49 / 97
第二章
22
しおりを挟む
しばらく様子を伺っていると、オークたちが何かを喋っている事に気付いた。ずっとうめき声をあげているだけに聞こえていたけど、しばらく聞いていて慣れてきたのかもしれない。エリスも同じようで、隣で聞き耳をたてて内容を理解しようとしている。
「新シイリーダー、イツ来ル、聞イテルカ」
「モウスグ、聞イタ」
私は体を反転させる。エリスも同じようにして、隣から体を密着させてきた。
「今の、リーダーって」
「はい、聞きました、新しいリーダーって」
その言葉が聞き間違いでなければ、チームで行動しているという事だ。しかもどこかからリーダーが派遣されてくる、という意味にとれる。つまり上位のチームが存在しているという事だ。いや、そんな事をしているという事は、チームなんて規模じゃない。組織が存在している可能性がある。
「とんでもない事になってきましたね」
「うん」
もしかして本当に、グルシアの滅亡に関係があるんだろうか。ギルドマスターの思い付きが、実は的を射ていたのかもしれない。
「離せ! この!」
二人で相談していると、突然そんな声が遠くの方で聞こえる。洞窟の外の方だろうか。オークの発音とは明らかに違う、はっきりとした発音の声が響いてきた。そしてそのもがく声が、徐々に近づいてくる。私達は洞窟の出入り口の方に振り向いた。
「くそ! なんだよ!」
「なんなのよ!」
「助けてくれ!」
男性二人の声と女性一人の声。その声の先には私達がそうされたように、スライムに包まれて身動きが取れなくなった、冒険者らしい三人が囚われていた。一体のオークが肩に担いで、後ろに四体のオークが網を支えてこちらに近づいてくる。後ろにいる内の一体は網を持って出て行ったオークかもしれない。途中で出会ったから、手伝っているような感じだ。途中で離れて、元から居た三人の方に合流していた。
私達が入っている牢屋に近づいてくると、囚われた冒険者を放り込んで鉄格子のドアはすぐさま閉じた。スライムたちが急いで出て行く。それでやっと三人の冒険者の姿をはっきり確認できた。
「なんだよ!」
活発そうな男性……というより私と同じくらいの歳の男の子が、悪態をつく様にオークの方に吐き捨てる。他の二人も、私と同じくらいの歳に見える。
「なんでこんな事に」
か弱そうな女の子がそう口にすると、利発そうな男の子が「大丈夫、大丈夫だから」と気づかう言葉をかけた。
「大丈夫? ケガは無い?」
私が声をかけると、私達の存在に初めて気づいた様に体を強張らせる。それから同じ人間であるという事に気付いて、次第に三人が力を抜いていくのが見えた。
「あんたらも、か」
活発な男の子がそう口にする。それからすぐに利発そうな男の子が、目を見開いて声をあげた。
「ルネーナ様……」
「新シイリーダー、イツ来ル、聞イテルカ」
「モウスグ、聞イタ」
私は体を反転させる。エリスも同じようにして、隣から体を密着させてきた。
「今の、リーダーって」
「はい、聞きました、新しいリーダーって」
その言葉が聞き間違いでなければ、チームで行動しているという事だ。しかもどこかからリーダーが派遣されてくる、という意味にとれる。つまり上位のチームが存在しているという事だ。いや、そんな事をしているという事は、チームなんて規模じゃない。組織が存在している可能性がある。
「とんでもない事になってきましたね」
「うん」
もしかして本当に、グルシアの滅亡に関係があるんだろうか。ギルドマスターの思い付きが、実は的を射ていたのかもしれない。
「離せ! この!」
二人で相談していると、突然そんな声が遠くの方で聞こえる。洞窟の外の方だろうか。オークの発音とは明らかに違う、はっきりとした発音の声が響いてきた。そしてそのもがく声が、徐々に近づいてくる。私達は洞窟の出入り口の方に振り向いた。
「くそ! なんだよ!」
「なんなのよ!」
「助けてくれ!」
男性二人の声と女性一人の声。その声の先には私達がそうされたように、スライムに包まれて身動きが取れなくなった、冒険者らしい三人が囚われていた。一体のオークが肩に担いで、後ろに四体のオークが網を支えてこちらに近づいてくる。後ろにいる内の一体は網を持って出て行ったオークかもしれない。途中で出会ったから、手伝っているような感じだ。途中で離れて、元から居た三人の方に合流していた。
私達が入っている牢屋に近づいてくると、囚われた冒険者を放り込んで鉄格子のドアはすぐさま閉じた。スライムたちが急いで出て行く。それでやっと三人の冒険者の姿をはっきり確認できた。
「なんだよ!」
活発そうな男性……というより私と同じくらいの歳の男の子が、悪態をつく様にオークの方に吐き捨てる。他の二人も、私と同じくらいの歳に見える。
「なんでこんな事に」
か弱そうな女の子がそう口にすると、利発そうな男の子が「大丈夫、大丈夫だから」と気づかう言葉をかけた。
「大丈夫? ケガは無い?」
私が声をかけると、私達の存在に初めて気づいた様に体を強張らせる。それから同じ人間であるという事に気付いて、次第に三人が力を抜いていくのが見えた。
「あんたらも、か」
活発な男の子がそう口にする。それからすぐに利発そうな男の子が、目を見開いて声をあげた。
「ルネーナ様……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
766
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる