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第二章

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 しばらく様子を伺っていると、オークたちが何かを喋っている事に気付いた。ずっとうめき声をあげているだけに聞こえていたけど、しばらく聞いていて慣れてきたのかもしれない。エリスも同じようで、隣で聞き耳をたてて内容を理解しようとしている。
「新シイリーダー、イツ来ル、聞イテルカ」
「モウスグ、聞イタ」
 私は体を反転させる。エリスも同じようにして、隣から体を密着させてきた。
「今の、リーダーって」
「はい、聞きました、新しいリーダーって」
 その言葉が聞き間違いでなければ、チームで行動しているという事だ。しかもどこかからリーダーが派遣されてくる、という意味にとれる。つまり上位のチームが存在しているという事だ。いや、そんな事をしているという事は、チームなんて規模じゃない。組織が存在している可能性がある。
「とんでもない事になってきましたね」
「うん」
 もしかして本当に、グルシアの滅亡に関係があるんだろうか。ギルドマスターの思い付きが、実は的を射ていたのかもしれない。
「離せ! この!」
 二人で相談していると、突然そんな声が遠くの方で聞こえる。洞窟の外の方だろうか。オークの発音とは明らかに違う、はっきりとした発音の声が響いてきた。そしてそのもがく声が、徐々に近づいてくる。私達は洞窟の出入り口の方に振り向いた。
「くそ! なんだよ!」
「なんなのよ!」
「助けてくれ!」
 男性二人の声と女性一人の声。その声の先には私達がそうされたように、スライムに包まれて身動きが取れなくなった、冒険者らしい三人が囚われていた。一体のオークが肩に担いで、後ろに四体のオークが網を支えてこちらに近づいてくる。後ろにいる内の一体は網を持って出て行ったオークかもしれない。途中で出会ったから、手伝っているような感じだ。途中で離れて、元から居た三人の方に合流していた。
 私達が入っている牢屋に近づいてくると、囚われた冒険者を放り込んで鉄格子のドアはすぐさま閉じた。スライムたちが急いで出て行く。それでやっと三人の冒険者の姿をはっきり確認できた。
「なんだよ!」
 活発そうな男性……というより私と同じくらいの歳の男の子が、悪態をつく様にオークの方に吐き捨てる。他の二人も、私と同じくらいの歳に見える。
「なんでこんな事に」
 か弱そうな女の子がそう口にすると、利発そうな男の子が「大丈夫、大丈夫だから」と気づかう言葉をかけた。
「大丈夫? ケガは無い?」
 私が声をかけると、私達の存在に初めて気づいた様に体を強張らせる。それから同じ人間であるという事に気付いて、次第に三人が力を抜いていくのが見えた。
「あんたらも、か」
 活発な男の子がそう口にする。それからすぐに利発そうな男の子が、目を見開いて声をあげた。
「ルネーナ様……」
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