ひな*恋 〜童顔ひな子の年の差恋愛(ノベル版)

むらさ樹

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日差しの暑い道を慎吾くんに手を引かれながら歩き、私たちは商店街のスーパーに来た。


お店の中はエアコンが効いていて、かいた汗がスゥっとひいていく。



「えっと…何を買ったらいいのかな。
慎吾くんの家には、今どんな食材がある?」



うちの店で出しているものはどれも業者から取り寄せた半加工のお肉に、生の野菜。
それから、揚げるだけでできるような冷凍ものだ。

誰がどの担当にもなれるよう、私だって一通りのマニュアル調理はできるつもりでいる。




「食材?
うちには食材なんてものは、一切ないよ?」


「えっ、一切って事はないでしょう。
冷蔵庫の中には、どんなものがある?って意味なんだけど…」


「冷蔵庫?
昨日の残ったおかずと、麦茶と牛乳と炭酸かな」


「…………………」



冗談なんかじゃないのかも。


普通なら卵を始め、ジャガイモとか人参とか玉ねぎとか。
いわゆる冷蔵庫に眠ってそうな3大保管野菜がありそうなものだけど。


…本当に慎吾くんの家の冷蔵庫には、リアルに余り物と飲み物しかないような気がしてきた。



さしあたりリンゴサラダだから、リンゴにジャガイモとキュウリと卵とハムは買わなくちゃならない。



「あ、うち調味料もないから」


「…………………」



…それと、塩コショウにマヨネーズか…。


頭の中で把握してる調理マニュアルのレシピを思い出しながら、必要な食材をあれこれカゴに入れると結構な量になった。


さすがに業務用の半加工品は売ってないわけだから、似たようなものを選んだりしてね。



(うーん、だけどちょっと買いすぎたかなぁ。
1食分ずつ作ろうと思ったら、1つ1つの材料が少しでいいんだもんなぁ)



「これで全部?」


「ん…。むしろ逆に、余りそうかも」


「あぁ、いいっていいって。
じゃ、会計してくるね」



あれも食べたい これも食べたいって言うから、ついいろいろカゴに入れちゃったんだけど…。



レジのおばちゃんが1つ1つ食材のバーコードを通し、合計額がどんどん上がっていく。


1000円を超え、2000円を超え、とうとう3000円台に!




「以上で、3980円になります」



ひゃーっ

4000円近くになっちゃったぁ!



だけど何の躊躇いもなく財布から5000円札を取り出して支払いを済ませた慎吾くんは、会計の済んだ買い物カゴを抱えて不思議そうに私を見た。



「ひな、どうしたの?」


「ごめんなさいっ
お金、結構かかっちゃったみたいで」



普通は自炊する方が安上がりになるものなんだけどね。


でも種類をたくさん作ろうと思ったらいろんな食材を必要とするから、結果材料費が高くついちゃったんだ。


あーん。
これなら、うちで惣菜買った方が絶対安くついたよぉ!


「いーよ いーよ。
それだけいっぱいできるんだろ?俺めっちゃ食うもんね」



だけど全く気にしてない様子の慎吾くんは、ケロッとした顔で食材をレジ袋に詰め込んだ。



うぅむ。
ならば私は、そのお値段に見合うくらいの料理を作ってあげなくちゃ!



「あっ、袋1つ持ちます!」


エコバッグなんて用意してきてないから、スーパーで購入したレジ袋2つに食材がいっぱいになった。


お野菜も食べさせたいからと、キャベツやカボチャなんかも1玉で買っちゃったから重そうだもん。



「大丈夫だよ、ひな。
2つくらい俺1人で持てるって」


重そうなレジ袋をヒョイと抱える慎吾くんだけど、やっぱり私のせいでこうなったわけだから、1つは持ってあげなくっちゃと思う。



「俺これでも一応、男だよ?
これぐらい持てなきゃ」


「でも!半分は私が原因なんです!
ほら、1つ貸して下さいっ」



私はレジ袋で両手が塞がってる慎吾くんの左側に立つと、荷物を受け取ろうと手を伸ばした。


「ひなったら、もーいいって言ってんのに。
んじゃあ、こっちの方が少し軽いから」


「あ、はいっ」



寝起きならブランチはパンにしてあげようと買った、食パンの入ってる右側のレジ袋を慎吾くんは差し出してきた。




「はいっ
いいですよ、手を離して」


「ん、ちょっと待って。今手ぇ抜くから…」



だったら先に自分が持てよって話になりそうだけど。
中身がいっぱいで持ち手部分が狭くなってるところを、私はどうにか自分の指を通して受け取ろうとした。


…あ、やっぱり結構重い。


私は身を寄せて両手で抱えるようにレジ袋を受け取ると、慎吾くんは狭い持ち手部分からゆっくり手の指を抜いた。



「よ いせっと。
…あ」



何だかオオゴトみたいな感じになっちゃったけど、これでようやく私の手に持ち替える事ができた。

だけど、何故か慎吾くんはレジ袋から抜いた右手をジッと見ている。



「あ、手が痛かった?
ごめんねっ、袋重いから…っ」


「…いや、そうじゃなくて。
手ぇ抜いた時に、ひなのおっぱい触っちゃった。
あはっ、ラッキー」


「っ!!?///」



あまりの発言に、私は思わず自分の胸を隠すように手をあてた。


そんな事なんて、言わなければ私だって気づかなかったのにぃっ!


って!言うか!

普通そんな事、面と向かって言う──っ!?




ケラケラと無邪気に笑いながら、慎吾くんは荷物を抱えてスーパーの出入り口へと歩いて行く。


…そんな彼の後ろ姿を、私は真っ赤になって追いかける羽目になったわけだ。



「~~~~~~っ//////」



んもーぉ!!
調子狂っちゃうよぉ!!

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