ろの穴を…まーくんは硬いモノで──
…………。
……。
春、桜の並木道がぼくの視界を和ませる。
蜂蜜色の髪は直毛で…まるで女の子みたいな髪だね、と近所のおばあちゃん達にはよくからかわれる。
…長髪で首の後ろ辺りで括った髪は伸ばせば太ももまで余裕で隠してしまう。
それに童顔で大きな茶色の瞳は…庇護欲をそそられるのか──同性からの告白が多い。…女の子からもあるけど…“そっち”はぼくを飼いたい、だとか、調教したい、だとか…なぜか変な思考の人ばかりに好かれてしまうのが悩みと言えば悩みだ。
身長158㎝、体重42㎏、靴のサイズ23㎝──この身体情報が益々ぼくを「オンナ」として見る男性が多くて困る。
「羽月たん羽月たん羽月たん…!!」
──そう、今のこの状況とか。
「あの、ぼく…入学式なんで…離して下さい…っ!!」
「…はあはあ♡」
…ダメだ。すっごい力で握られてる…!
やだ…振り解けない……たすけ──
ゴツッ!!
「ガッ……!?──(バタッ)」
…アスファルトの歩道に崩折れた小太りのタンクトップ、七分丈ジーンズの中年が冷たいアスファルトにうつ伏せで気絶していた。
「──無事か!?」
焦ったような…でも一瞬後にはほっとしたような顔を向けてくる漆黒の短髪に長身のイケメン──じゃない──幼馴染みの友人が傍らへと歩み寄ってくれた。
「…うん、ありがとう。おじさんなのに力強いんだね?ぼく驚いちゃったよ…はは」
「羽月…無理すんな。」
頭ポンポン…って。イケメンかよ。
……。イケメンだった。
ぼくの身長は158㎝でこの細身の美形──ぼくの幼馴染みで友人の高嶺冬馬君は身長183㎝もあるんだ…。
しかも、1歳年上の。
ね?ぼく、毎回首がすごく疲れるんだ。
…だから、この頬の赤みは…嬉しいとかではないんだ!
…照れて…とか、嬉しい…とか、ちがうんだ。ちがうんだから…。
「?怖かったか?…心配するな、警察には通報しといたから…ああ、痕になってる」
「…え?」
思考停車──じゃなくて、思考停止。
ち、ちゅう…って。え?
「ん?舐めとけば治るだろ。」
え?
「ま、まーくん…っ!?」
こ、こんな…往来で…!?
ぼ、ぼくは…男で……幼馴染みの冬馬──まーくんとはそれこそ同じ保育園の先輩後輩の仲だった…。
だ、だから…こ、こんな……っ!!?
「…?可笑しな羽月」
クスクスと笑って…しれっとしている幼馴染み…本当、どうかしている。
「こ、こう言うのは…女の子にしなよ。ぼくは…男だよ?」
「知ってる。それがどうかしたか?」
ドクンッ、と強く胸を締め付ける。
…彼の低音ボイスは…ぼくの心臓をいつもざわつかせる。
「ま、まーくん…ッ!」
「からかっていない…だから剥れるな」
「誰の所為──」
「羽月…警察の人来たぞ」
「──!?!?~~~~ッッ!!」
茹で蛸状態で口をパクパクさせるぼくに「彼」はクスクスと実に楽しそうに笑って此方を見るんだ。
…こっちの気も知らないで。
「…通報の方、ですか?」
「はい──その人が友人の手を掴んで路地裏に連れ込もうとしたので沈めました。」
「!?君は…分かった。後は此方で被疑者に事情を聞いておく。
…ああ、またですか。
美形であるのは得でもないようだね…怪我もしているじゃないか!?手当てを」
「それは学校で遣ります。今日、彼は、入学式、ですよ?台無しにする気ですか。」
「…ぐっ、分かりました」
警察の青年は冬馬を一睨みして襲いかかろうとした小太りのおじさんに手錠を嵌め、パトカーに乗せていた。
「行くぞ、ほら。」
「う、うん…どうして?まーくんは在校生なのに…。」
「俺はお前の幼馴染みで騎士だしな」
「…ふふっ、騎士って。やだ…笑かさないでよ…まーくん…はは」
「…やっと、笑ったな」
「まーくん…」
しばし見詰め合って…ふい、と視線が逸れる。
「…親友で大事な幼馴染みの入学式だからな。俺がお前に合わせるのは当たり前だ」
「まーくんはいつもそう」
「おう、そうだな。」
…二人で話しながらだとあっという間に校門を潜っていた。
…そのまま当たり前のようにぼくの教室の前まで案内してくれた。
「じゃ、羽月」
「うん、まーくん」
言外の言葉は口にしなくとも分かる──“また後で合流しよう”。
言葉少なに伝わる真意…ぼくにとってまーくんは幼馴染みで友人で親友で…だけど、兄弟のような関係だ。
