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第三章

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 考えすぎなのかもしれない。でも一応という事だ。
「つまり牽制みたいな感じかな」
 私がそう言うと、エリスが「そう、ですか」と呟く。手紙を送ってから王都に向えば、後ろめたい事があれば、道中何かあるかもしれない。ある意味、信用するために手紙を送るのだ。
「……お待たせしました」
 受付のお姉さんが戻ってくる。表情は、何とも言えない感じだ。たぶん面倒なことになったと思っているけど、お客さんにそんな顔を見せるわけにもいかず、といったところか。
「郵便は送れるの?」
「はい、ルネーナ様のお名前と責任で、承ります」
 受付のお姉さんは、名前と責任の部分を念を押す様に強調した。
「私の名前と責任ね……もちろん、何かあったら全力で盾になるから安心して」
「よろしくお願いします」
 現実的な所、元王女の一般人の私が盾になった所で、どこまで有効な防御ができるかわからないけど。それでもこうして応じてくれた郵便ギルドに、感謝しなければ。
「じゃあ少し待ってね……」
 受付のお姉さんに、そう断りを入れる。私はどのような内容の手紙を送るか、じっくりと考えた。


「王都に向かうんですよね?」
 郵便ギルドで、手紙をねじ込んでもらったその帰り道。エリスが少し嬉しそうに問いかけてきた。
「そうだね、すぐにとはいかないけど、急ぎたいかな」
 私の言葉に、エリスが何度か頷いた。見るからにテンションが高くなっている。
「……楽しみ?」
「すみません! ルネーナの大事な用事の為に行くのに、こんな」
 上から真っ逆さまに落ちた様に、エリスが青くなる。別に怒っていたわけではない。私は急いで両手を振って否定する。
「怒ってる訳じゃないよ! 大丈夫……私だって用事のためとは言っても、王都を堪能したいと思うし」
 王都の栄え方は、他の街の比ではない。この街もそれなりに栄えているけど、王都に比べれば大したことは無い。それにグルシアの王都とも違う。グルシアは芸術や音楽等の文化の国だったから、それに特化した栄え方をしていた。でもエレルノーアはバランスよく栄えているから、王都には本当に色んな物があるのだ。
「良かったです……ルネーナは王都、エレルノーアの王都は行った事があるんですか?」
「留学してからは行ってないけど、小さい頃にね……楽しかったよ」
 それほど年月は過ぎていないけど、それでもすでにあれから変化しているのだろう。
「聞いてみたいです、それに行く為の準備の相談もしないと」
「そうだね、朝ごはんでも食べながら、色々話そうか」
 その言葉に、エリスが「はい」と笑みを浮かべ、私の手を取って「早く行きましょう」と小走りに進み始めた。
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