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パーティが始まりました。さっそく事件です。-3
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ロゼッタは、目を疑った。
まず、王子が公爵令嬢であるロゼッタよりも先にパーティ会場にいる理由がわからない。
通常であれば、会場に入るのは、身分の下のものからだ。
とうぜん、王族であるクレイン王子は、ロゼッタよりも後のはずだ。
けれど、ここ数年、王族はこれまで築かれてきた身分の差による決まりをやわらげようとしている。
それはこうした私的なパーティで、これまで暗黙の了解とされてきた貴族間の決まりを変えていくところにも表れていた。
暗黙の了解は絶対的なルールではない、これからの貴族社会はいままでどおりではないことを、王室はその言動で示していこうとしているのだ。
今回、王子がロゼッタよりもはやくにパーティに参加しているのも、その流れの一環なのかもしれない。
そうロゼッタは、納得した。
けれど、王室のこういった態度が、ロゼッタには受け入れがたい。
頭では、わかっている。
この時代の王族は、ロゼッタが王族であった前世とは異なり、絶対的権力の御旗ではない。
船舶の技術の向上により、世界はこれまで区切られて来た領域をはるかに超え、新しい世界……「新世界」と呼ばれる大陸にまで広がった。
そして貿易で得られる利益もそれに比例して大きく跳ねあがり、貿易商をはじめとする国家に比肩するレベルの平民の富豪を生み出した。
彼らはブルジョワジーと呼ばれる新たな階級をつくるまでに数と勢力を伸ばし、従来の貴族も彼らを無視はできなくなっている。
領地経営に行き詰った貴族の中では、はやくから彼らと縁戚になって金銭的援助を受ける者もいた。
リィリィの生家のように、国家の政策や戦争に資金を提供することで、爵位を得るものも増えている。
この国の王族は、大国と呼ばれるこの国で、長く権力を握ったまま生き抜いてきた。
ロゼッタの前世のような圧倒的権力は持たないが、そのいっぽうで長期的な視点で考えた自分たちの権力をなくさないための戦略はあるのだろう。
ロゼッタには違和感と苛立ちばかり募る彼らの一見すると弱腰な下の者へのおもねりは、けれど彼ら自身が次の世代のために打つ一手だ。
ロゼッタには受け入れがたいものだが、その有効性は理解できる。
それに、だからこそ平民あがりの男爵であるリィリィにも、王子妃になる可能性があるのだ。
たぶん、王族にとっても、リィリィは王子妃として望ましい令嬢のひとりだ。
けれどだからこそ、従来の貴族からの反発も大きい。
ガストン商会がバララーク川の氾濫の援助で力を得た時、貴族社会から強い反発が生まれたのも、台頭しつつある新たな階級への不満と不安が噴出したためだ。
王族がガストン商会を支持する姿勢を明確にさせても、ガストン男爵やリィリィを排除しようという動きがなくならない。
彼らにしてみれば、リィリィがクレイン王子の妃になるなど、あってはならない暗黒の未来だ。
もしもリィリィがクレイン王子の婚約者に選ばれていれば、いまロゼッタに向けられた嫉妬などとは比べ物にならない悪意が生まれただろう。
そしてガストン男爵では、いまはまだその悪意をはねのけることはできない。
それがわかっているからこそ、王族もリィリィを強く推すことはなく、ロゼッタがクレイン王子の婚約者になるように動いたのだろう。
けれど、もしロゼッタが王子妃として致命的な瑕疵をつくれば。
リィリィならば、あまたの悪意も退けられるのではないだろうか。
ロゼッタは、クレイン王子の隣に立つリィリィを見て、改めてそう感じた。
まず、王子が公爵令嬢であるロゼッタよりも先にパーティ会場にいる理由がわからない。
通常であれば、会場に入るのは、身分の下のものからだ。
とうぜん、王族であるクレイン王子は、ロゼッタよりも後のはずだ。
けれど、ここ数年、王族はこれまで築かれてきた身分の差による決まりをやわらげようとしている。
それはこうした私的なパーティで、これまで暗黙の了解とされてきた貴族間の決まりを変えていくところにも表れていた。
暗黙の了解は絶対的なルールではない、これからの貴族社会はいままでどおりではないことを、王室はその言動で示していこうとしているのだ。
今回、王子がロゼッタよりもはやくにパーティに参加しているのも、その流れの一環なのかもしれない。
そうロゼッタは、納得した。
けれど、王室のこういった態度が、ロゼッタには受け入れがたい。
頭では、わかっている。
この時代の王族は、ロゼッタが王族であった前世とは異なり、絶対的権力の御旗ではない。
船舶の技術の向上により、世界はこれまで区切られて来た領域をはるかに超え、新しい世界……「新世界」と呼ばれる大陸にまで広がった。
そして貿易で得られる利益もそれに比例して大きく跳ねあがり、貿易商をはじめとする国家に比肩するレベルの平民の富豪を生み出した。
彼らはブルジョワジーと呼ばれる新たな階級をつくるまでに数と勢力を伸ばし、従来の貴族も彼らを無視はできなくなっている。
領地経営に行き詰った貴族の中では、はやくから彼らと縁戚になって金銭的援助を受ける者もいた。
リィリィの生家のように、国家の政策や戦争に資金を提供することで、爵位を得るものも増えている。
この国の王族は、大国と呼ばれるこの国で、長く権力を握ったまま生き抜いてきた。
ロゼッタの前世のような圧倒的権力は持たないが、そのいっぽうで長期的な視点で考えた自分たちの権力をなくさないための戦略はあるのだろう。
ロゼッタには違和感と苛立ちばかり募る彼らの一見すると弱腰な下の者へのおもねりは、けれど彼ら自身が次の世代のために打つ一手だ。
ロゼッタには受け入れがたいものだが、その有効性は理解できる。
それに、だからこそ平民あがりの男爵であるリィリィにも、王子妃になる可能性があるのだ。
たぶん、王族にとっても、リィリィは王子妃として望ましい令嬢のひとりだ。
けれどだからこそ、従来の貴族からの反発も大きい。
ガストン商会がバララーク川の氾濫の援助で力を得た時、貴族社会から強い反発が生まれたのも、台頭しつつある新たな階級への不満と不安が噴出したためだ。
王族がガストン商会を支持する姿勢を明確にさせても、ガストン男爵やリィリィを排除しようという動きがなくならない。
彼らにしてみれば、リィリィがクレイン王子の妃になるなど、あってはならない暗黒の未来だ。
もしもリィリィがクレイン王子の婚約者に選ばれていれば、いまロゼッタに向けられた嫉妬などとは比べ物にならない悪意が生まれただろう。
そしてガストン男爵では、いまはまだその悪意をはねのけることはできない。
それがわかっているからこそ、王族もリィリィを強く推すことはなく、ロゼッタがクレイン王子の婚約者になるように動いたのだろう。
けれど、もしロゼッタが王子妃として致命的な瑕疵をつくれば。
リィリィならば、あまたの悪意も退けられるのではないだろうか。
ロゼッタは、クレイン王子の隣に立つリィリィを見て、改めてそう感じた。
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