天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる

ir(いる)

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第二章:アータイン魔術研究所

18 僕と魔術士エイシア様との初対面

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 男性について建物の中を歩いていると、ある部屋の前で止まった。

 「エイシア様、例の子どもを連れてきました」
 「よし、入れ」

 男性に促されて部屋の中に入ると、低い長テーブルを挟むように同じくらいの長さのソファーが二つ置かれているだけの小さな部屋だった。
 とはいえ、ホールや廊下と同じく、壁には豪華な装飾がされている。


 部屋の奥には一人の女性が立っている。
 その人は長い白髪に青緑の瞳で、緑を基調としたローブを着て、険しい表情で腕組みをしたまま立っている。


 「世界魔術士協会本部所属の魔術士で、ここアータイン王国の魔術士に魔術面での指導をしているエイシアだ。お前がセルテ・ラファレトだな」


 背は一般的な女性とあまり変わらない。
 だけど眼光は鋭くて、顔には二つの大きな傷が付いていて、全身から黒いもやもやとしたものが湧き上がり、ただものではない雰囲気を纏わせている。

 そういえば、母さんが言っていた。
 魔術士の機嫌を損ねたら、父さんを生き返らせて貰えなくなるかもしれないと。

 「う…、あ、はい。初め、まして。よ、よろ、しく、お願い、します……」

 礼儀よく返事をしたいのに、緊張のあまり身体が震え、声が思うように出せない。
 そんな僕を見たエイシア様の眉間に皺が寄った。


 「ご、ごめ、いえっ! 申し訳、ござい、ません! 僕、魔術士を、見るのが、初めてで、緊張して、しまって…」

 僕は慌てて片膝をつき、頭を下げた。
 

 「そうか……まあいい。早速だが、これより儀式を行う。荷物をその辺に置いて、私の元に来るといい」
 「は、はいっ!」

 
 僕は持っていた鞄を部屋の隅に置き、父さんの遺灰が入った壺を持ってエイシア様のところに向かった。
 するとエイシア様が僕の手の中にある物を見て、首を傾げたんだ。

 「何だ、それは」
 「父さんの、遺灰が、入って、います。魔法に、必要だと、聞きまして」

 「別に必要ない。それはお前にとって大事なものなのだろう。儀式の最中に壊れたり紛失したりしないよう、鞄に戻してくるといい」


 ……あれ?
 死者蘇生魔法の実験には「本人だったもの」が必要だと母さんが言っていたのに、必要が無い?

 そういえば母さんは「実験」と言っていたけれど、魔術研究所の人は「儀式」と言っている。
 一体どういうことなんだろ……

 「さっさとしろセルテ! 私は馬鹿とクズとノロマが嫌いなんだ! グズグズするなら、その身に雷を落としてやるぞ!!」
 「す、すみませんっ!」

 エイシア様の怒号で、一瞬にして疑問が吹っ飛んでしまった。
 僕は急いで父さんの遺灰が入った壺を鞄に戻し、エイシア様の元に駆け寄ったんだ。
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