ひな*恋 〜童顔ひな子の年の差恋愛(ノベル版)

むらさ樹

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「………よぉし!」



そんなわけで、翌日。


毎日同じ事の繰り返しみたいな“デリカ popo”の仕事なんだけど。

でも今日は、いつも一番に作っているサラダによりをかけているわけだ。



それは、今日はいつものサラダにシャキシャキのリンゴを入れてみようという作戦だ。


名付けて、特製リンゴサラダ!


…うん、その美味しさは既に家で実証済みっ



何でも食べるって言ってたし、今日は昨日の悔しさをバネに、アイツにもっと美味しいものを作ってあげるんだからぁ!





「ん?
ひな坊、そのリンゴどうするんだ?」



そんなリンゴを切ろうと包丁を持つ私に、久保店長が気付いたようだ。



「あ、久保店長。
実は今日、いつものサラダにリンゴを入れてみようと思うんです!」


「あら、リンゴサラダ?
それは美味しそうね」



そんな私の声を聞きつけたパート主任の小山さんも、私のリンゴサラダに食いついてきた。


うん、やっぱり私ってばナイスアイデア!

今日も私特製のサラダは連日完売ですよー。




「いや…ちょっと待て」


「え?」



てっきり久保店長にも「それは楽しみだ!」みたいな感じで褒めてくれると思ったのに。

その表情は、何故か眉間にシワを寄せていたのだ。




「リンゴは入れん方がいい。いつものサラダはいつも通りに作れ」


「えーっ、どうしてですか?
入れた方が美味しいですよ」



サラダに新しい食感も加わって、ますますうちの惣菜も独創性があってイケるって思うんだけどなぁ。


それに自信のあるものは、オリジナルで出してもいいって久保店長もいってたのに。




「…うちのサラダは、そのままで人気商品だ。
それを目的に買いに来てくれるお客さんだっているのに、勝手にアレンジを加えたらクレームのもとになりかねん」


「あ…」


「もしリンゴを使いたいなら、全然違うものにしなさい」




…そっか。

あくまでもマニュアルで作るのが当たり前の仕事だっけ。

うちは“デリカ popo”の看板を背負った惣菜屋さんであって、私が経営してるお店じゃないんだもんね。



「あらぁ、ダメだったの?
リンゴサラダ、あたしは食べてみたいんだけどなぁ」



ナイスアイデアだと思ってたのに、久保店長にあっさり却下を食らった私に小山さんがフォローを入れてくれた。



「人気商品には、勝手にアレンジ加えちゃダメみたいです。
まぁそうですよね。おかずに果物入れるの嫌う人っていますし」



酢豚にパイナップルとか私は嫌いじゃないんだけど、でもそういうのってあくまでも女性向けのような気もするなぁ。




「……………………」



だとしたら、アイツもリンゴサラダとか嫌いだったりするかなぁ。




……………………!

そうだっ。







その後

私はマニュアル通りのサラダを完成させると、グラムを量って陳列用のプラスチックパックに入れた。


それをボウルに作った分みんなパックに分けると、最後の1つにだけ小さく切って塩水に浸けたリンゴを混ぜておいた。


それを誰にも見つからないようにレジ袋に入れて、厨房の冷蔵庫の端っこにしまっておく。



この惣菜をレジ袋に包んで冷蔵庫に入れとくのは、よくスタッフが自分用に買ったものをキープする時に使う手段。


だからこういう状態で冷蔵庫に置いていても、誰も違和感は感じないのだ。

…大丈夫。

後から私が買って帰ればいいんだから。
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