クラス転移で俺だけ勇者じゃないのだが!?~召喚した配下で国を建国~

かめ

文字の大きさ
29 / 41
第二章〜フューズ王国〜

第25話 事情聴取と犬耳ちゃん

しおりを挟む
「失礼します」

 コンコンとドアをノックし、部屋へと入る。部屋には執務用であろう机と、応接用のテーブルとソファのようなものがある。まるで社長室のようだ。

「おお、君たちか。すまないが色々と話を聞かせてもらうよ。私はここのギルドマスターのエルフィンだ」

 部屋の中にはギルドマスターであるエルフィンさんと、ブレンダン先生がいた。
 ギルマスであるエルフィンはエルガレフト神国バルエルのギルマスと違って筋肉隆々なわけではない。どちらかと言うと政治家みたい雰囲気だ。まあここは王都だから執務が得意なタイプがギルマスになるのだろう。
 ブレンダン先生は帰ってきてから一睡もしてないのか、辛そうな表情をしている。

「まぁ、座りたまえ」

 俺たちはL字型になっているソファに腰をかける。ギルマスはL字型のソファと向かい合うように配置された1人用のソファに座っている。

「呼ばれた理由は分かるかね?」

「ええ、アンデットゾンビウルフについてですよね?」

「ああ、そうだ。もう少し詳しく言うと、なぜ・・死の大地から離れているこの地にアンデットゾンビウルフが出現したのかについてだ。アンデットゾンビウルフは死の大地周辺に生息しているCランクの魔物だ」

 ギルマスはそういうと1枚の紙を手渡してくる。アンデットゾンビウルフについて書かれた紙だ。紙は若干分厚くてザラザラしている。やっぱり日本に比べると製紙技術はそこまで発展していないのだろう。

「紙に書いてある通り、アンデットゾンビウルフの生息地は死の大地周辺、細かく言うと死の大地とその周りにはある土地との境目にいる魔物だ。死の大地付近の魔物の中では脅威度は低いが、それは死の大地周辺での話だ。ここら辺ではDランクの魔物でも珍しいので、Cランクの魔物は十分に脅威があると言える。
 それにアンデットゾンビウルフは集団で行動をするため非常に厄介だ。そのため単体の脅威度はCランク程度だが、集団に置いてはB、数が多ければ脅威度はAランクにも達するだろう」

 俺たちが遭遇したときは結構の数居たよな? 割と危なかったんじゃないか?

「そこで実際に戦った君たちに異変を感じなかったかどうか聞きたいんだが、何かないかね」

 ギルマスは手を組み、獲物を捉える鷹のように鋭い目で俺たちを見る。思わずたじろぎそうになる。

「私は特に感じなかったわね、カンナとトウマはどう?」

 そうリアンが最初に発言する。元貴族令嬢なのでこういう場に慣れているのだろうか。

「そうですね……僕は特に違和感は感じませんでしたね。と言うより初めて対峙する魔物だったので、違和感がないと言うよりは分からないと言った方が正しいかもしれないです。ゾンビ系の魔物は初めて見たのでとてもグロテスクでしたね」

「んー私もあまり分かんなかったです」

 なにも違和感がないと言えば嘘になる。あの不明だった称号についてだ。だが、鑑定が出来ることは隠しているので教える訳には行かない。今でも十分目立ってしまっているが、これ以上目立つ訳にはいかない。

「ふむ……そうか。それならば仕方ないか。そういえば、アンデットゾンビウルフ達から逃げてきたのではなく討伐してきたのだったな? どうやって討伐したのだ?」

 うぐっ、痛いところを突かれたな。カンナも俺もステータスを弄っている以上、もう一度ステータスを確認されたらきっとバレてしまうだろう。

「私とリミルと生徒たちです。主に相手を倒したのはカンナとトウマの召喚した召喚獣ですね」

「ふむ……カンナと言ったか? 君たちは確かEランクだと記載されていたがどうなんだ?」

「はいっ! そうですよ」

「ふむ……Eランクにしておくには惜しいな。ランクアップ試験を検討しておこう」

 良かった、強さとステータスが不釣り合いだと思ってくれたようだ。ランクしか伝わってないようだし、ステータスまでは情報がいってないのかな? それとランクアップ試験か……これも後で色々情報を集めないといけなそうだな。
 ちなみにあの回復術士はリミルさんというそうだ。

「次に君か……Cランクの魔物を倒すことが出来る召喚獣を従えてるというのは本当か?」

「はい、僕の召喚術によって召喚しました」

「確か召喚術によって召喚出来る魔獣は1番強くてもCランク程度で、Cランクの魔物8体とはやりあえるほど強くないのだが……召喚したのは1体だったのだな?」

「ええ、そうですね。1体だけです」

「ふぅむ、例外もある……か」

 なんか勝手に勘違いしてくれたようだ。ラフォーレウルフは神聖召喚魔術ホーリーサモンで召喚したんだけどな。まあ召喚術には変わりないから嘘はついていない。

「今度その召喚獣を連れて来たまえ、Cランクの魔物の群れと戦えるほどの力を持つ魔獣をギルドの認可なく連れ回すのは少し問題があるのでな。こちらとしても問題を起こさないように召喚主がちゃんと制御出来ているかを見る必要があるのだ」

