クラス転移で俺だけ勇者じゃないのだが!?~召喚した配下で国を建国~

かめ

文字の大きさ
20 / 41
第二章〜フューズ王国〜

第17話 道中

しおりを挟む
「次の方どうぞ。おっ、ライアンさん久しぶりです」

「おっす、2ヶ月ぶりくらいだな。こっちの様子はどうだ?」

「いえ、特に変わらないですね。いつも通り騒がしいです」

 どうやら憲兵さんとライアンさんは知り合いのようで何やら喋っている。
 城塞都市ガルゾディスを出てから3日がたち、ガルゾディスと王都の間にある街の1つ、リカリスに来ていた。
 リカリスは人口2000人くらいの小さな街である。

「ライアンさんはよくここに来ているんですか?」

「来ているというか俺の故郷だな。特に特産品や、名所がある訳でもないが、みんな親切でな、良い所だぞ」

 なるほど、ここはライアンさんの故郷だったのか。道理で道行く人に声をかけられたりしている。
 俺たちはライアンさんの知り合いのやっている宿屋に行くことになった。

「ちっす、おっちゃん。久しぶり」

「おお、ライアンか。久しぶりだな?調子はどうだ?」

「まあまあかな。それより今日は泊まりに来たんだが、部屋は空いてるか?」

「何部屋か空いているぞ」

 どうやら宿屋のおじさんとも知り合いらしい。
 ライアンさんが俺たちの代わりに部屋をとってくれたようだ。
 なんかニヤニヤしていて嫌な気がするんだが……

「あんまり、大きな音出すなよ。寝れねぇからな」

 そう言いながらライアンさんはニヤニヤしている。
 宿泊客の名簿みたいなのを見てみると、俺、カンナ、リアンが同室になっている。
 ちっ、してやられた!
 別に嫌なわけではないが、ニヤニヤされると物凄くムカつくんだよな。あれだ、好きな人について茶化されるみたいな感じだわ。

 宿屋のチェックインを済まし、俺たちはご飯を食べた後皆で酒を飲んでいた。

「ゴクッ──、んーやっぱこれだな!」

「プハァ!やっぱり、エールは最高だな」

 ライアンさん達はエールをグビグビ飲んで恍惚とした顔をしている。

「甘くて美味しいですね!」

「そうね、やっぱり蜂蜜酒が1番好きだわ」

 カンナとリアンは蜂蜜酒という甘めのお酒を飲んでいた。リアンは結構お酒が好きなようで四、五杯飲んでいる。前も結構飲んで酔っていたんだけど、今回は大丈夫だろうか。そう思って見ていたのだが……

「ねぇーねぇー、とうまぁ?」

 まるで甘えるような甘い声に、トロンとした目でこちらを見つめてくる。
 あ、これもう完全に酔ってダメなやつだ。
 てか、可愛すぎてこっちもダメになるんだが。

「ん、なんだ?」

「んー?呼んでみただけっ」

 そう言いながらリアンがにやにやしている。
 破壊力が半端ない。
 ライアンさん達はヒューヒューとは言わないものの、ニヤニヤしながら酒を煽っている。いや、酒のつまみにすんじゃねぇ!
 そのあと酔い潰れて寝てしまったリアンをカンナと一緒に部屋に連れて行く羽目になった。

「うーん、頭痛いわね……」

「そりゃ、昨日あんなに飲んでいたからな」

「うーん、昨日の記憶あまりないのよね……そんな私飲んでたの?」

「結構飲んでたぞ。合計で6杯くらい飲んでいたんじゃないか?」

「うーん、今度からは意識があるうちにやめないといけないわね……お酒は好きなんだけど、そこまで強いわけじゃないし、次の日頭痛くなるし」

「まあ、なにごとも程々にだな」

 階段を降りると、丁度ライアンさん達も降りてきたようで目が合う。

「よう、昨日はお楽しみだったか?」

「からかわないでくださいよ!何も無いです!」

「面白くねぇなぁー」

「別に面白くなくていいですよ!」

 そう言い争いながら席へと着く。

 朝食はステーキだった。よう、1週間ぶりだな!朝からステーキ(笑)
 これは、なんの肉だろう……豚ではないんだが、牛でもないし、鳥でもない。なんだろう、こうねっとりした感じだ。結構癖になって美味しい。

