バーサーカーの生贄に選ばれましたが、愛されてはいません

あおいまとか

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金が要ります

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「おれを国立学園に?」 

 ライは礼を失するのを承知で問い返した。自分より目上の人々の会話だ。本来は口を挟んではならなかった。

 しかし提案が不穏すぎた。

 国立学園は、貴族の子息が成人を迎えた18才から2年間通う学校だ。もちろん領地経営や戦い方など必要なことを学ぶが、ようは人脈作りである。将来国政にかかわる者たちを、若いうちに会わせておいて、有事には領地をこえて協力しろということだ。

 この国には魔獣が出る。領地に入ってきた場合、領主はすべからく戦いの指揮をとることになる。そのための学びも含まれていた。

 長男は入学必須だが、裕福な貴族の次男はまだしも、三男が通うことはまずない。うちのようにカツカツの男爵家では特に。通わせる金がないので。自慢ではないがライの生まれたギール家には金がない。長男でさえ、義務であるから金をどうにか融通し通わせたのだ。

 なのでライも学園への入学など、考えたこともなかった。

「学園にかかる費用は、何も心配されることはありません。こちらが全て出します」

 公爵家の使者がニコニコと笑顔で説明しはじめる。
 使者は2人。金髪を肩で切り揃えた小柄の少年と、背が高くガタイのいい筋肉質の、あきらかに戦闘に特化した青年だった。

「ただ一つ条件があります」

(だろうな)

 ライはその提案を当然のこととして受け止めた。名高い公爵家が、ほぼ無名の男爵家の三男に優しくするいわれはない。

「入学後、ある役目を負って欲しいのです。無事に役目をはたしていただければ、別途、報酬もお支払いいたします」

 使者が口にした額は驚くものだった。ライが成人し、運よく領地に貢献できても収入として叩き出せないだろう額だった。そして、今のギール男爵家が喉から手が出るほど欲しい額。

「その役目とは何でしょう?」

 問いを口にしながら、ゆっくりと冷や汗が背中を流れていくのを感じた。

 簡単な役目ならば、こんな大金を払われるわけがない。父があんなに青い顔をしているわけがない。小さくても領地と事業を回しているのだ。父は普段どちらかといえば、豪胆な性格をしている。

 ライはアルクロフト家のうわさを思い出す。バーサーカーと言われるほどの戦闘力を持つ彼らだが、力が成熟するまでは、ところかまわず人も選ばず、突然前触れもなく暴れだす。死にたくなければ、若いアルクロフト家の男子には近づくな、と。
  
 使者はライの想像通りの頼みごとをした。
 来年、アルクロフト家の次男が国立学園に入学する。
 一緒に入学して、彼の学友になってほしい。少々乱暴な面があるが、我慢してできるだけ一緒に過ごしてほしい。

「おれに死ねと?」

 思わず率直に尋ねたライに、まさかと使者は笑った。
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