…物心付くよりも前に知り合って…それからずっと、まーくんはぼくと一緒に居てくれた。
互いの両親が親友同士であった事もその絆を深める事に繋がった。
『羽月は綺麗な髪してんだからな…伸ばせよ』
『でも、みんな気持ち悪いって…』
『はぁ?!誰だ!?そんな事言ってんの!!…俺が…俺がぶっ飛ばしてやる…ッッ!!』
ぼくが髪を伸ばす理由──それは“寄付”だ。誰でもできる、身近なボランティア。
…抗がん剤治療とかで髪を失くした人達の心の安寧の為の──、だから、半年か一年伸ばして、バッサリ切っては送っている。
ぼくは…恵まれているから。両親も兄弟も…祖父母ですら健在で皆仲が良い家族。
突然に癌だと言われ、唐突に「日常」を変えなくてはいけなくなった人達の──心を少しでも軽く出来たら、と…そう思って今も伸ばしては切って送って。
…今はなんだか、長い髪も…まーくんが褒めてくれるから好きになったし。
そろそろ次のを送ったら、また伸ばそうと思っているんだ。
……。
○○県立藍染高等学校──通称[藍染高]は公立の高校にしては選べる学科の数も選択科目の授業も色々と選べ、各学科毎に専属の常勤教師やサポートスタッフが充実している。
…また、遠くから通う生徒用に寮まで完備してある。
(月家賃1万円+光熱費&朝晩の食事付き)
広大な敷地に本校舎と体育館やプール、道場や馬術部用のグラウンド…弓道部やアーチェリー部用の弓道場や射撃場なんかが纏めて置かれてある、クラブハウス…それから学生寮『藍染寮』。今は200人余りが僕ら新入生含めて入寮している。
全日制と夜間クラス、通信制と…ごく普通の公立の高校。
ぼくとまーくんも通いで来れる距離のこの学校は、昔から通うって決めていた。
…。
「…新入生代表答辞!」
「新入生代表、九重羽月です。春も麗らかな今日、僕達私達はこの学び舎に入学を果たしました。」
壇上で堂々と話す幼馴染みの顔を眺める。
(良かった…もう、気にしてないようだな。…こいつは昔から性質の悪い男や女を呼び寄せてしまう…本人に自覚がないのがまた…助長しているようにも思う)
冬馬が連隊に所属してから聞かされた幼馴染みの「異質」──“黙示録の書”をその身に宿していること、またそれに伴って悪魔が…地獄の釜の門を開いてまで態々人間界に顕れている…。
連隊の守護はそれらの対応に追われ、“九重羽月”個人の守護は冬馬と数人の仲間で行わなくてはいけないと…本当に困ったものである。
穏やかに壇上で笑みを浮かべる羽月…その顔を見ながら冬馬は苦笑した。
「…結局、全力で護るんだけど…な」
………。
「ち、ちょっと待って…まーくん…やだぁ…っっ」
「ダメだ。お前は俺のモノと決まっている…そうでなくてはいけないんだ」
「あ、───」
放課後の空き教室…夕日に照らされた「彼」の表情がいつになく真剣で…ぼくは…「彼」を──まーくんを拒めなかった。
「…大丈夫だ、安心しろ。俺に委ねろ…」
「まーくん…なんで…こんな…ぁぁっ♡」
…冬馬は羽月の後ろの穴に二本も指を入れてぐちゃぐちゃと掻き混ぜている。
先に射精した羽月自身の白濁液が潤滑油となってスムーズな動きになっている。
「今日、この時間がお前が産まれた日、時間だからな…先手は打って置かねばならない。」
「ぅ、ぁぁ…っ!?やめ…んん~~っ!!」
…夕日に照らされる放課後の空き教室…羽月は最も信頼し、友人と慕う幼馴染み──に貞操を奪われている。
“信じられない”と目を見張るも、冬馬の瞳はいつになく真剣で…揶揄ってなどない、と…
「…痛い事はしない。お前は俺の…大事な人だから」
「ま、まーくん…ふぁぁ~~っ!?」
後ろの穴に気を取られていると…今度は半勃ち状態の羽月の剛直に手が這われ軽く上下に擦られた。
「…良い声。もっと感じろ。他の事を考える余裕など与えない…お前は俺のモノだ」
「…ぁぁっ、あんっ!まーくん…まーくんはぼくが…好き、なの…?」
縛られた両手がじくじくと甘い痛みを疼かせる。
潤んだ茶色の瞳の先に戸惑ったような、曖昧な顔の幼馴染みの顔が写った。
「…そんな簡単な話だではない。俺はお前を守りたい」
「今、貞操の危機なのに?」
「……黙ってろ」
「…え、ぁ…ああーーっ!?」
ズプ…ズプズプッ、ズズッ!!
