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2章
指輪
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シュレイに自分の縄も切って貰うと、俺は立てかけられた松明を持って暗い闇の奥を照らした。
「あちらから風が吹いているってことは、奥に恐らく出口があるはずだ」
「な、なるほど…」
俺は最もらしいことを言った。
もちろん、奥に出口はない。あちらからの風はただの隙間風に過ぎないのだ。
「でも、奥に行くのは危険じゃないでしょうか…。僕たち、杖も取り上げられて魔法使えないですし…奥には魔獣が潜んでるって…」
確かにそうだ。俺だって普通なら奥に進むなんてことはしたくない。
実際、この暗闇の奥にはかなり手強い魔獣が潜んでいる。しかし、彼らはただこの魔窟に眠っているに過ぎないし、主人公補正なのか刺激をしなければ襲ってくることはないということになっている。まぁこんなところで主人公が死んだらゲームは即終了だ。駄作にも程がある。
「だが、入口にずっと居ても仕方ないだろ。行くぞ」
「…わかりました」
俺は強引に言いくるめて、シュレイと奥へ進むことにした。
さて、歩みを進めている間に本来のシナリオを振り返っておこう。
魔窟に1人で閉じ込められたシュレイは、ナイフ片手に恐る恐る奥へ歩みを進めていく。魔獣たちに出くわしはしたが、小さい魔獣は逃げ、大きな魔獣はただ眠っているだけで起こさないように進めば無事でいられた。そうやって戦慄く体を何とか動かしながら進み、辿りついたのが古い祭壇だった。祭壇までの身廊は深い泉に囲われているという不思議な造りが特徴的で、なんとこの泉にも魔獣が潜んでいる。
何故魔窟の中に祭壇があるのか疑問に思ったシュレイだったが、彼は惹き付けられるように祭壇へ向かった。祭壇には、ある文書と黄金に輝く指輪があった。
文書には、"私の能力を生まれ持った者が私に代わってこの国の悪を滅ぼすだろう"と書かれていた。
これが、まぁいわゆる女神の神託と言うやつで後々の伏線回収となるんだが…。
そう言う訳で、シュレイは用意されていたかのような展開で劇的に指輪をはめると能力が覚醒。
女神のみが使えるはずの能力、"治癒"が使えるようになるのだが、それだけでは無い。女神の能力を授かった故に、魔獣たちは女神のようにシュレイに従うようになった。魔窟の魔獣たちは眠りから覚め、シュレイを襲うかに思われたがなんと皆一様にひれ伏してしまった。
魔獣の助けがあり無事に魔窟から出ることが出来たシュレイは、オーリーから内密に教えてもらい助けにきた攻略対象者と抱擁を交わす。攻略対象者たちは、当然シュレイを閉じ込めた悪役令息シアンを見逃せるはずもなく、探し出そうとするが…シュレイはそれよりも優勝を目指したいと先へ進む。しかし、魔窟の近くでオーリーとシアンはなぜか多くの魔獣の群れに襲われていた。実は、シュレイを閉じ込めた人物のことを知って魔獣たちは自分の主の服従心からシアンを敵と見なし、襲っていた。あまりの魔獣の多さにシアンとオーリーは太刀打ち出来ず、オーリーは魔石を使うことを薦めた。しかし、シアンは追い詰められてもそんなことは出来ないと拒み、自身の右目の義眼のことを打ち明けた。
魔法を使うことにも疲弊し怪我も増えていく一方で、もう終わりだと思ったその時…シュレイが魔獣たちの前に現れて、攻撃を止めるように説得する。魔獣たちは素直にシュレイの言うことを聞き、魔窟の中へ帰っていった。
更に、シュレイの善人さはこれだけに収まらない。なんと、オーリーだけでなく自分を追い込んだ主犯であるシアンの傷まで治癒しはじめたのだ。これには、流石の俺も空いた口が塞がらなかった。
だが…そんなシュレイの優しさを受けてもシアンは感謝の言葉を述べることなく、最後まで悪役令息の道を突き進んでいったんだが…。
と、まぁ…考えるに魔獣が眠っているところに出くわしても静かに通り過ぎれば問題は起こらない。俺はただ祭壇の場所までこいつを送り届けてやればいい。
「あの…シアンさん。こんなところで話すことじゃないと思うんですけど…あの時はごめんなさい」
