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二章 誇れる自分である為に
7 お披露目会
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競技場の中に入ると、観客席ではなく競技場に教師たちが集まっている。
観客席に居るのは生徒だけで、教師は皆下に降りてきている感じだ。
……まあこの先生方は催し物を見に来たって訳じゃないからな。
立ち位置的には、あの時試験官だったハゲに近い感じだ。
そういやハゲの姿が無いな。
まあアイツは既に一番の特等席で見ちゃった感じだからな。
態々見に来ないか。
色々とメンタルに追い打ち掛けられたような気分になるだろうから。
だから最終的にハゲを始めとした極一部の教師を除いたほぼ全員に見られながら、アイリスの術式のお披露目会が開催される事となった。
で、それからやった事と言えば、あの追試であえて悪目立ちするようにやっていた事を、もうちょっと落ち着いて、言われた通りに要望通りにやっていった感じ。
アイリスの論文も交えながら、アイリスから術式をコピーし、構築し、出力する。
その繰り返し。
俺がやる事はただそれだけ。
アイリスの言っている事をどの位の人数がどの程度理解しているのかは分からないけれど……それでも凄いということは視覚情報で確かに伝わった筈だ。
……事前に俺の劣化コピーがどの位低スペックかという事も、適当な術式コピーさせられて実践させられたからな。とても分かりやすい。
あの程度の出力のスキルでこれだけの力が出せるのかと、態々口に出してた奴もいる。
全体的に俺に対する配慮みたいなのは無いわけだ。まあいいけどさ。
「なんかごめん……ボクが思ってたのと、ちょっと違った」
途中、アイリスが小声で謝ってきた。
もしかするとアイリスは俺にもスポットライトが当たってくれると思ってくれていたのかもしれない。
……ほんとに良い奴だと思う。
俺には勿体ない友達だと思う。
だからこそ、余計ちょっと惨めでも頑張らねえとって思える。
お前相手じゃなきゃ、こんな役回りやってねえ。
やれねえ。
「いいよ気にすんな。今日はお前が主役だ」
だからアイリスは胸張ってドヤってれば良いんだよ。
というかそうして欲しい。
俺は本当にお前の事を応援してるんだからさ。
堂々としててくれ。
「俺は大丈夫だから。今更こんな事で折れたりしねえよ。ちゃんと前向いて歩ける」
まあ……さっきの話がなかったら結構危うかったかもしれないけど。
とにかく、俺は大丈夫だ。
コイツらから与えられる評価なんて最低限で良い。
俺は魔術師って括りで評価される為に頑張って来たんじゃないんだ。
だから俺の分までアイリスが評価されてくれればいい。
「……ボクの考えは変わってないよ」
「……」
「ユーリ君だって凄いんだ」
「……ありがとな」
とにかく俺は大丈夫だ。
今はとりあえずお前にそう言って貰えたら、大丈夫。
…………結構しんどいけどな。
そして全部終わった後、結局分からない事は山のようにあってもアイリスがとてつもなく高度な魔術の理論を構築しているという事は伝わったみたいで。
それを知る事に教師たちに何かメリットが有ったのかは分からないけれど、出席した教師達の中でアイリスの評価はとても高い物となったみたいだった。
この前まで退学一歩手前だったのに、本当に凄いよなアイリスは。
大丈夫、心は折れなかった……大丈夫だ。
観客席に居るのは生徒だけで、教師は皆下に降りてきている感じだ。
……まあこの先生方は催し物を見に来たって訳じゃないからな。
立ち位置的には、あの時試験官だったハゲに近い感じだ。
そういやハゲの姿が無いな。
まあアイツは既に一番の特等席で見ちゃった感じだからな。
態々見に来ないか。
色々とメンタルに追い打ち掛けられたような気分になるだろうから。
だから最終的にハゲを始めとした極一部の教師を除いたほぼ全員に見られながら、アイリスの術式のお披露目会が開催される事となった。
で、それからやった事と言えば、あの追試であえて悪目立ちするようにやっていた事を、もうちょっと落ち着いて、言われた通りに要望通りにやっていった感じ。
アイリスの論文も交えながら、アイリスから術式をコピーし、構築し、出力する。
その繰り返し。
俺がやる事はただそれだけ。
アイリスの言っている事をどの位の人数がどの程度理解しているのかは分からないけれど……それでも凄いということは視覚情報で確かに伝わった筈だ。
……事前に俺の劣化コピーがどの位低スペックかという事も、適当な術式コピーさせられて実践させられたからな。とても分かりやすい。
あの程度の出力のスキルでこれだけの力が出せるのかと、態々口に出してた奴もいる。
全体的に俺に対する配慮みたいなのは無いわけだ。まあいいけどさ。
「なんかごめん……ボクが思ってたのと、ちょっと違った」
途中、アイリスが小声で謝ってきた。
もしかするとアイリスは俺にもスポットライトが当たってくれると思ってくれていたのかもしれない。
……ほんとに良い奴だと思う。
俺には勿体ない友達だと思う。
だからこそ、余計ちょっと惨めでも頑張らねえとって思える。
お前相手じゃなきゃ、こんな役回りやってねえ。
やれねえ。
「いいよ気にすんな。今日はお前が主役だ」
だからアイリスは胸張ってドヤってれば良いんだよ。
というかそうして欲しい。
俺は本当にお前の事を応援してるんだからさ。
堂々としててくれ。
「俺は大丈夫だから。今更こんな事で折れたりしねえよ。ちゃんと前向いて歩ける」
まあ……さっきの話がなかったら結構危うかったかもしれないけど。
とにかく、俺は大丈夫だ。
コイツらから与えられる評価なんて最低限で良い。
俺は魔術師って括りで評価される為に頑張って来たんじゃないんだ。
だから俺の分までアイリスが評価されてくれればいい。
「……ボクの考えは変わってないよ」
「……」
「ユーリ君だって凄いんだ」
「……ありがとな」
とにかく俺は大丈夫だ。
今はとりあえずお前にそう言って貰えたら、大丈夫。
…………結構しんどいけどな。
そして全部終わった後、結局分からない事は山のようにあってもアイリスがとてつもなく高度な魔術の理論を構築しているという事は伝わったみたいで。
それを知る事に教師たちに何かメリットが有ったのかは分からないけれど、出席した教師達の中でアイリスの評価はとても高い物となったみたいだった。
この前まで退学一歩手前だったのに、本当に凄いよなアイリスは。
大丈夫、心は折れなかった……大丈夫だ。
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