…彼の熱い硬くて大きな剛直がぼくの事を暴こうと内側から侵食するように…穿たれた。
「…は、エロいな…羽月…ッ!」
「ゃ…やだ…っ!?ふぁ…ぁぁっ♡まーくん…だめ…うごかな…ああんーーっっ!!」
パンッ、パンッと肌を打つ音とぐちゃぐちゃと鼓膜を撫ぜる厭らしい音に…自分じゃない高い声が溢れて…止まらない。
「…はあ、はぁ…ぁぁっ、最高だ…羽月の処女まんこ。…たまんねぇ…ッッ!!」
まーくんは一心不乱に腰を打ち付ける。
正面からは快感に酔いしれる男の…今まで見たことない表情が…自身へと向けられている。
「し、処女…って。ぼく男──!??」
…抗議の声は「彼」まーくんに唇で強引に塞がれた。
舌が絡まり、歯列をなぞり、歯茎を舐められる。
じゅぷじゅぷと音が鳴るほどに口内をまーくんの熱い舌が蹂躙する。
…そのままピストンも早くなっていく──
「~~~~ッッ!!?」
「───ッッ!!!」
ドク、ドク、ドク、ドピドピュッ、ドクン──ッ!!
根元までずっぽり穿たれた剛直の先から熱い熱い迸りが放たれる。
びゅる、びゅるる、とまーくんの射精に合わせてぼくのちんぽからも迸りがまーくんとぼくの腹に放たれた。
「…イッたか…羽月。お前を護るよ…さしあたっては──もう一度だ、な?」
「…も、もう…知らないっ!ぁぁっ…はぁんっ!?♡」
…これがぼくの“初めて”のセックスだった。
痛みはほとんどなく…両手の拘束も始めの腸内射精からすぐに解かれた。
まーくんの広い背中に手を回して、答えるように見上げる。
「…ッ、お前…そんな瞳で…見んな…我慢できなくなる…ッッ!!」
「い、いよ…まーくんなら…。」
「羽月…ッッ!!」
長い長い金髪が夕日を受けて稲穂のようにキラキラと輝く。
肌けた白磁の肌…首筋に吸い付いてキスマークを着ける。
抵抗を止めると…眩しい「彼」の笑顔がぼくの心を騒つかせる。
どうして…?ぼく…目が逸らせない。
「…まー、くん…っ!!冬、馬…ぁっ!♡♡」
甘えたような、媚びるような…上擦ったような、そんな声が甘く「彼」の名を呼ぶ。
「…ッ、羽月…ッッ!!♡」
未だ「愛してる」と言わない彼の…瞳で訴えるような──そんな執着の色。
繋げた身体の奥底で…感じるまーくんの体温。
「…お前は…俺のモノだ…ッ!!誰にも渡さない…お前を抱いていいのは俺だけだ!!」
「冬馬…ぁぁ~~っ!?♡♡」
ガタガタと机はすごい音を立てるのに…冬馬はぼくを離そうとはしなかった。
ぎゅうぎゅうに抱き締められて…入学式から一週間ほど経った16歳の誕生日──ぼくにはじめての“彼氏”が出来ました。
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見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
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