 まあそりゃ危険な魔獣を野放しには出来ないだろう。日本でも銃持つ猟師とかは厳正な審査がされたりするからな。それと同じような感じだろう。

「ふむ……では聞きたいことは以上であった。疲れてるだろうから後はゆっくり休みなさい。こちらの事情で足を運んでもらって済まなかったな。また呼ぶことになるかも知れないがその時はよろしく頼む」

「分かりました」

 俺たちは席を立つと一礼をしてからドアを開け、外へと出ていく。
 ちなみにブレンダン先生はそのままのようだ。可哀想に……

「意外と早かったですわね」

 ギルドマスターの執務室がある部屋から出るとそこにはリアンがいた。

「ああ、実際に戦ったと言ってもあの時は必死だったし、じっくり観察している余裕はなかったからな。あまり話せることはなかったんだ。そういえばリアンはどうして待っていたんだ?」

「ブレンダン先生を待ってるのですわ、少し気になることがありましてね」

「気になること?」

「ええ、アンデットゾンビウルフたちが群れでいたことよ」

 どういうことだ? アンデットゾンビウルフは元々集団で行動する魔物だから別におかしくもなんともないんじゃないか?

「ほら、ここは死の大地から結構離れていますわよね?」

「ああ、そうだな。だけどそれがどうしたんだ? 別におかしくもなんともないんじゃないか?」

「魔物には魔物のテリトリーがあって基本そこから出ることはありませんわ。なので、そのテリトリー外で発見されるはぐれ竜などはそのテリトリーから意図せず、単体・・で外れてしまうことがほとんどですわ。それなのにも関わらず、今回は8匹もの群れをなしていました。これがどういうことかわかりますか?」

「──ッ!? ……つまり、誰かが意図してそこに放した、もしくは自然にポップしたってことか?」

「ええ、テリトリー外でポップすることはとても珍しいので、8体同時は考えにくいのですが、誰かが意図してそこに放したことは十分に考えられると思っていますわ」

 なるほど……そういう見方もあるのか。にしても一体なぜ……?
 俺は心当たりがないか色々と思い出してみる。
 まっさきに思い当たるのは、エルガレフト神国の教会の奴らだ。
 だが、そんなこっちに来てから日にちも経っていないし、そう簡単にあんな魔物を運ぶことは出来ないだろうから、エルガレフト神国の仕業とも考えにくい。
 うーむ、誰の仕業なのだろうか……?
 リアンと別れたあと、俺たちは寄宿舎に戻ることにした。




「わふっ!」

「うお!」

 ああ、そういえばラフォーレウルフをそのまま放置していたな。
 うーむ、今度連れてこいと言われたし、送還は出来ないなぁ。
 もういっそ名前をつけてウチの子にするか?
 うーん、食費とか目立つことを考えると悩み事ではあるけどな。
 まあ、金銭面では辺境伯から貰った大金貨のおかげでだいぶ余裕があるのだが。

「どうするの? この子。流石にこのまま放置は可哀想よ?」

「うーむ、そうなんだけど、大きさ的に家に入らないしなぁ」

 流石に家の中には入れないよなぁ、どうしたものか。
 そう思っているとラフォーレウルフはその大きな尻尾を振りながら、こっちを見て、何かを伝えようとしている

「わふっ!」

「ん? なんか解決策でもあるのか?」

「わふっ!」

 うん、そうだよ! と言わんばかりの鳴き声に思わずクスリと笑ってしまった。

「よし、どうなるか分からないけど、とりあえずやらせてみるか」

「ワオォォーン!!」

 ラフォーレウルフはが遠吠えをすると、周りには光の粒子のようなものが周囲に立ち込み、淡い光に包まれる。

「ふぇっ!?」

 リアンは驚いたのか、可愛らしい声をあげる。

「ひ、人になった!?!?」

 淡い光に包まれて出てきたのは1人の少女。
 まず目を引くのはライトグリーンの髪色であろう。肩に届くか届かないかの長さで切りそろえられた髪は、サイドを編み込み、毛先は内向きにゆるやかなカーブを描く。編み込みのやや上側にちょこんと添えられた犬耳のようなものがとても可愛らしい。
 髪色と同じような緑色のクリクリとした瞳は見るものを魅了する。そのまだ幼いあどけない顔にを見て、顔の表情が緩まない者はいないだろう。
 身長は若干低めで、140センチくらいなのではないだろうか? まるでなりたての中学生のようだ。
 とてもあの大きな狼だったとは思えない。

「ご主人さま! これからよろしくお願いします♪」

 うぐ、こんな小さくて可愛い子を外に放置してたとなると心が痛むな……
 急に罪悪感が……!








だいぶ遅いですが、新年明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い致します!
犬耳ちゃんのイメージ画像です!
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...