例えそれが偽りだったとしても俺(私)は前に進む

黎月

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第一章

交わる二つの運命

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    俺の番が終わり順調に自己紹介は進んで行った。最後の自己紹介が終わったタイミングで

《鐘の音》

  「はい、初日はこんなものでいいでしょう。皆さん自己紹介お疲れ様でした。
この後は男女別で寮へと振り分けが行われますので、先程入学式が行われた体育館へ移動してくださいね。」

  「終わったか....。ん....」

    少し右手の甲の痛みを指でかきながら教室を後にする

    この斑鳩学園は唯一魔法使いを育成する機関だけあって膨大な土地を利用し建てられた校舎で、ひとつの移動にしても長い道のりになったりすることが多いそうだ。
    正直移動自体は構わないのだが、あまりの大きい校舎のせいで道に迷いそうになるのは勘弁して欲しい。

    一階は玄関エントランス、二階三年の教室、三階二年の教室、四階は俺たち一年の教室となっていているのだが、校舎は一つだけではなく、こことは別の校舎、第二校舎と体育館、そして2年からコースの選択によって利用することがある教会。この複数の建物がこの土地に一箇所に纏められている。そして今回の向かう体育館とはこの複数ある建物の内、1番遠くに位置するように建てられている。

    理由としては簡単だ。ただ単に危険だから。体育館は全生徒、教員を入れても余りあるくらいの広さを誇っており、そこは単なる人が集まる場所では無く、教員たちによる多重の結界が施されている戦闘用闘技場という1面もある。

    それが理由で他の建物よりも遠くに建てられているのだが、ごく稀に生徒同士による模擬戦等でその結界が破損することがあるらしい。だがそれは三年の名だたる実力者同士が戦う時のみらしいが、
果たして教員たちの苦労は以下ほどなものだろうか......。


  「では集まったな。今から寮の振り分けを行う。名前を呼ばれたものから指定の位置まで移動し、そこにいる教員の指示に従ってもらう。」

    考え事に耽っている間に次々と新入生たちが呼ばれていく。
    男女別とは言っても寮自体は隣同士らしく男女のいざこざもあるとかないとかで少し不安が残るが仕方ないか。

  「熾月零静。」

     学長に呼ばれ指定の位置まで移動する。
    指定の位置で待機していた時に、ふと前から声をかけられた。

    「よっ。お前も同じ寮かよろしくな!        
     俺は浅田光騎、お前と同じクラスメイトだ。俺のことは光騎って呼んでくれ。
今日からよろしく頼むぜ!」

    身長は見たところ173cm、前髪は眉毛くらい、後ろ髪は上の方で小さく束ねている金髪の青年って感じか。
    明らかに鍛え抜かれた両腕に頬に刻まれた傷跡。何かしら武術の心得があるっていう印象だ。

  「ああ、よろしく熾月零静だ。零静で構わない。
    見たところなんか昔武術でも習っていたのか?やけに筋肉が付いてるからつい目に入ってしまって。」

    「お目が高いな!これでも空手を幼少期からやっていてな、この学園に入るまでずっとやっていたぞ!」

    なるほど道理で来たえ抜かれてるわけだ。相当しごかれてここまでやってきたのだろう。見ていて強さを感じさせられる。

  「なるほどな、納得のいく説明だ。
    またとりあえず、これからよろしくしてもらうとありがたい。」

  「おう!よろしくな零静!」

    差し出された手を握り返し握手を交わし合う。

  「さて振り分けは以上だ。各々教員の指示に従って行動してくれ!これからの君達の活躍を期待しているよ。」


    寮に着くと教員は様々な説明をし終えた後、各々解散という形で自由行動が始まった。
    とりあえず用意された部屋を見てみると日常品等があったり無かったりで、少し微妙な感じだから、買い出しに出ることにした。
    この学園周辺にはしっかりスーパーやコンビニが備わっており、必需品に困ることがない上に、貴重な魔法使いたちを育成するというだけあって、町中の人々たちはとても親切で、スーパーなどの商品の値段は日本列島の店より安く設定されている。

    俺は必要な分だけを購入しさっさと
寮へと戻った。
    その帰り道、他の桜の木とは明らかに規模の大きさが違う巨大な桜の木を見つけた。太陽の光が桜の枝の隙間から地上を照らし、輝きを放っている。桜は風に吹かれ、ゆらりと花吹雪を撒き散らし、
まるでその場所だけは聖域と言わんばかりの異色さを放っていた。つい目を奪われてしまったがこれをゆっくり見るには少し時間が早すぎると感じ、夜に改めて見ようと思い、その場を後にした。


    夜の21時、改めてさっきの大きな木に訪れていた。ここに向かうまでにスマホで調べてみたら、どうやらこの木は人口管理島の存在する神樹の一つらしく、大量の魔力を蓄え、独自の生態系で一年中桜を咲かせている物らしい。

  「.............。」

    昼とは違い月明かりが神樹を照らし、月の光が桜の花びら1枚1枚に浸透していき、光を放っていてさらに先程見た景色よりも美しく瞳を奪われた。
    だがそんな時後ろからただならぬ気配を感じとり、瞬時に戦闘態勢へと切り替えた。

    「え.....?」

    女の子の声と共に後ろを振り向き、暗くて見えづらかった視界が月明かりで照らされていき、その気配の正体はに気付いた。

  「海月....美麗....?」

    黒髪のロングポニーテールが風に揺られ、ピンクの瞳と凛とした顔立ちのクラスメイトがこちらを覗いていた.....。



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