「これってなんの肉なんですか?」

「ん?ああ、これか。多分カウフィッシュだぞ。川で釣れるやつだな」

 カウフィッシュ……牛と魚ってことか?むちゃくちゃだな。

 朝食を済ませたあと、俺たちは街を出て街道を歩いていた。
 木が茂る森の中を進んでいたのだが、道端の茂みからガサガサと音がする。
 カンナのほうを見ると、頷いている。どうやら敵が潜んでいるらしい。
 魔物だろうか?
 相手がどう出てくるのかと息を潜めていたのだが。

「おい、痛い目に会いたくなきゃ荷物を置いてきな。ついでにそこの女二人もだ」

 茂みから男達が現れ、そう俺たちに言ってくる。
 一瞬俺の頭はパニックになった。こいつらは馬鹿なのだろうか?冒険者がいる場合は戦闘になることが確実なのに、なぜわざわざ冒険者が護衛している馬車に手を出そうとするのだろうか?しかも、不意打ちではなく、降伏勧告をしようとするとは。それに、男の声は若干震えている。
 ライアンさん達は無言で剣を抜き、構える。

「っち、やる気か。後悔しても遅いからな!」

「ちょっと、斗真君たちは馬車の護衛をしていてくれ。俺達が片付けてくる」

 ──数分後

「うわぁ!」

 そういい残し、最後の男が地面に倒れる。

「ふぅ……久しぶりですね、こんな胸糞悪いことをやっている奴らを見るのは」

「ああ、本当に許せないよな」

「えっと……どういうことですか?」

「ああ、君は知らないのか。ほら、さっきの男の声といい、行動といい違和感を感じなかったか?」

「ええ、少しだけでしたけど、怯えてるように感じました」

「実はな、こうやって盗賊として襲ってくる奴のなかには奴隷として無理やり盗賊行為をさせられてる人もいるんだ。ほら、これを見てごらん」

 ノーマンさんはそういうと、男の服を捲る。
 現れた男の身体は痩せ細っていて、骨が浮かび上がっていた。

「こうやって、奴隷を胸糞悪い使い方をしている奴も一定数いるんだ。本当は、こういう事は禁止されているんだけどな。犯罪者を奴隷として罰を与えるのに、その奴隷に犯罪をさせるとか可笑しい話なんだよな」

 どうやら、奴隷は首輪の拘束力によって、主人の言う事を聞かないといけないらしい。それを利用して犯罪をさせる人もいるようだ。

「この人達はどうするんですか?」

「……残念だが、俺たちにはなにも出来ることはない。こいつらを連れて行くことも出来ないし、こいつらに盗賊行為をさせた奴も懲らしめることもできない。相手は貴族だろうからな……。つくづく自分が嫌になるよ。なにも出来ない自分が」

 俺たちはささやかな食べ物を置いてその場を去った。

 * * * *

「うぉー、綺麗だなぁ」

「綺麗ですね!」

 連なる山々は夕陽の光に照らし出され、さながら世界でここだけに火が灯ったような錯覚まで引き起こさせるようだった。
 普段はいつも青く茂る自然の景色も、今だけは遠くどこまでも赤く染まって、まさに別世界のような光景だ。

 その雄大な景色をみると、自分の悩みがちっぽけに見えてくる。
 地球にいた時も旅行はそこそこ行ってはいたが、ここまで感動することはなかった。

「世界って広いんだな」

「ああ、広いぞ。俺はまだ行ったことはないが、遠くの方には街を飲み込むような、大きな水溜まりがあるらしいし、龍の住む山もあるらしい。俺は自分の目で世界中をみるために冒険者になったんだ」

 一息ついて、再びライアンさんが口を開く。

「この世の中には楽しいこともあるし、同じくらい辛いこともある。自分ではどうしようもないと感じたり、努力をしても報われないときもある。ただそれでも諦めずに、がむしゃらに頑張ってこの世界を見てやろうって誓ったんだ。今日を生きれなかったアイツの分までな」

「ってか、俺はなにを話してるんだろうな。よし、取り敢えず完全に暗くなるまでに野営の準備を済ますぞ!」
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...