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第三章
04
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「グルシアへの郵便は、どう?」
淡い期待を抱いていた。もしかしたら。そんな事を思って聞いたけど、受付のお姉さんは暗い表情になって、顔を横に振った。分かっていたけど、それでもやっぱり心に重い物がのしかかる。そうやって俯きかけると、腰の辺りに暖かさを感じた。振り向くと少し後ろに立っていたエリスが、優しく手を当ててくれている。
「……ありがとう」
私の言葉にエリスは微笑む。大丈夫。私にはエリスがいる。そうやって暗い気持ちを吹き飛ばして、本題に入るために受付のお姉さんに顔を向けなおした。
「エレルノーア王に手紙を送りたいんだけど」
「はい……エレルノーア王に、え?! 王様にですか?! いや、それは」
受付のお姉さんは私の言葉に、軽くパニックを起こしている様だった。当たり前だ。普通は、王様に手紙を送るのは友人でもない限り難しい。ただそこは私だからできるはずだ。友人という訳ではないけど、友好国の王女なのだから。元だけど。
「ルネーナ様、さすがに」
学園に居た頃から、グルシアに手紙を送るために郵便を使っていた。私から出向いた訳じゃなくて、郵便ギルドから私の方に来てもらっていたけど。だから、郵便ギルドは私の事を認識している。多少の無茶も聞いてもらえるはずだと思っている。
困っている受付のお姉さんに、畳みかける様に言葉を重ねる。
「公用郵便にねじ込んでほしいんだよね」
「こ、公用郵便にですか?!」
郵便のお姉さんが顔を青くした。なかなかの無茶を言っているのは分かっている。でも、公用なら確実に王様が目を通す。万が一が起こり辛い。
「ルネーナ、それはさすがに」
受付のお姉さんの事が居た堪れなくなったのか、エリスが声をかけてくる。
「大丈夫だよ」
エリスに向けて笑うと、私は受付のお姉さんに頭を下げた。
「お願い! 私に無理やりやらされたって言えばいいから、お願いします!」
「……少々お待ちください」
困り果てたという感じで、受付のお姉さんが席を離れる。上司に助けを求めに行ったのだろうか。
「ルネーナ、どうしてそんなに手紙を送りたがるんです? 失礼ではあるかもですがいきなり王様を訪ねても、それこそルネーナなら邪険にされないでしょう?」
エリスは戸惑った表情で、問いかけてきた。
「考えたんだけどね、エレルノーア王……おじ様はお父様と友達だった、なのに私の所に何のアクションもない、心配して使者を送ってきてもおかしくないと思うんだよね、しかも私はここに留まってる、すれ違った訳でもないし」
淡い期待を抱いていた。もしかしたら。そんな事を思って聞いたけど、受付のお姉さんは暗い表情になって、顔を横に振った。分かっていたけど、それでもやっぱり心に重い物がのしかかる。そうやって俯きかけると、腰の辺りに暖かさを感じた。振り向くと少し後ろに立っていたエリスが、優しく手を当ててくれている。
「……ありがとう」
私の言葉にエリスは微笑む。大丈夫。私にはエリスがいる。そうやって暗い気持ちを吹き飛ばして、本題に入るために受付のお姉さんに顔を向けなおした。
「エレルノーア王に手紙を送りたいんだけど」
「はい……エレルノーア王に、え?! 王様にですか?! いや、それは」
受付のお姉さんは私の言葉に、軽くパニックを起こしている様だった。当たり前だ。普通は、王様に手紙を送るのは友人でもない限り難しい。ただそこは私だからできるはずだ。友人という訳ではないけど、友好国の王女なのだから。元だけど。
「ルネーナ様、さすがに」
学園に居た頃から、グルシアに手紙を送るために郵便を使っていた。私から出向いた訳じゃなくて、郵便ギルドから私の方に来てもらっていたけど。だから、郵便ギルドは私の事を認識している。多少の無茶も聞いてもらえるはずだと思っている。
困っている受付のお姉さんに、畳みかける様に言葉を重ねる。
「公用郵便にねじ込んでほしいんだよね」
「こ、公用郵便にですか?!」
郵便のお姉さんが顔を青くした。なかなかの無茶を言っているのは分かっている。でも、公用なら確実に王様が目を通す。万が一が起こり辛い。
「ルネーナ、それはさすがに」
受付のお姉さんの事が居た堪れなくなったのか、エリスが声をかけてくる。
「大丈夫だよ」
エリスに向けて笑うと、私は受付のお姉さんに頭を下げた。
「お願い! 私に無理やりやらされたって言えばいいから、お願いします!」
「……少々お待ちください」
困り果てたという感じで、受付のお姉さんが席を離れる。上司に助けを求めに行ったのだろうか。
「ルネーナ、どうしてそんなに手紙を送りたがるんです? 失礼ではあるかもですがいきなり王様を訪ねても、それこそルネーナなら邪険にされないでしょう?」
エリスは戸惑った表情で、問いかけてきた。
「考えたんだけどね、エレルノーア王……おじ様はお父様と友達だった、なのに私の所に何のアクションもない、心配して使者を送ってきてもおかしくないと思うんだよね、しかも私はここに留まってる、すれ違った訳でもないし」
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