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第一章

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 意地悪な笑みの、だ。振り返ったエリスの顔には、意地悪な満面の笑みが浮かべられていた。
「今、親友と言いましたよね? ふふふ、私嬉しいです」
 私はエリスの言葉に、一瞬だけ言葉を失う。傷つけたと思って焦った私は、なんだったんだ。私の中で熱が広がっていく感覚を覚える。もう知らない。無視だ。無視すると決めた。
「いえ、言ってません、私、あなたの事知りません」
 私はそれだけ言って、体を反転させてギルドに歩き始める。
「あぁ、そんなひどい事言わないでくださいよぉ」
 おついてきたエリスが私の隣について、そんな言葉を並べる。もう聞かない。反応しない。そう決めていた私は、完全に無視を決め込んで歩き続けた。
「そう……ですよね」
 無視を続けていると、エリスが突然立ち止まってそんな事を言う。私は一瞬、振り返りそうになったのをグッとこらえて、歩き続けた。それでもエリスは続けている。
「私なんて……どうせ……」
 距離が離れてきたらしく、エリスの声が遠くから微かに聞こえてくる。もう知らない。
「もう、きえ……ちょっ、まっ……待ってくださいよぉ」
 かなり遠くの方で聞こえてきたエリスの声が、だんだん近づいてきた。最後の方は真後ろで聞こえる。
「ごめんなさいぃ、謝りますから! 無視しないで、ルネーナさん!」
 泣いているような声を出すエリス。でも私は無視を続ける。思い知ってもらおう。私は怒っているのだ。
「ごめんなさいぃ」


 私はギルドにたどり着いた。スライムを倒して帰ってくるだけだったけど、時間的に結構かかってしまった気がする。
「ルネーナさん、早く報告を済ませちゃいましょう」
 私は受付に向かって歩き始める。ギルド職員の昼休憩はどうなっているんだろう。受付にはミリエナがいる。誰かと交代なのか、休憩に入ってその間受付は休止になるのか。どっちにしても、早く済ませてしまいたい。私は足を速めた。
「無視しないでくださいぃ、ルネーナさぁん」
 受付にたどり着くとミリエナが変な顔をして、私の後ろ辺りに視線を送る。
「スライム十体倒してきたよ」
「ルネーナさぁぁぁぁん、うわぁぁぁん」
「ん? どうしたの、ミリエナ?」
「あっ、いえ……気にならないのならいいんですが」
 困ったような表情をしたミリエナは、そんな事を言いながら言葉を続ける。どうしたんだろうか。不思議だ。
「仮のギルドカードをもらえますか?」
 ミリエナの言葉に従って、首にかけていた仮のギルドカードを外して差し出す。
「はい、これで倒したのがわか」
「うわぁぁぁん、ルネーナさぁぁぁん」
 エリスが私に抱き着いてきて、言葉が中断されてしまった。
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