「…あの時とは?」
「損壊事件の競技場でのことです。僕たちはあなたがやったって全部決めつけて責めてしまったじゃないですか…。本当に失礼なことをしてしまいました」
「あぁ…。別に気になさらないでください。というか、噂を聞いてないんですか?俺が嘘を言って公爵家の力でねじ伏せ、6人に全て被せたという噂」
「聞きました…。でも、もう確かでもない誰かからの噂であなたを判断するのは止めようと思います。僕たち…友達になれないでしょうか?」
「……」
(本当によく出来た主人公だ…)
ゲームのシナリオでも、彼はそう言った。
全ての元凶で、悪であるシアンの傷の治癒をしながら「僕たちは、友達にはなれないのでしょうか?」そう聞いていた。
俺には、この本当の体の持ち主の気持ちが心底分かった。ここに来てから、ずっと閉めていたはずの心って箱が、少しずつ少しずつ開いていってるからなのか?分からないが、お前の気持ち…多分世界中の誰よりも俺が分かってるよ。
「……ごめんな。きっと、向き合えない」
(あまりにも眩しいから)
「えっどういう…?」
「シッ!静かに」
俺は口元に指を当てて合図した。
やはり、少しずつ視線を感じてきたのは思い違いではなかったらしい。
俺たちはずっと弄ぶように静かに見られていた。
眠っているはずの魔獣たちに。
《グウァァァァァァオオオオ》
「逃げるぞ!」
耳を劈くような咆哮に被せるようにそう叫ぶと、共に勢いよく走り出す。
(あの目印…もうすぐのはずだ…)
2頭の魔獣の像が阿吽像のように横に並んでおり、これがあるということはあともう少しだと検討する。
「それにしてもなんでっ、魔獣起きてんだよ!?」
走りながら俺はボヤいていると、気になる匂いが後ろから香ってきた。
「お前っ、その匂い!!」
「えっ、匂い!?あっ、これ、シアンさんが来る前にあの4人に普通だとつまんないからって香水みたいなの塗りたくられて」
「まじかよ!?それクゥイの香りだぞ」
「えっ、これが?もしかして、だから、魔獣たち目が覚めて僕たちを追って来てるんですか?」
「もしかしなくてもそうだ!くそっ」
シナリオ通りだと思ったが、微妙に違うのは何なのか。もしかすると、シアン・シュドレーが魔獣に襲われるというシナリオをここで挽回させにきたということなのか?
「シアンさん、これ…」
「…祭壇」
やっと走って目的地へついた。
ゲームの通り、かなり古いが祭壇があった。身廊とされる道の横にはかなり深そうな泉があり、どこから繋がっているのか湧水も出ている。埃だらけ傷だらけで酷い有様だが、どこか神聖めいた美しさがあった。
幸い足の遅い魔獣たちばかりで追いつかれることは無かったが、数百メートル先まで押し寄せて来ているためシュレイには早く祭壇まで行って指輪を装着してもらいたい。
「シアンさん…僕…なんか、行かないといけないような気がします」
「そうか…なら行け」
やはりシュレイは何かに取り憑かれたとも言えるような足取りで、身廊に足を踏み入れ進んで行った。
<バザァーーーーン>
もう少し、という時だった。
水の中から大きな恐竜のような腕が出てきてシュレイの体を掴み、引き入れていってしまった。
「シュレイ!!」
俺はコンマ数秒悩んだ末、思いっきり息を吸い込み水の中へ飛び込んだ。
水中には、ワニのような顔つきと皮膚と尻尾、鋭い爪が揃う腕を8本も持つ信じられないほど大きな化け物がいた。
正直に言うと今すぐポケポケ主人公を置いて俺だけ逃げてしまいたかったが、後のことを考えると俺は更に潜る他なかった。
ワニ顔の魔獣の腕には気を失ったシュレイが握られており、俺はそこまで近づくと彼の腰からナイフを奪った。
こんな小さなナイフで渡り合える訳ないが、なけなしの力を振り絞ってシュレイを握る魔獣の手を刺した。
すると、魔獣は痛みでシュレイを離し、俺は急いで彼の体を腕に抱き、水面へ浮上した。
「ぷはぁっ…はぁっ…はぁっ…」
シュレイをまず水面から上げ、床に体を寝転がせた。
「シアン!」
100mくらい先にイブリンの姿がうっすらと見えた。
その後ろには、オーリーや攻略対象たちらしき影もある。
「イブリ……」
