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パーティが始まりました。さっそく事件です。-4
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今日のリィリィは、新緑のようにさわやかな緑のドレスを着て、クレイン王子の隣に立っていた。
これほどたくさんの人が集まるパーティでも、ぱっと人目をひくかわいらしさだ。
そして、クレイン王子は、いとおしさが隠しきれない眼で、リィリィを見ていた。
クレイン王子も、リィリィも、自分の気持ちは隠しているつもりのようだ。
けれど見る者が見ればあきらかに、ふたりは思いあっている。
そのくせお互いに、自分に向けられた相手の気持ちには気づいていないようだった。
リィリィは笑顔だが、時折タイミングを見て、王子の傍から離れようとする。
けれどリィリィの傍にいる女性たちが、リィリィの手を握って、その場に留めようとしていた。
そこにリィリィを貶めようとする悪意はない。
リィリィやクレイン王子の近くにいる女性たちは、彼らよりいくぶんか年上のものが多く、装いから既婚者ばかりだとわかる。
彼女たちの顔に、ロゼッタは見覚えがあった。
全員が、クレイン王子の側仕えだ。
彼女たちは、今日は王子の側仕えとしてではなく、パーティの出席者として参加しているのだろう。
いつもの従者然としたドレスではなく、貴族の夫人らしいドレスを身にまとっているから気づくのが遅れた。
彼女たちがリィリィを王子の隣にとどめようとしているのは、王子の本心を汲んでのことだろう。
王子は側仕えたちをいさめているが、側仕えたちは「あら、わたくしたちはお友達と一緒にいたいだけですわ」と言って、それを受け流す。
クレイン王子は、それ以上言葉を重ねられずにいた。
内定とはいえ、婚約者がいる王子に別の女性を勧めるのは褒められたことではない。
けれど友人を主に紹介しているだけだと言われれば、この世界では咎められることもなかった。
実際、王子の側仕えの女性とリィリィは親しい。
はじめは王子が好意を抱いている令嬢だからとリィリィと親交を持つようにしていた彼女たちだが、リィリィの人柄や王子への抑えきれない好意を感じ取ってか、いつの間にかリィリィを友人と呼べるほど親しくなっていた。
そこにはもちろん現代の王族が、積極的に新たな階級と交流を持とうとしていることも起因している。
次期王とみなされているクレイン王子の側仕えたちは、徹底的な王族派ばかりだからだ。
けれど、どんな理由があっても、リィリィがクレイン王子にふさわしいと思わなければ、彼女たちがリィリィの味方になることはなかっただろう。
このリィリィが持つ、周囲を味方につける力。
それこそが、リィリィの最大の能力なのではないだろうか。
そして、そんなリィリィであれば、クレイン王子の妃としてみんなに認められる未来だって勝ち取れるのではないだろうか。
(だって、わたくしだって、リィリィのために危険な橋を渡ろうとしている……)
ロゼッタは、リィリィから目が離せなかった。
自分のたいせつなたいせつな親友。
彼女のために、ロゼッタもみずから王子の婚約者としての地位を手放すことを決め、仮死毒を飲もうと決めた。
きっとリィリィがリィリィでなければ、前世の記憶を持つという共通点があっても、こんなふうに大切に思うことも、彼女のために自分が泥をかぶることを選ぶこともなかっただろう。
これから先も、リィリィはその魅力で味方を増やしていくだろう。
表舞台から消えざるをえないロゼッタは、光の道を歩むリィリィの傍にはいられなくなり、彼女の友人であることすら難しくなる日がくるかもしれない。
けれどもロゼッタにとって、リィリィは永遠に親友だ。
誰にも気づかれてはいけないけれど、リィリィが王子妃につくための道を切り拓くためにも、きっと自分がいちばん大きな貢献ができる。
ロゼッタがリィリィを見つめていると、セーゲルが気づかわし気に顔を覗き込んできた。
「ロゼッタ。だいじょうぶかい? 顔色が悪くなっている」
耳元で小声で尋ねられて、ロゼッタは曖昧に笑った。
「すこし、馬車に酔ったかもしれません」
