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第16話 喉を焼く熱と、冷たい水
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気づけば澪は、再びリクの自宅に連れられていた。
熱で火照った体を労るように、リクはそっとベッドへ寝かす。
抵抗する力もない澪はそのまま、目を閉じた。
*
──夢の中に、リクがいた。
熱を帯びた手のひらが、そっと頬を撫で、唇をなぞっていく。
それだけで、澪の奥がふわりと溶けて、甘い熱に包まれる。
ベッドの上、すぐ隣に彼がいて。
言葉もなく、ただ抱き寄せてくれる。
その腕がたまらなく愛しい。
無意識のまま、彼の胸元へすり寄って、吐息混じりに名前を呼ぶ。
「……リク、さん……」
その声は甘く掠れていて、抗えないほどの色を含んでいた。
「ん……もっと、そばに……」
寝返りの拍子にずれたシャツの隙間から、うなじが覗く。
頬を擦り寄せ、小さく吐息を漏らす姿は──無防備で、あまりに色っぽかった。
──その声に、リクが静かに応える。
「……呼んだな。俺の名前」
ベッドの脇に腰掛けていたリクは、澪をじっと見つめていた。
閉じられた瞼、汗ばむ額、浅く開いた唇──そして、肌蹴たシャツの下から覗く、柔らかな白肌。
どれもこれも、理性を試すように揺らめいている。
「……そんな顔、俺以外に見せんなよ。絶対、だめだ」
喉の奥が焼けるように熱い。
今にも口づけてしまいそうな衝動を、拳を握ることでなんとか堪える。
たまらず、リクは身を翻してバスルームへ足を運ぶ。
「……はあ……くそ……っ」
浴びるシャワーの水は、容赦なく冷たい。
なのに、胸の奥に巣食った熱は、消えるどころかどんどん膨れ上がっていく。それはまるで、獣の血が沸騰しているようだった。
澪の寝顔。頬を染めて、夢の中でも自分を呼ぶ声。
──どうして、あんなに無防備なんだ。
かすれた声が、湯気混じりの空間に溶けていく。
顔を覆う濡れた手のひらが、熱を持った額をゆっくりと撫でた。
そのたびに脈打つ鼓動がせり上がってきて、呼吸すらままならない。
「……早く、“番”になれよ……澪……」
喉の奥から、しぼり出すように落ちたその声には、どうしようもない欲と、切実さが溢れていた。
誰にも渡さない。
誰にも触れさせない。
彼女の声も、吐息も、熱も。
すべて、自分だけのものにしたい。
シャワーの水音の下。
肩を震わせて唇を噛みながら、リクはひとり、欲を押し殺していた。
〈……リク、さん……すき……〉
それはまるで、告白のように。
どこまでも素直で、甘く、柔らかくて。
──バスルームの奥。
タイルの壁にもたれ、冷たい水を浴びていたリクの身体が、澪の囁きにぴくりと反応する。
獣人としての鋭敏な聴覚が、寝室から漏れたその言葉を、確かに拾った。
「……ッ……」
喉の奥から、熱が噴き出す。
水の冷たさなど、もはや意味をなしていない。
限界なんて、とっくに超えている。
それでも、彼女が「番」として自分を選んでくれるその日までは──どれほど自分を押し殺すことになろうとも、待つと決めていた。
……けれど。
愛しさを滲ませた声で、名前を呼ばれた。
そのたびに、リクの中の理性は、少しずつ、確実に、削られていく。
もう限界だ。
彼は、冷たい水を浴びたまま、静かに、唇を噛みしめる。あとは、彼女が完全に目覚めるのを待つだけだった。
熱で火照った体を労るように、リクはそっとベッドへ寝かす。
抵抗する力もない澪はそのまま、目を閉じた。
*
──夢の中に、リクがいた。
熱を帯びた手のひらが、そっと頬を撫で、唇をなぞっていく。
それだけで、澪の奥がふわりと溶けて、甘い熱に包まれる。
ベッドの上、すぐ隣に彼がいて。
言葉もなく、ただ抱き寄せてくれる。
その腕がたまらなく愛しい。
無意識のまま、彼の胸元へすり寄って、吐息混じりに名前を呼ぶ。
「……リク、さん……」
その声は甘く掠れていて、抗えないほどの色を含んでいた。
「ん……もっと、そばに……」
寝返りの拍子にずれたシャツの隙間から、うなじが覗く。
頬を擦り寄せ、小さく吐息を漏らす姿は──無防備で、あまりに色っぽかった。
──その声に、リクが静かに応える。
「……呼んだな。俺の名前」
ベッドの脇に腰掛けていたリクは、澪をじっと見つめていた。
閉じられた瞼、汗ばむ額、浅く開いた唇──そして、肌蹴たシャツの下から覗く、柔らかな白肌。
どれもこれも、理性を試すように揺らめいている。
「……そんな顔、俺以外に見せんなよ。絶対、だめだ」
喉の奥が焼けるように熱い。
今にも口づけてしまいそうな衝動を、拳を握ることでなんとか堪える。
たまらず、リクは身を翻してバスルームへ足を運ぶ。
「……はあ……くそ……っ」
浴びるシャワーの水は、容赦なく冷たい。
なのに、胸の奥に巣食った熱は、消えるどころかどんどん膨れ上がっていく。それはまるで、獣の血が沸騰しているようだった。
澪の寝顔。頬を染めて、夢の中でも自分を呼ぶ声。
──どうして、あんなに無防備なんだ。
かすれた声が、湯気混じりの空間に溶けていく。
顔を覆う濡れた手のひらが、熱を持った額をゆっくりと撫でた。
そのたびに脈打つ鼓動がせり上がってきて、呼吸すらままならない。
「……早く、“番”になれよ……澪……」
喉の奥から、しぼり出すように落ちたその声には、どうしようもない欲と、切実さが溢れていた。
誰にも渡さない。
誰にも触れさせない。
彼女の声も、吐息も、熱も。
すべて、自分だけのものにしたい。
シャワーの水音の下。
肩を震わせて唇を噛みながら、リクはひとり、欲を押し殺していた。
〈……リク、さん……すき……〉
それはまるで、告白のように。
どこまでも素直で、甘く、柔らかくて。
──バスルームの奥。
タイルの壁にもたれ、冷たい水を浴びていたリクの身体が、澪の囁きにぴくりと反応する。
獣人としての鋭敏な聴覚が、寝室から漏れたその言葉を、確かに拾った。
「……ッ……」
喉の奥から、熱が噴き出す。
水の冷たさなど、もはや意味をなしていない。
限界なんて、とっくに超えている。
それでも、彼女が「番」として自分を選んでくれるその日までは──どれほど自分を押し殺すことになろうとも、待つと決めていた。
……けれど。
愛しさを滲ませた声で、名前を呼ばれた。
そのたびに、リクの中の理性は、少しずつ、確実に、削られていく。
もう限界だ。
彼は、冷たい水を浴びたまま、静かに、唇を噛みしめる。あとは、彼女が完全に目覚めるのを待つだけだった。
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