安堵した束の間に、凄まじい勢いで足を引っ張られ、俺は水中深くへ引きづり込まれた。
(助け…てくれ…イブリン…)
「あちらから風が吹いているってことは、奥に恐らく出口があるはずだ」
「な、なるほど…」
俺は最もらしいことを言った。
もちろん、奥に出口はない。あちらからの風はただの隙間風に過ぎないのだ。
「でも、奥に行くのは危険じゃないでしょうか…。僕たち、杖も取り上げられて魔法使えないですし…奥には魔獣が潜んでるって…」
確かにそうだ。俺だって普通なら奥に進むなんてことはしたくない。
実際、この暗闇の奥にはかなり手強い魔獣が潜んでいる。しかし、彼らはただこの魔窟に眠っているに過ぎないし、主人公補正なのか刺激をしなければ襲ってくることはないということになっている。まぁこんなところで主人公が死んだらゲームは即終了だ。駄作にも程がある。
「だが、入口にずっと居ても仕方ないだろ。行くぞ」
「…わかりました」
俺は強引に言いくるめて、シュレイと奥へ進むことにした。
さて、歩みを進めている間に本来のシナリオを振り返っておこう。
魔窟に1人で閉じ込められたシュレイは、ナイフ片手に恐る恐る奥へ歩みを進めていく。魔獣たちに出くわしはしたが、小さい魔獣は逃げ、大きな魔獣はただ眠っているだけで起こさないように進めば無事でいられた。そうやって戦慄く体を何とか動かしながら進み、辿りついたのが古い祭壇だった。祭壇までの身廊は深い泉に囲われているという不思議な造りが特徴的で、なんとこの泉にも魔獣が潜んでいる。
何故魔窟の中に祭壇があるのか疑問に思ったシュレイだったが、彼は惹き付けられるように祭壇へ向かった。祭壇には、ある文書と黄金に輝く指輪があった。
文書には、"私の能力を生まれ持った者が私に代わってこの国の悪を滅ぼすだろう"と書かれていた。
これが、まぁいわゆる女神の神託と言うやつで後々の伏線回収となるんだが…。
そう言う訳で、シュレイは用意されていたかのような展開で劇的に指輪をはめると能力が覚醒。
女神のみが使えるはずの能力、"治癒"が使えるようになるのだが、それだけでは無い。女神の能力を授かった故に、魔獣たちは女神のようにシュレイに従うようになった。魔窟の魔獣たちは眠りから覚め、シュレイを襲うかに思われたがなんと皆一様にひれ伏してしまった。
魔獣の助けがあり無事に魔窟から出ることが出来たシュレイは、オーリーから内密に教えてもらい助けにきた攻略対象者と抱擁を交わす。攻略対象者たちは、当然シュレイを閉じ込めた悪役令息シアンを見逃せるはずもなく、探し出そうとするが…シュレイはそれよりも優勝を目指したいと先へ進む。しかし、魔窟の近くでオーリーとシアンはなぜか多くの魔獣の群れに襲われていた。実は、シュレイを閉じ込めた人物のことを知って魔獣たちは自分の主の服従心からシアンを敵と見なし、襲っていた。あまりの魔獣の多さにシアンとオーリーは太刀打ち出来ず、オーリーは魔石を使うことを薦めた。しかし、シアンは追い詰められてもそんなことは出来ないと拒み、自身の右目の義眼のことを打ち明けた。
魔法を使うことにも疲弊し怪我も増えていく一方で、もう終わりだと思ったその時…シュレイが魔獣たちの前に現れて、攻撃を止めるように説得する。魔獣たちは素直にシュレイの言うことを聞き、魔窟の中へ帰っていった。
更に、シュレイの善人さはこれだけに収まらない。なんと、オーリーだけでなく自分を追い込んだ主犯であるシアンの傷まで治癒しはじめたのだ。これには、流石の俺も空いた口が塞がらなかった。
だが…そんなシュレイの優しさを受けてもシアンは感謝の言葉を述べることなく、最後まで悪役令息の道を突き進んでいったんだが…。
と、まぁ…考えるに魔獣が眠っているところに出くわしても静かに通り過ぎれば問題は起こらない。俺はただ祭壇の場所までこいつを送り届けてやればいい。
「あの…シアンさん。こんなところで話すことじゃないと思うんですけど…あの時はごめんなさい」
「…あの時とは?」
「損壊事件の競技場でのことです。僕たちはあなたがやったって全部決めつけて責めてしまったじゃないですか…。本当に失礼なことをしてしまいました」
