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第四章
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ある程度打ち合わせを終えた後、私達は冒険者ギルドを出た。時間がないかどうかわからないけど、急ぐにこしたことは無い。私達は急いで南門の方に向かう。駆け足くらいのスピードだ。
オークがいたという森は北門から出た方が近い。さすがに北門から出たら、見つかる可能性があったから、念には念を入れて南門から出る事になった。南門から出て大回りして森に入り、オークロードを後ろから奇襲するのが私達の役目だ。メンバーは私とエリス、マーク達、その他の冒険者も合わせて、三十名程度いる。
私は空をチラリと一度見た。昼を過ぎて日の光が降り注いでいる。日が暮れるまで時間はあるけど、ゆっくりもしてられない。夜までには決着をつけたい。オークたちは夜目が効くらしいから、圧倒的に不利になってしまうのだ。
「というかなんで私がリーダーなの?」
私は憎々しく声をあげてみる。元王女ってだけでリーダーに選ばれて、みんな普通に納得してしまったという事。自分でもわかっている。そういう力のある肩書なのは理解しているけど、だからってリーダーシップがあるかどうかは別だと思う。
「私は適任だと思います、リーダーシップあると思いますし」
隣にいるエリスが、力強く両手の拳を顔の前で握り締めながら言った。
「いや、エリスの方が向いてるでしょ」
そう返すと、握っていた手を開いて今度は振りながら、否定の声をあげる。
「私にリーダーシップなんてありませんよ、フォロワーシップならあると思いますが」
どっちもあって、どっちの役割も出来そうな気がするけど。
「とにかく急がないと」
エリスは話を逸らす様に声をあげる。その声に対して、マークが少し前に出て問いかけてくる。
「急いでるのに走らなくていいのか?」
今現在、駆け足程度で進んでいる。私も急ぐなら走った方が良いと思うけど。マークに同意する様にエリスに視線を送った。
「走ると、消耗してしまいますから……相手の強さも分からない状態なので、万全の体力で挑むべきでしょう」
「確かに……そうだな」
マークは納得したようで、少し後ろにさがった。それと入れ替わる様に今度はエリックが少し前に出て、口を開く。
「この人数で南門から出たら、相手に気付かれませんか? 偵察がいるかもしれません」
エリックの言葉に私は頷く。確かに相手はただのモンスターではない。それぐらいの事をしている可能性はありそうだ。
「どうでしょうか、知恵があると言っても、そこまでできるか……ある意味賭けに近いですね」
エリスが笑顔でそう言った。なぜか、賭けに出ているという印象を抱けない笑顔だった。
オークがいたという森は北門から出た方が近い。さすがに北門から出たら、見つかる可能性があったから、念には念を入れて南門から出る事になった。南門から出て大回りして森に入り、オークロードを後ろから奇襲するのが私達の役目だ。メンバーは私とエリス、マーク達、その他の冒険者も合わせて、三十名程度いる。
私は空をチラリと一度見た。昼を過ぎて日の光が降り注いでいる。日が暮れるまで時間はあるけど、ゆっくりもしてられない。夜までには決着をつけたい。オークたちは夜目が効くらしいから、圧倒的に不利になってしまうのだ。
「というかなんで私がリーダーなの?」
私は憎々しく声をあげてみる。元王女ってだけでリーダーに選ばれて、みんな普通に納得してしまったという事。自分でもわかっている。そういう力のある肩書なのは理解しているけど、だからってリーダーシップがあるかどうかは別だと思う。
「私は適任だと思います、リーダーシップあると思いますし」
隣にいるエリスが、力強く両手の拳を顔の前で握り締めながら言った。
「いや、エリスの方が向いてるでしょ」
そう返すと、握っていた手を開いて今度は振りながら、否定の声をあげる。
「私にリーダーシップなんてありませんよ、フォロワーシップならあると思いますが」
どっちもあって、どっちの役割も出来そうな気がするけど。
「とにかく急がないと」
エリスは話を逸らす様に声をあげる。その声に対して、マークが少し前に出て問いかけてくる。
「急いでるのに走らなくていいのか?」
今現在、駆け足程度で進んでいる。私も急ぐなら走った方が良いと思うけど。マークに同意する様にエリスに視線を送った。
「走ると、消耗してしまいますから……相手の強さも分からない状態なので、万全の体力で挑むべきでしょう」
「確かに……そうだな」
マークは納得したようで、少し後ろにさがった。それと入れ替わる様に今度はエリックが少し前に出て、口を開く。
「この人数で南門から出たら、相手に気付かれませんか? 偵察がいるかもしれません」
エリックの言葉に私は頷く。確かに相手はただのモンスターではない。それぐらいの事をしている可能性はありそうだ。
「どうでしょうか、知恵があると言っても、そこまでできるか……ある意味賭けに近いですね」
エリスが笑顔でそう言った。なぜか、賭けに出ているという印象を抱けない笑顔だった。
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