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アルクロフト公爵家
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(普通は逃げるわ)
空き教室に置き去りにされたライは、内心言い返す。ジャイルがいないのに、口に出さなかったのは、物理的に声は出ないからだった。
しばらくするとジャイルの使用人が現れ、治癒魔法が施された。全身の痛みがひいていく。最初に襲われた時は、ジャイルはセックスと同時に殴ったり暴力をふるってきた。最近は暴力は少ないので助かっている。
「ふぅ」
ライは、やっと安堵の息をついた。
こんな乱暴を働いてきたジャイルは戦闘の才が極めて高いアルクロフト公爵家の次男だ。ジャイルもありあまる戦いの才能を秘めている、らしい。しかし、そのジャイルの才能はまだ成長途中の体には収まりきれない。少しのきっかけで、その凶暴性は外に向く。同じ学舎の、まだ剣技を覚えたばかりの生徒に。
まさか学園で暴行事件を起こすわけにはいかない。
公爵家の次男であるジャイルは使用人を数人連れて学園に入園しており、使用人は表向き、ジャイルの凶行を止めるためについてきていた。
しかし実際は、使用人たちはライが強姦された後、やっと現場に駆けつけて、後始末に追われる毎日だ。
回復魔法の影響で、眠気が襲ってくる。しかしライはどうにか自力で寮に帰らなければならない。
ジャイルの使用人がいつもどおりに、無言で新品の制服と濡れたタオルを差し出してきた。
用意のいいことである。もちろんだ。これは予定通りの強姦なので。
ライは、貧乏男爵家の三男、家を継ぐスペアでもない。アルクロフト公爵家にジャイルに暴行を振るわれる被害者として雇われていた。
***
それはほんの数ヶ月前のことだ。成人を前にしたある日、おれは父の書斎に呼ばれた。
そこには、貧乏男爵家の自分たちとはあきらかに仕立ての違う立派な服を着た、男性たちが同席していた。
そして彼らはアルクロフト公爵家の使者だと名乗った。
アルクロフト公爵家。魔獣被害の多いこの国で、魔獣を倒すことに特化した一族である。
聞くところによると、鍛えられた兵士数人がかりで倒す魔獣を、彼らは一人で一刀両断していくという。一騎当千。魔獣との戦いで、血を浴びるほど強さを増す彼らをバーサーカーと人は呼ぶ。
こちらは男爵家である。もちろんライは公爵家の人間と初めて会った。
今まで見たことのないような青い顔をした父が、口を開いた。
「アルクロフト公爵家がお前を国立学園に入学させてくれるとおおせだ」
「国立学園?」
思いもよらない提案に、ライは思わず問い返した。
空き教室に置き去りにされたライは、内心言い返す。ジャイルがいないのに、口に出さなかったのは、物理的に声は出ないからだった。
しばらくするとジャイルの使用人が現れ、治癒魔法が施された。全身の痛みがひいていく。最初に襲われた時は、ジャイルはセックスと同時に殴ったり暴力をふるってきた。最近は暴力は少ないので助かっている。
「ふぅ」
ライは、やっと安堵の息をついた。
こんな乱暴を働いてきたジャイルは戦闘の才が極めて高いアルクロフト公爵家の次男だ。ジャイルもありあまる戦いの才能を秘めている、らしい。しかし、そのジャイルの才能はまだ成長途中の体には収まりきれない。少しのきっかけで、その凶暴性は外に向く。同じ学舎の、まだ剣技を覚えたばかりの生徒に。
まさか学園で暴行事件を起こすわけにはいかない。
公爵家の次男であるジャイルは使用人を数人連れて学園に入園しており、使用人は表向き、ジャイルの凶行を止めるためについてきていた。
しかし実際は、使用人たちはライが強姦された後、やっと現場に駆けつけて、後始末に追われる毎日だ。
回復魔法の影響で、眠気が襲ってくる。しかしライはどうにか自力で寮に帰らなければならない。
ジャイルの使用人がいつもどおりに、無言で新品の制服と濡れたタオルを差し出してきた。
用意のいいことである。もちろんだ。これは予定通りの強姦なので。
ライは、貧乏男爵家の三男、家を継ぐスペアでもない。アルクロフト公爵家にジャイルに暴行を振るわれる被害者として雇われていた。
***
それはほんの数ヶ月前のことだ。成人を前にしたある日、おれは父の書斎に呼ばれた。
そこには、貧乏男爵家の自分たちとはあきらかに仕立ての違う立派な服を着た、男性たちが同席していた。
そして彼らはアルクロフト公爵家の使者だと名乗った。
アルクロフト公爵家。魔獣被害の多いこの国で、魔獣を倒すことに特化した一族である。
聞くところによると、鍛えられた兵士数人がかりで倒す魔獣を、彼らは一人で一刀両断していくという。一騎当千。魔獣との戦いで、血を浴びるほど強さを増す彼らをバーサーカーと人は呼ぶ。
こちらは男爵家である。もちろんライは公爵家の人間と初めて会った。
今まで見たことのないような青い顔をした父が、口を開いた。
「アルクロフト公爵家がお前を国立学園に入学させてくれるとおおせだ」
「国立学園?」
思いもよらない提案に、ライは思わず問い返した。
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