「あぁ…。別に気になさらないでください。というか、噂を聞いてないんですか?俺が嘘を言って公爵家の力でねじ伏せ、6人に全て被せたという噂」
「聞きました…。でも、もう確かでもない誰かからの噂であなたを判断するのは止めようと思います。僕たち…友達になれないでしょうか?」
「……」
(本当によく出来た主人公だ…)
ゲームのシナリオでも、彼はそう言った。
全ての元凶で、悪であるシアンの傷の治癒をしながら「僕たちは、友達にはなれないのでしょうか?」そう聞いていた。
俺には、この本当の体の持ち主の気持ちが心底分かった。ここに来てから、ずっと閉めていたはずの心って箱が、少しずつ少しずつ開いていってるからなのか?分からないが、お前の気持ち…多分世界中の誰よりも俺が分かってるよ。
「……ごめんな。きっと、向き合えない」
(あまりにも眩しいから)
「えっどういう…?」
「シッ!静かに」
俺は口元に指を当てて合図した。
やはり、少しずつ視線を感じてきたのは思い違いではなかったらしい。
俺たちはずっと弄ぶように静かに見られていた。
眠っているはずの魔獣たちに。
《グウァァァァァァオオオオ》
「逃げるぞ!」
耳を劈くような咆哮に被せるようにそう叫ぶと、共に勢いよく走り出す。
(あの目印…もうすぐのはずだ…)
2頭の魔獣の像が阿吽像のように横に並んでおり、これがあるということはあともう少しだと検討する。
「それにしてもなんでっ、魔獣起きてんだよ!?」
走りながら俺はボヤいていると、気になる匂いが後ろから香ってきた。
「お前っ、その匂い!!」
「えっ、匂い!?あっ、これ、シアンさんが来る前にあの4人に普通だとつまんないからって香水みたいなの塗りたくられて」
「まじかよ!?それクゥイの香りだぞ」
「えっ、これが?もしかして、だから、魔獣たち目が覚めて僕たちを追って来てるんですか?」
「もしかしなくてもそうだ!くそっ」
シナリオ通りだと思ったが、微妙に違うのは何なのか。もしかすると、シアン・シュドレーが魔獣に襲われるというシナリオをここで挽回させにきたということなのか?
「シアンさん、これ…」
「…祭壇」
やっと走って目的地へついた。
ゲームの通り、かなり古いが祭壇があった。身廊とされる道の横にはかなり深そうな泉があり、どこから繋がっているのか湧水も出ている。埃だらけ傷だらけで酷い有様だが、どこか神聖めいた美しさがあった。
幸い足の遅い魔獣たちばかりで追いつかれることは無かったが、数百メートル先まで押し寄せて来ているためシュレイには早く祭壇まで行って指輪を装着してもらいたい。
「シアンさん…僕…なんか、行かないといけないような気がします」
「そうか…なら行け」
やはりシュレイは何かに取り憑かれたとも言えるような足取りで、身廊に足を踏み入れ進んで行った。
<バザァーーーーン>
もう少し、という時だった。
水の中から大きな恐竜のような腕が出てきてシュレイの体を掴み、引き入れていってしまった。
「シュレイ!!」
俺はコンマ数秒悩んだ末、思いっきり息を吸い込み水の中へ飛び込んだ。
水中には、ワニのような顔つきと皮膚と尻尾、鋭い爪が揃う腕を8本も持つ信じられないほど大きな化け物がいた。
正直に言うと今すぐポケポケ主人公を置いて俺だけ逃げてしまいたかったが、後のことを考えると俺は更に潜る他なかった。
ワニ顔の魔獣の腕には気を失ったシュレイが握られており、俺はそこまで近づくと彼の腰からナイフを奪った。
こんな小さなナイフで渡り合える訳ないが、なけなしの力を振り絞ってシュレイを握る魔獣の手を刺した。
すると、魔獣は痛みでシュレイを離し、俺は急いで彼の体を腕に抱き、水面へ浮上した。
「ぷはぁっ…はぁっ…はぁっ…」
シュレイをまず水面から上げ、床に体を寝転がせた。
「シアン!」
100mくらい先にイブリンの姿がうっすらと見えた。
その後ろには、オーリーや攻略対象たちらしき影もある。
「イブリ……」
安堵した束の間に、凄まじい勢いで足を引っ張られ、俺は水中深くへ引きづり込まれた。
(助け…てくれ…イブリン…)
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