そうロゼッタが微笑んだ時だった。
とつぜん、クレイン王子のほうへと矢が打ち込まれた。
これほどたくさんの人が集まるパーティでも、ぱっと人目をひくかわいらしさだ。
そして、クレイン王子は、いとおしさが隠しきれない眼で、リィリィを見ていた。
クレイン王子も、リィリィも、自分の気持ちは隠しているつもりのようだ。
けれど見る者が見ればあきらかに、ふたりは思いあっている。
そのくせお互いに、自分に向けられた相手の気持ちには気づいていないようだった。
リィリィは笑顔だが、時折タイミングを見て、王子の傍から離れようとする。
けれどリィリィの傍にいる女性たちが、リィリィの手を握って、その場に留めようとしていた。
そこにリィリィを貶めようとする悪意はない。
リィリィやクレイン王子の近くにいる女性たちは、彼らよりいくぶんか年上のものが多く、装いから既婚者ばかりだとわかる。
彼女たちの顔に、ロゼッタは見覚えがあった。
全員が、クレイン王子の側仕えだ。
彼女たちは、今日は王子の側仕えとしてではなく、パーティの出席者として参加しているのだろう。
いつもの従者然としたドレスではなく、貴族の夫人らしいドレスを身にまとっているから気づくのが遅れた。
彼女たちがリィリィを王子の隣にとどめようとしているのは、王子の本心を汲んでのことだろう。
王子は側仕えたちをいさめているが、側仕えたちは「あら、わたくしたちはお友達と一緒にいたいだけですわ」と言って、それを受け流す。
クレイン王子は、それ以上言葉を重ねられずにいた。
内定とはいえ、婚約者がいる王子に別の女性を勧めるのは褒められたことではない。
けれど友人を主に紹介しているだけだと言われれば、この世界では咎められることもなかった。
実際、王子の側仕えの女性とリィリィは親しい。
はじめは王子が好意を抱いている令嬢だからとリィリィと親交を持つようにしていた彼女たちだが、リィリィの人柄や王子への抑えきれない好意を感じ取ってか、いつの間にかリィリィを友人と呼べるほど親しくなっていた。
そこにはもちろん現代の王族が、積極的に新たな階級と交流を持とうとしていることも起因している。
次期王とみなされているクレイン王子の側仕えたちは、徹底的な王族派ばかりだからだ。
けれど、どんな理由があっても、リィリィがクレイン王子にふさわしいと思わなければ、彼女たちがリィリィの味方になることはなかっただろう。
このリィリィが持つ、周囲を味方につける力。
それこそが、リィリィの最大の能力なのではないだろうか。
そして、そんなリィリィであれば、クレイン王子の妃としてみんなに認められる未来だって勝ち取れるのではないだろうか。
(だって、わたくしだって、リィリィのために危険な橋を渡ろうとしている……)
ロゼッタは、リィリィから目が離せなかった。
自分のたいせつなたいせつな親友。
彼女のために、ロゼッタもみずから王子の婚約者としての地位を手放すことを決め、仮死毒を飲もうと決めた。
きっとリィリィがリィリィでなければ、前世の記憶を持つという共通点があっても、こんなふうに大切に思うことも、彼女のために自分が泥をかぶることを選ぶこともなかっただろう。
これから先も、リィリィはその魅力で味方を増やしていくだろう。
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けれどもロゼッタにとって、リィリィは永遠に親友だ。
誰にも気づかれてはいけないけれど、リィリィが王子妃につくための道を切り拓くためにも、きっと自分がいちばん大きな貢献ができる。
ロゼッタがリィリィを見つめていると、セーゲルが気づかわし気に顔を覗き込んできた。
「ロゼッタ。だいじょうぶかい? 顔色が悪くなっている」
耳元で小声で尋ねられて、ロゼッタは曖昧に笑った。
「すこし、馬車に酔ったかもしれません」
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とつぜん、クレイン王子のほうへと矢が打ち込まれた。
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